以前テレビで見た海外の話。
ひそかに地下室を作った男が、
女性を3人ほど拉致して、そこへ住まわせ、
洋裁で服を作らせる。
その服を売って、収入を得ていたらしい。
女が脱走しようとすると、顔に入れ墨をしたり、
電気ショックを与えたり、殺したりした。
女たちは考えて、その男に、
ラブレターをたくさん書くことにした。
男はとても大喜びした。
少しずつ気がゆるんできた男の目を盗んで、
一人逃走し、事件が明るみに出て、男は逮捕された。
刑務所に入った男は、牢獄の中で、
「あんなに優しい手紙を書いてもらったのは初めてだった。
未だに感謝している。」と言ったという。
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それから、もう一つ。
漫画「パタリロ」でのエピソード。
自分の祖母が憎たらしいと言う孫に、
パタリロが毒薬を渡す。
「これは一ヶ月で死ぬ毒だ。
ばれないよう少しずつ飲ませろ。
体を揉んでやると、もっと良く効くぞ」
喜んで持ち帰った孫は、その毒を
毎日毎日少しずつ祖母の食事に毒を混ぜ、
食後には優しく言葉をかけながら、常にマッサージ。
待ちに待った一ヶ月後、祖母が感謝の涙を流して、
「今まで冷たくして悪かった。お前は優しい孫だ」と言った。
孫はびっくりして、パタリロの所へ飛んでいき、
「祖母を殺したくない。助けてくれ」と頼む。
パタリロは、「あれは毒じゃない。栄養剤だよ」と答える。
祖母と孫は、それから幸せに暮らした。
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愛を知らない相手にいくら優しくしてよ、と言っても、
お財布が空っぽの人にお金をよこせと言うのと同じ。
見たこともないもの、持ったこともないものは、
出そうにも出しようがないのだ。
だとしたら、少しでも持っているこちらから、
まずほんのちょっぴり、10円でも20円でも
「ほら、これが愛(orお金)というものだよ」
と本物を見せてやったりあげたりしなくては
相手はわからないままなのだろう。
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上記ふたつのエピソードの中に、
嘘のラブレター、嘘のマッサージが出てくる。
彼らは相手に対して、嘘の行動をしたのかもしれない。
99%はニセモノだったかもしれない。
けれど、その中に、1%、本物が混じっていたから、
彼らの心を動かした気がする。
相手に与えたニセモノ千円の中に、
たったひとつでも本物の10円が混じっていたとき、
本物を知らなかった人や
見たこともなかった人にとっては、
大いなる宝物に変わる。
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勿論出来れば、思いと行動が一致しているのが望ましい。
けれど、悪い思いを抱いたとき、
そのまま行動するのは、浅はかだ。
思いと行動が裏腹だって、いいじゃないか。
偽善者と呼ばれたって、いいじゃないか。
まずは、相手にとって、益になる行動をしてみよう。
ニセモノの行動でも良いから、たくさんやろう。
そうしたら、いつか、本物が混じってくる。
悪い行動は、悪い結果にしかならない。
けれど、良い行動は、良い結果に繋がる。
今出来る範囲で良いんだ。
自分の真の愛を、表現してみよう。
たった、10円の愛でも良いから。