今住んでいる社宅の側は一面の畑で、

舗装された道路が一直線に走っている。

トラクター用なのか、めったに自家用車が走らない。


深夜になると、時々、若者が、

大音響でバイクでやってきて、そこを走り回る。

その騒音に耐えかね、近所で引っ越し者も出た。


最初は私もいやだったが、

「ああ、また、虫の羽音だ。」と思うようにしたら、

グウグウ眠れるようになった。慣れとは恐ろしい。


こういう若者は、将来どこかで、

迷惑行動のツケを払うのだろうか?

と、ふと疑問に思うのだった。


*****


ところで、話が変わるが、

ある日曜の夜、同じ社宅のA氏(仮名)がやってきて、

今年度うちで管理している蛍光管を取りに来た。

私は、玄関に置いてある一本を渡す。


ところがすぐにA氏から電話があり、

「今いただいたやつは壊れていたので、また取りに行きます」

と、また来ていただいた。

私は、玄関にあったもう一つを渡し、風呂に入った。


ところがA氏がまた来て、ピンポンを鳴らしてきた。

シャイで玄関に出られない長女が夫の部屋に行って、

「誰か来たよ」と言うが、夫は

「今”天地人”を見ているんだ。邪魔するな!」と怒鳴る。

しかたなく長女が出ると、A氏がいて、

「もう1本も壊れていました。なので、共用倉庫から出しました。

 壊れていた2本は、こちらで処分します。

 新たに3本持ってきましたので、置いていきますね。」

とすごく親切に置いていってくれたのだそうだ。


あとになって、テレビを見終わった夫が

「玄関にある3本は何だ?家にある2本は何だ?

 A氏に何を渡したんだ?」と聞いてくるので、

風呂上がりの私が、

「玄関にあった2本を渡したけど?」と言うと、

「バカ。それは、古いヤツで、捨てようと思っていた奴だ。

 奥の部屋に、新しいヤツを置いてあるぞ、って言っただろ」

と怒られた。


そんなこと言われても。

玄関の2本が古いとは聞いていなかったし。

A氏を困らせるために、わざと壊れたのを渡した訳じゃない。

知らなかったのだから、しょうがないではないか。

だったら最初から、全部の蛍光管を管理している夫が、

A氏と会えばいいのに、テレビに夢中になっていたんじゃん。


「ああ、もう。A氏にあやまらないと。

 本当にお前たちは気が利かねえなあ!!」

と、夫は、私と長女に怒鳴って、話は終わった。


こういうとき、今までの私は、気が利かない自分を責めた。

が、「気が利かない」=「自分の思うとおりに動いてくれない」

という意味であることに気がついた。

いつでも夫の思うとおりに動けるわけはない。

動いて欲しいのだとしたら、報・連・相(報告連絡相談)を

もっと夫が家族にやるべきである。(・・・あ、私もか。)

今回、私は、自分に出来る精一杯をした。だから、もういいのだ。


ただ、A氏には今回たくさん動いてもらってしまって、

本当に申し訳なかったなあと思った。


ところで、A氏はとても若いお父さんで、

見た目がヤンキー風。

ひょっとすると、昔、パラリラと走っていた人かもしれない。

だとしたら、今回、社宅のために走り回ったのは、

何らかの過去の清算かもしれないのだ。


A氏が無駄足を踏んだことにも何か意味があるのだろう、

ということで、心静かに合掌させていただくのだった。