先月のバレンタインデー。
夫用にチョコを3つ買って、本人に渡した。
娘たち2人と私から、ということで。
数日後のある夜、夫はそれを開封して、食べた。
夫は、その箱を私に見せて、
「なんだかこのイラスト、すごく嫌だよな~」
と言う。
「え?」っと思って、箱をまじまじとみる。
私が買ったときは、すでに包装されていて、
透かしてみるとかろうじて
「おとうさんだいすき」と印字が読めただけだった。
が、その印字の隣に、メタボっぽい体型のお父さんが
スーツ姿で汗をかきながら歩いているイラストがあるとは、
思いも寄らなかった。
知らなかったこととはいえ、
私が選んで買ったチョコである。
「あらら。(お気に障ったのなら)ごめんなさいね」
とあやまったが、内心は複雑だ。
悪意を込めてそのチョコを買った訳ではない。
なのに、せっかくのプレゼントに対して
文句を言うなんて、ちょっと失礼なんじゃないか?
しかも夫は、こうも続けた。
「それにこのチョコ、不味いぞ。食ってみろよ。」
と、1個私に差し出すのだった。
それは、ショッキングピンクの銀紙で包まれた
ハート型をしていた一口チョコである。
私はそれを見て、
「見た目はかわいいじゃないか」と思ったが、
夫は、「なんだかハートが尻みたいだよな」と言う。
箱のイラスト、味、形、全部に難癖をつけている夫。
うーむ。どこまで悪態を付くのか。
私はそのチョコを口に入れてみた。
まあ確かに、ブランド物と比べたら、味は落ちるだろう。
けれど、そんなに悪くもなさそう。(味音痴ゆえ、わからん。)
今までの私なら、夫に、
「ちょっとぉ、文句の言い過ぎなんじゃないの?
せっかくのプレゼントなんだから、
”ありがとう”と受け取って、不満は言うべきじゃないでしょ」
などと、説教臭く愚痴ってしまうところだった。
が、いつもの説教臭さを
ふと何故か、今は捨てよう、と思った。
自分の意見をひっこめて、夫に同調してみた。
「・・・そうだね。ちょっと味が落ちるかもね。」
すると、夫は嬉しそうに、「だろ~?」とにっこりした。
その笑顔を見た途端、
携帯の圏外だったかのような夫と私の回線が、
ふいにカチリと繋がった気がした。
・・・正論を通すことに、何の意味があったのだろう。
それよりも、同じ感想を述べて、
今ここで同じ空気を吸うことの気持ちよさを
初めて味わった気がした。
足並みを揃える・・・って、こういうことなのだろうか。
初めての感覚で本当に驚いたので、記す。