朝、6時。目覚ましで目が覚めた。
同室で眠る二人の娘は爆睡中で、
相変わらず寝相が悪い。
まだ寝ぼけ眼でうだうだと蒲団の中にいると、
聞き慣れない音が外から聞こえてきた。
ぱたん、ぱたん、ぱたん・・・。
子どもが歩いてくるような音。
大人用のサンダルを無理して履いているような。
その音は、階段をゆっくり上がって、
五階にある我が家に来るようだった。
ドアの前に、ピタリとその音が止まった。
(こんなに朝早く、誰だろう?)と思う間もなく、
すぐ、また、
ぱたん、ぱたん・・・、と降りていく音。
なんだ?我が家への用では無かったのか?
それにしても、こんな早朝に、小さい子供が
ひとりでうちにくるなんて、考えられない。
小さい子供の、心当たりもない。
しばらくして、よっこらと蒲団から出た私は、
玄関のドアを開け、朝刊を取ろうとした。
が、朝刊が、ドアにささっていなかった。
「ん?今日、朝刊は休みだったっけ?」と
ボーッとしながら手ぶらで居間に行くが、
本日は休刊日ではないはず、と思い立つ。
じゃあ、さっきの足音は。
もしや、どこかの子どもがわざわざ上に来て、
我が家の朝刊を抜いていったのだろうか・・・?
心がざわつく。
が、そう考えた途端、
首の後ろに突然、激痛が走った。
あまりの痛さに立ち続けられず、座布団の上に
思わず土下座状態でうずくまった。
この痛みは、まるで、
寝違えた時の痛み、そのもの。
さっきまで、まったくどこも痛くなかったのに、
よそ様の子どもに対して疑心暗鬼になった途端、
こんな有様だ。
「ギャー!痛い、痛い。わかったぞ、人を疑ったからだ!
人を疑うと、私は首が痛くなるのか。
理解したっ。理解したぞ~~~!!」
と心の中で叫んでいたら、
痛みがどんどん和らいでいき、治った。
どうやら正解だったらしい。
思ったより早く、痛みが引いて良かった。
さて、問題の朝刊は、実は私より早起きした夫が、
トイレに持ち込んで読んでいたのだった。
それにしても、「寝違え=まちがえ」という
意味を表していたのだろうか。
今から思うと、こじつけっぽくて笑ってしまうが。
悪いことを考えたら痛くなるなんて、
まるで孫悟空の頭の輪っかみたいだ。
で、結局、今朝の子どもの正体と、
何故、我が家の前まで来て、すぐ去ったのか、
未だにそれは、謎のままである。