長女にスピーチの宿題が出て、

原稿がまとまらないというので、

ヒントを出すことにした。


Aについて話をするときは、

Aのポジティブな面とネガティブの面の

両方からの視点を取り入れると、

話に幅が広がるよ、と。


「じゃ、ポジティブとネガティブの

 例を教えて」と長女に言われたので、


「たとえば、ポジティブな面は、~と~と~でしょ。

 で、ネガティブは、・・・・・・・・。あれ?」

愕然とした。

ネガティブなことが、まったく思いつかない。

「あれ?なんで?なんで?うそお」

ポカンとする長女を前に、私は頭をかきむしった。


さまざまな角度から検証できるのが、

とりえだったはずの自分。

なぜ、ネガティブな発想が出てこないのだ?


*****


これまでの自分を最初から振り返ってみると、

最初は、ネガティブなことしか考えることが出来なかった。


そのときは、ネガティブな自分を嫌いで苦悩し、

どうして、ポジを考えられないのか、と思った。


けれど、「まるごとネガなのが自分なのだ。それでいい」

と、受け入れてしまったとたん、

急に視界が開けて、ポジも見えるようになってきた。


深海魚が「一生、海底で暮らしてやる!」と

決意したら、突然変異で、クラゲになり、

水面のそばまで上がれるようになった感じ。


が、水面の美しさにあこがれても、

それ以上はあがれない。

なので、「おいらは、クラゲでいい!」

と思ったら、また突然変異して、ムツゴロウになった。

陸にも上がれるようになった。


水中(ネガ)と地上(ポジ)を行ったりきたりしたが、

雲が流れる青空(超ポジ)を飛ぶことは出来なかった。

何度努力しても、それ以上は、無理だった。くやしかった。


「もー、ムツゴロウでいい!両生類、万歳!」

と、現状を肯定したら、

今は、スズメになっていた。


空を自由に飛べるし、陸に下りることも出来るが、

もう、水に入るのは、難しくなっていた。

・・・っていう、イメージ。


*****


長女の宿題なんて、そっちのけで、

私は今の自分の状態を、イメージしている。


ネガティブ池の住人だったネガ・河童が、

とつぜん泳ぎ方を忘れてしまった感じで、

池のふちに立って、

ぼうぜんとするしかないような・・・。


どうやら、現状を肯定する決意を持つと、

考えても見なかった形而上の発想が

ポンと出てくる仕組みのようだ。


私はどちらかというと、

ネガとポジの両方を見ることが出来る

両生類的な立場がすごく好きだったんだけど、

その位置に戻りたいともがけばもがくほど、

体に風船が増えて、より浮上してしまう。


なんという不条理。


こうなったら、風船をたくさんつけた

くまのプーさんのように

風の向くまま気の向くまま

ふわふわとただよっていよう。


現状を肯定していれば、

またきっと何かが変わるのだろう。


次はどんな風になるのか、わかんない。

ひょっとしたら、カラスに風船を全部

割られてしまうかもしれない。


けれど、そんなアクシデントも楽しめそうな。


さあ、次はどうなるの?って、

わくわくしている自分がいる。


・・・え?スピーチ?

ごめん、長女。自分で考えてね。