屋台などでヘリウムガス入りの風船を買うと、

飛んでいってしまわないように

名刺位の小さな厚紙が、反対の糸の先についている。


風船からふっと手を離すと、

その厚紙は地面に着地して碇の役目をする。

で、上に上がれない風船がゆらゆらしている。


今の私は、そんな風だ。


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かつての私は、リュックサックに

たくさんのものを詰めこんで

「重い、重い」と言いながら、よたよた歩いていた。


ある日、とうとう嫌になって、リュックの中を確認し、

要らないものを少しずつ捨てていった。

よく見れば、荷物はがらくたばかりだった。


最後は、リュックごと背中からはずしてしまった。


身も心も軽くなった。

私は元の、大空へ飛べる姿になれた。


けれども、空が、

「まだ地面にいて、旅を続けなさい」と言う。


しょうがないので、また、からっぽのリュックを背負う。


それでもまだ軽くて、空を飛びそうになるので、

しぶしぶ、小石を数個、入れなくてはならない。


小石なんて、本当は入れたくない。

けれど、地面をもう少し落ち着いて歩くには

適度に重さが必要なようだ。


小石を手放すのは、あきらめることにした。

石がいやだ、という気持ちを捨てることにした。

地面を歩くための、ぎりぎりの必需品だ。


いつか、「もう、空に来てもいいよ」と言われたら、

私は嬉々として、

小石ともリュックともおさらばするだろう。


けれども、それまでは、リュックも小石も、

私の大切なパートナーだ。

手入れを怠らず、ずっと大事にしよう。


焦るな、私。不安に思うな、私。

まるごとの私は、

天から大きく見守られているのだから。