自分の心の中にある、
見たくない自分を見てみることにした。
イメージとして浮かんだのは、
小汚い姿の小柄のおばあさんで、
小銭の入った壺を抱え込んで
お金を誰にも取られるまいと、
目をギョロつかせていた。
私は彼女にそっと話しかけてみた。
「こんにちは。その壺、大事そうですね」
「誰だあんたは。これは渡さないよ!」
「もちろん、それは、あなたのものです。
私は人の物は取りません。約束します。
お話だけ、しませんか?」
「取らないなら、いいよ。話だけなら」
「いつからその壺を
大切に思うようになったのですか?」
おばあさんは、きょとんとした顔をした。
そんな質問をされたのは、初めてだったようだ。
そうして、こんな身の上話を始めた。
彼女は若い頃、女郎だったらしい。
自分の愛する男性と一緒になりたくて、
自分で働いた分のお金を貯めて、
いつか一括で自分の借金を返し、
晴れて女郎屋から出ていこうと思っていた。
ところがその愛しいはずの男性が、
彼女の貯めていたお金を持ち逃げしてしまい、
それ以来、男性不信&お金が命に
なってしまったのだ、という内容だった。
「わかりました。だからあなたは、それ以来、
自分の価値を、金銭以下だと
思うようになったのですね?」
「そうさ。お金の方が、大事なんだ。
誰も信用できないんだ。」
「たぶん、その男性も、自分自身の価値を低く見ていて、
だからこそ、あなたではなくお金を選んだのでしょうね。」
「・・・。そうかもしれない。」
「私は、あなたの話を聞いて、こう思いました。
お金の壺を抱えているあなたそのものを、
そのまま、まるごと包み込んで、
これからもずっと愛そうと思いました。」
「なぜ、そう思う?」
「だって、あなたは、私だから。
私は、私自身であるあなたを好きだから。」
「面白いことを言うね。そんなこと、出来るのかい?」
「やってみなくちゃ、わからないでしょう?^^
さあ、壺をしっかり胸に抱いて、立ち上がって。」
おばあさんは、しぶしぶ、立ち上がる。
「いいですか。あなたの大切な壺なのですから、
きちんとかき抱いて。そうそう。」
言うとおりにしてくれたのを確かめた後、
私は、そのおばあさんを両腕で胸に包み込む。
「な、何をするんだい?」
「あなたがその壺を愛しく思うように、
私はあなたを
大切な壺と思って、抱きしめているのです」
・・・こんなやりとりを心の中で行ってから、
イメージを一旦そこでうち切る。
私は自分の中にある「無価値感」を理解した。
自分の負の面を一つ一つ抱くたびに、
私は自分への愛を広げていく。