登山案内のボランティアをしている父は、「晴れ男」だ。


天気が悪いと予報が出ていても、

父が出掛けると、その日の山は必ず晴れになる。

(父が下山すると、雨になったりする)


そんな父だから、実のところ、雨具は必要ないはずだ。

が、山の準備は、怠らない。

必ず、雨具をしのばせていく。

たとえ、それが、いつも無駄な荷物になろうと、だ。



さて、父は、とある病院の警備もしている。

(定年を過ぎているから、アルバイトだが)

今年、私が夏休みに帰省しているときも、

父は、三交代の警備の仕事に行き、

そして、翌朝、戻ってきた。


もうすぐ北京五輪が始まるという、ある日のこと。

家族で朝食を食べながら、

父が勤務中に目にしたというスポーツ紙の話になった。


私は、そのスポーツ紙を見ていないし、

パソコンで確認も出来なかったので、

詳細は父の話からしかわからないのだが、

要するに、星野ジャパンが現地入りしたときに、

悪天候のために総練習が出来ず、

星野監督が悪態をついた、という内容だったらしい。


父は言った。

「星野監督は、こんなことは、言ってはいけないんだ。

 天に唾するような言葉は、絶対に。

 天気のことで、あれこれ人間は文句を言うべきではない。

 ましてや、

 監督という、人を率いる立場の人なら、尚更だ。

 星野ジャパンの運命は、これで決まったようなものだ。」


この言葉を聞いたとき、

さすが、晴れ男は言うことが違うなあと、

私は心の中で感嘆したのだった。