日本ののどかな田園風景に
黄金の稲穂の波の中で
案山子が1人で立っている
自分の足でどんどん歩き
いつか世界中を旅したいと
夢ばかりふくらませていた案山子
けれど哀しき現実よ
地面に突き刺さった一本足は動かず
いつも見慣れた風景だけ
田植えしたばかりの水田に
涙がポタポタと落ちる
雨と風にさらされながら立つ案山子
菅笠からのぞく太陽と星がうらめしい
東からのぼって西へ沈む姿が
鳥たちの自由な羽ばたきが
けれど案山子は気がついた
地面が動いているのだと
地球が回っているのだと
地球という銀河鉄道に乗って
自分は旅をしているのだと思えばいい
車内は同じでも窓外の風景は違うのだ
案山子は変わりゆく空が楽しみになった
朝は雀をはらう仕事をし夜は星を見た
今夜はアンタレスが美しい
稲穂が刈り取られ案山子の役目は終わった
もう古くなったので田の隅で焼かれた
案山子は念願の星になれた
星になった案山子は
今夜もまた銀河鉄道に乗った気分で
近づいては去っていく地球を優しく見ている