その日、私はめちゃくちゃ腹が立っていた。
私はある間違いを、任された仕事内で犯していた。
けれども、気が付かなかった。
周りも教えてくれたり指摘してくれなかった。
そして、仕事についてから2ヶ月も経って
やっと自分で自分の誤りに気が付いたときに、
一緒に仕事する周囲の人々への怒りがわき起こり、
ひとり小一時間ほど延々と愚痴をこぼし続けた。
そのとき家には、軽い風邪で学校を休んだ長女がおり、
彼女がその愚痴話を聞く役目を負わされた。
その愚痴の内容とは、簡単に言えば、
「私はちっとも悪くない。悪いのは向こう!」だった。
長女は「うんうん。わかる。向こうが悪いよね。
それにしても、いつもはスピリチュアルなママなのに、
今日はブッ壊れているね。」と静かに言った。
「は?スピリチュアル?そんなの、関係ない!
めちゃくちゃ腹が立って、もうおさまらんわ~!!」
そのあと、少しずつ、言葉遣いが冷静になって、
愚痴言葉がだんだんロボットのような棒読みに変化した。
「あ、今度はママがロボットになった」
「ハイ、私ハろぼっとデス。デモ愚痴ヲ、イイマス。
ツマリ、周リノ説明不足ガ、ソモソモノ発端デアリ・・・」
そのうち、長女は呆れたのか、寝室に退却。
それでも私は一人で、ロボットのように愚痴を繰り返した。
ようやっと言いたいことを全部吐き出した後に、
スーパーに買い物に行くことにした。
すると、外で、先ほどの愚痴をぶつけたかった相手が
目の前でまさに2人で談笑していたのであった。
こういう偶然は、偶然ではないだろう。
2人は私に「あら、お出かけ~?」とにこやかだ。
私は苦笑いしつつ、「ええ、買い物に・・・」とすぐ離れる。
「いってらっしゃ~い」と背中で声が追っかけてきた。
ずんずん歩いていくと、なんだか悲しくなってきた。
あんなに良い人たちに、人知れず愚痴を言っていた自分。
情けなくなってきた。
でもって、私は、そんなときに、神様とすれ違ってしまった。
この神様とは、私の心の師である。
近所の小川で時々草花を摘んでは、
ボーッとしている名も知らぬお爺さん。
私はこの人の姿を見るたびに、何故か神々しさを感じ、
「神様だ、こんにちは」と心で挨拶をしていた。
もう、ずっと見かけていなかったので、もしや
天に召されたのではと心配していたが、ご健在でなにより。
で、まさに、その人が、片手に摘んだ雑草を持って
ひょうひょうとこちらに向かって歩いてきて、
私とすれ違ったのだった。
彼はもちろん私を知らない。悠々と歩き去る。
私は、この年齢だというのに、シクシク泣きだしてしまい、
「神様、ごめんなさい。ごめんなさい」と心であやまった。
元はと言えば、私の仕事の認識不足だったのに、
周りへの怒りに転嫁していたのだった。
そういう浅はかな自分に、泣けた。