「ママ~、リンゴを丸かじりした~い」
長女が大ぶりのリンゴをひとつ手に持って、
お手玉のようにもてあそんでいた。
「食べ物で遊ぶんじゃない!」と怒ったら、
不器用な長女は案の定、リンゴを足下に落とした。
リンゴは今家に、この一つしかない。
騒ぎを聞きつけ、次女も「リンゴが食べたい」と言い出した。
「じゃあ、半分こにしよう。
次女ちゃんにはちゃんとむいてあげる。
長女ちゃんの分は、半分カットで、皮むき無しにするからね」
と私が提案したら、長女は憤慨した。
「嫌だ!丸々ひとつ食べたいの!」
「もーう!我が儘、言うんじゃない!」
結局、二人に対して皮むきリンゴを出した。
あとになってから、
こんなにピリピリした自分の怒りを見つめる。
次女にはこんなに怒らないのに、
何故長女には、いつもきつく当たってしまうのか。
しばらく考えて答えが出た。
長女はいつも、自分のことしか考えていないからだ。
リンゴを所望することは良い。
ただ、一つしかないときに丸ごとよこせというのは、
他の家族のことを考えていないということ。
そして、あくまで公平を貫こうとする自分・・・。
そういうことが見通せたので、納得出来た。
今までの私なら、後になって長女に
「あなたはいつも自分のことしか考えていないから、
こうやってママが怒りたくなってしまうのよ」云々と
長々小言が出てきて止まらなくなるのだが、
今回は、それについて一切何も言わなかった。
小言を言う前にストップ出来た事を自画自賛。
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翌日になって、今度は学校から帰ってきた長女が
「アイスちょうだ~い」といいながら居間に入ってきた。
冷凍庫にソフトクリームが入っていることを知っていたから。
「いいよ。次女ちゃんにも1つあげてね」
と私が言った後、ふと気が付くと、
長女の後ろに、長女の友人がくっついてきていた。
「あ、どうしよう。アイス、2個しかないんだよね・・・」
私がそうつぶやくと、
長女は少し考えて、
「私の分を友達にあげるよ。私のは、いいよ。」
と言い出したので、びっくりした。
今までだったら、
「次女ちゃ~ん、我慢してね~」と言うところなのに。
小言を言わない方が、
長女は成長するのだと気が付いたのだった。