「僕の妻はエイリアン」という本を読破。
これを読んで、色々と感慨深かった。
この本は、貴重だなあと感じた。
というのは、
普通、「○○症候群について」という文献をさぐると、
医者から見て、「~な傾向がある」と書かれ、
「~の薬が効く」とか「~という対処法で・・・」としか、
書かれていないことがほとんどであろうから。
つまり、病気の内容とその対応策だけである。
しかし、この本は、
一般人が「高機能自閉症」の人と関わったときに、
どういう気持ちになるのか、
どういった点ですれちがいを感じるのか、
という具体的な目線を書いているので、
「高機能自閉症」かもしれない私にとっては、
ものすごく勉強になるのだった。
ここで「高機能自閉症」とは何かを書いておこう。
本から抜き書きしてみる。
”言語能力が非常に高いので、
「アスペルガー症候群」という分類に近い。
知的障害がなく、言葉もよく使えるけれど、
自閉症独特の特徴を持っている人”
また”自閉症の特徴とは、
社会性の問題(社会の中でうまくやっていくことが困難)、
コミュニケーションの問題
(人と心を通わせ、スムーズに意志疎通することが困難)、
こだわりや常同行動の問題がある
(特定の物事に強い執着を示し、
常に一定の行動パターンを守った生活を好む)といったもの”
と書かれていた。
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まるで異星人のような妻。
自分の思ったとおりに動かない妻、
常識から外れている妻を見て、
すれ違いを感じる夫。
夫は妻を病院に連れて行く。
そして妻は、「自閉症」と診断される。
その夫目線で書かれている本。
しかし、私は、その異星人妻の行動は
さして変とは思えない。
むしろ、夫の側に問題があるのではないかと私は読めた。
まず異星人妻は、毎朝ニュースを見る。
それを信じられないと言う夫。
この夫は、自分がニュース嫌いなのだそうだ。
ニュースはつまらないから、らしい。
そのつまらないことに興味を持つ妻、
毎朝、しつこく情報収集する妻が、異星人に思える夫。
異星人妻は、情報収集が好きである。
だから、夫よりはるかに見識がある。
そのため妻の話は、専門用語でちょっと難しくなる。
すると、この夫は、「俺をバカにしている」と感じる。
妻は、ただ、自分の思っていることを説明しているだけ。
異星人妻は無愛想で怒った表情が多いので、周りが敬遠する。
これは、私もそうなのだが、真剣に何かを考えているときは
顔の表情なんていちいち構っていられない。
なのに、「その不機嫌な顔は何だ!」と夫は怒る。
異星人妻は、言葉をそのまま受けとめる。
ケンカで「出ていけ!」と言われれば、本当に荷物をまとめる。
「あ、嘘。出ていくな!」と止めなければ、妻は橋の下に行く気。
思いつきで出た言葉を鵜呑みにする妻が信じられない夫。
自分の同僚に自分がちゃん付けでしゃべると、
妻もその同僚にちゃん付けで呼ぶので、夫は冷や汗になる。
「お前の行動は理解出来ない」と夫が言えば、
「どこが変なのか、きちんと教えて」と妻は何度も尋ねる。
が、夫は説明が面倒なので、「うるさい!」とその場から逃げる。
こうやって、ひとつひとつ例を取り上げてみると、
変なのは妻ではなく、夫であることが見えてくる。
この夫は、自分が思ったとおりに妻が動くことを望み、
それ以外の反応が返ってくると、妻に激高するのだ。
妻の何気ない行動を、勝手に裏があると読み違え、
一人で不安になったり、非常識だと決めつける。
「自分が思ったとおり=常識」と頭にあり、
その常識自体、あやふやであることに気が付いていない。
元来、常識というものは、多数決によって決まるものであり
普遍ではないのである。
戦争中、敵を殺すのが常識となれば、人を殺しても罪にならず、
戦後、平和を重んじるようになれば、人殺しは非常識になる。
それぐらい、常識は当てにならない。
妻が悪い、妻の方が変だ、と決めつける夫の方が、
本当は了見が狭いのだ。
妻は夫を理解するため、
夫に向かって何度も質問し、アプローチをはかるが、
夫はそれさえもわずらわしいと感じる。
「自閉症の人は、同じ質問をするからうんざりだ」と。
おいおい、どっちがコミュニケーション不足だよ・・・と、
私は読みながら、ぼそりとつぶやくのだった。
こんな無理解な夫がずっとそばにいるのでは、
妻が鬱病になっても仕方ないではないか。
ケンカになるのは、妻の異常行動のせいだと?
ふざけたこと、言ってるんじゃないよ。