出典はわすれたが、
こんな話をどこかで読んで、覚えている。
とある男性が、幼少からずっと貧乏で、
「絶対に金持ちになって、ポルシェに乗るぞ!」
と決めて、努力して成り上がった。
そうして、会社を興して社長になり、
とうとうポルシェも購入した。
が、ドライブ中のある日、
とある駐車場で、偶然、
自分と同じ車種から
一人の男性が降りたのを見たとき、
心の中がざわついたという。
それは長年染みついていた嫉妬だった。
自分はすでに念願の車で
ハンドルを握っているのに、だ。
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私は子供のころ、
「自分の字は汚い」と思い込んでしまったせいか、
その呪縛からどうも抜けられない。
ものすご~く丁寧に書けば、
一応、美文字(?)になるのに、
慌てていたり、気を抜いていると、
乱雑な小学生的な文字になるので、
「やっぱり下手なんだなあ」とがっかりする。
ある日会社で、
ご祝儀袋の字を書いてほしいと言われ、
緊張しつつ筆ペンでゆっくりゆっくり仕上げた。
「へー。すごい、上手だね」と言われても、
どうも、お世辞のように感じられてしまった。
そのときに、ふと、
冒頭の男性の話を思い出した。
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劣等感というものは、
現在の状態を客観視する妨げになるんだね。
そんな過去の遺物なんて
とっとと打ち捨ててしまえばいいのに、
そのことにこだわってしまう人間の浅はかさよ。
でも、私は、そんな人間のありようを
「可愛げがある」と、とらえたい。
こだわっちゃうんだなあ、人間だもの。(みつを風)
そんな使い古しの劣等感でも、
やりようによっては、さらなる努力を誘発する
(例:「字が下手だから、もっとうまくなろう」)
ので、ま、これはこれでもいいか、などと思う。
常に下手なればこその精進かな。