シリーズものの小説です。渾身で書いてます。
1、見えない善意(全5話)
2,見えない絆(全5話)
3,見えない魔法(全5話) の順です。
 
 
今日は、「見えない魔法」の4話目です。
 
 

登場人物名は、アルファベット表記です。

舞台は、日本でも海外でも、
お好きなように、イメージしてください。
(暫定的な名前を貼っておきます↓)
A(靴屋)     悪久太  アーク
B(靴屋の妻)   若葉   バーバラ
C(牧場主)    千太郎  クリス
D(大工)     大吾  デイビッド
E(バーテン&村長)栄一  エデン
F(大工見習)   文也  フランク
G(大工見習)   弦   ジョージ

 

では、本編をどうぞ。↓

 

 

見えない魔法(4)

 

大工のDと、見習のFとGは、
村人の屋根を修理したり、依頼された棚や柵、
納屋、テーブルなどを次々と作っていきました。
 
ゆっくり作業しているはずなのに、
逆に完成のスピードがアップしました。
 
ゾーンに入ったのか、3人は息を合わせて、
大雪を蹴散らすラッセル車のごとく、
どんどん仕事を片付けていきました。
 
 
そうこうしているうちに、
村に、秋が近づいてきました。
 
「・・・親方、ここ、・・・どこっすか?」
と、突然、見習のFが変な声を出すので、
「どこって、おまえ。うちの村だろ?」
と、Dも周りを見回すと、
いつの間にか村の様子が激変していました。
 
これまでは、殺風景な村でしたが、
村中に花が咲き乱れ、畑には作物があふれ、
いつの間にか店がたくさん並んでいます。
 
八百屋、クリーニング屋、花屋、
パン屋、菓子屋、貸本屋、貸衣装屋、
肉屋、雑貨屋、チーズ店、画廊・・・。
 
これまで3人は
自分たちの作業に熱中してましたが、
その間に、村人たちは、自主的に
やりたいことを始めていたのでした。
 
村人たちは、てんでに声をかけていました。
 
「おーい、またジャガイモが取れすぎたんだ、
 好きなだけ、持ってってくれんかあ」
「あいよ。こっちの花も、持ってって~」
「パンが焼けたぞー」などと。
 
わざわざ遠くの市や隣国に行かずとも、
この村の中で、大きく経済がまわっていました。
しかも、お金のやりとり無しに。
 
呆然とする、大工の3人。
 
「・・・F、これも、ナポリタンのおかげか?」
 
「わ、わかんないっす」
 
「すごいな。僕、この村、大好きです!」
 
見習Gの言葉を聞いて、
Dは昔の友のCを思い出し、
目が潤んできました。
 
「大好き、か。あいつも、そう言ってたな」
と、Dは、空を見上げました。
空には、羊雲が広がっています。
 
Dは、見習2人に、向き直ります。
 
「村が元気になったのは、お前たちのおかげだ。
 ありがとうな」
 
「なんすかあ、親方、水臭いっすよ~」
「僕、なんかすごくうれしいです」
3人で、ニコニコしました。
 
「今日は、このベンチを作って終わりだ。
 明日は、久しぶりに休もうか。
 一日、のんびりしていいぞ」
 
「いえーい」「ありがとうございます」
 
3人は、今日の仕事を始めました。
 
 
(続く)