昔、あるところに、青鬼がいました。
緑鬼くんと友達でした。
ある日、緑鬼くんが人間とトラブルを起こして、
緑鬼くんがその村にいられなくなりそうでした。
そこで緑鬼くんは青鬼に
「僕の罪をかぶってくれない?友達だろ?」と言うので、
「友達だから、当然そうするよ。」と承諾しました。
今までの悪いことは全部青鬼がやったことだと
またたくまに噂が流れ、
青鬼が出て行かなくてはならなくなりました。
緑鬼くんが出て行かなくて済んだので、
青鬼はほっとしつつ、自分はその村から去りました。
緑鬼くんがあとでほくそ笑んだことも知らずに。
次についた村は、赤鬼くんが住んでいました。
赤鬼くんは人間と仲良くしたいけど出来ずに
困っている様子でした。
そこで青鬼は、「僕が人間をいじめるよ。」と
提案しました。赤鬼くんはびっくり。
「そんなことしたら、君が悪者になってしまうよ。」
「いいんだよ。友達じゃないか。」
青鬼の計画はうまくいき、
演技で青鬼をやっつけた赤鬼くんは人間と仲良くなりました。
青鬼は、良かったなあと思いつつ、その村を去りました。
赤鬼くんがあとで泣いたことも知らずに。
青鬼は、その後も各地を点々としました。
定住した村でもめ事が起こると、
青鬼はすべての罪をかぶって、
わざと村から追い出されるよう計画し、実行しました。
そうしてその村からトラブルは消えていくようでした。
僕のやり方が一番正しいのだ、村のためになるから、と
自信がつく一方で、青鬼は自分の居場所が
どんどん無くなっていくように思えてきました。
そのうち、どこへ行っても青鬼の悪評判が先に届いていて、
仲良くなる前に村八分にされた状態になっていました。
その村にトラブルがあろうがなかろうが、
村人は青鬼に冷たく、そのためにいたたまれなくなり、
青鬼は引っ越しを繰り返すようになりました。
仲良くしようとしても、その方法がわからなくなり、
また、住む村でトラブルがあるたびに
自分が悪者をかって出ることもきつく、むなしくなりました。
悪役になりたくないので平和な村を選ぼうとしても、
トラブルのない村など、どこにもありませんでした。
とうとう青鬼は、何もかもが嫌になりました。
もう二度と、人間とも鬼ともつきあいたくないと思いました。
青鬼は、人気のない山に、一人ひっそり住むことにしました。
ところがそこに、山の麓にある村に住む黄鬼くんが通りかかり、
「友達になろうよ」と気軽に声をかけてくれました。
けれど、青鬼はもう誰も信じられず、ビクビクしていました。
黄鬼くんは、無理に近寄ろうとはせず、
時々、青鬼の家に来ては、玄関先に野菜を置いてくれました。
青鬼は、黄鬼くんが去った後、そっと家から顔を出し、
「あの人は、いい人かもしれない・・・」とつぶやきました。
ところがそんな黄鬼くんが村とトラブルがあったらしく、
それを風の噂で聞きつけた青鬼は、立ち上がりました。
「よし、僕が悪者になって、黄鬼くんを助けよう。」
悪役の服装をして山を駆け下りていく途中、
ちょうど野菜を抱えた黄鬼くんとばったり会いました。
「ちょうど良かった。君の家に、これを持っていく所だったんだよ。」
と、黄鬼くんはニコニコして言いました。
「黄鬼くん、ありがとう。ところで、君は、村で大変なんだろう?
今から君を助けるために、僕は悪役になるよ。
そして、ここから僕が離れれば、それで済むのだ。」
と青鬼が言うと、
黄鬼くんは顔を充血させて、オレンジの顔になりました。
「馬鹿なことはやめたまえ!僕のトラブルは僕のものだ。
君がわざわざ悪役になる必要はない。
君は、ここにいていいんだよ。ずっとね。」
青鬼は、ガクリとひざから崩れ落ちました。
「ああ、僕は、ずっと、その言葉を待っていた気がする。
・・・ここにいても、いいんだね?
もう、悪役にならなくても、いいんだね?」
「もちろんだよ。」
青鬼は、体中の水分がなくなるほど、大声で泣きました。
黄鬼くんは、青鬼が泣き終わるまで、
ずっと背中をさすってくれました。
その後、黄鬼くんは、自分の問題を自分で解決しました。
青鬼は、黄鬼くんの村にほどなく引っ越してきました。
そうして、やっと、青鬼は、安住の地を手に入れました。
黄鬼くんと親友になりました。
そして、もう二度と青鬼は、悪役をやらないでしょう。
おわり