台所で夕食を作っているときのこと。
『おかあさんといっしょ』の再放送を見ていた長女が、
居間から台所へやってきて、
「ママ、かわいそうだよ、あれ」と言う。
2人で居間に戻り、何のことかとテレビ画面を見たら、
ラストの体操場面だった。
体操のお兄さんと、彼を取り巻く子ども達が
一生懸命「ぱわわっぷたいそう」をしているのだが、
その中で、一人の男の子が、取り巻きの端っこで
お兄さんに背を向けて、姿勢良く、正座をしていたのだ。
「ね、かわいそうでしょ?いじめだよ、これ」
と、長女が言うので、私は、
「かわいそう(な子ども)じゃない!」と怒鳴った。
長女はきょとんとした顔をした。
「よく見なさい。この子は、ただ座っているだけでしょう。
他の子たちに、『踊るな』と命令されたわけじゃなくて、
本人が踊りたくないから、踊らないだけなのよ。
勝手に、イジメ話に仕立てるんじゃないの。」
「あ、そうか・・・。そういわれれば、そうかも」
画面は、エンディングの『スプラッピスプラッパ』になり、
歌のお兄さんとお姉さんが、腕でアーチを作り、
子どもたちがそこをくぐり抜けるシーンになっていた。
すると、さっき正座していた子は、
楽しそうにアーチをくぐっていた。
「ほら、楽しそうでしょ?いじめられてたんじゃないでしょ。
くぐっている間、誰かに押されていることも無いし。
さっきは、踊りたくなかっただけなんだよ。」
と私が念押しすると、
「本当だ。いじめじゃなかった。」
と、長女は納得したような顔をしていた。
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誰かがさみしそうな様子なのを見て
心を痛めるという優しい子に育ってくれるのは嬉しい。
けれど、話を脚色して、「誰かが加害者に違いない」と
作り上げるのは、どうかと思う。
安易に同情する前に、冷静に判断する力も持って欲しい、
などと、母は思うのだった。
とはいえ、私のように冷静に判断しすぎて、
情けをバッサリ捨ててばかりではやっぱり困るので、
私は長女の心の温かさを
見習わないといけないのかもしれない。
(11月27日記す)