「ママ~、リンゴを丸かじりした~い」

長女が大ぶりのリンゴをひとつ手に持って、

お手玉のようにもてあそんでいた。


「食べ物で遊ぶんじゃない!」と怒ったら、

不器用な長女は案の定、リンゴを足下に落とした。


リンゴは今家に、この一つしかない。


騒ぎを聞きつけ、次女も「リンゴが食べたい」と言い出した。


「じゃあ、半分こにしよう。

 次女ちゃんにはちゃんとむいてあげる。

 長女ちゃんの分は、半分カットで、皮むき無しにするからね」

と私が提案したら、長女は憤慨した。


「嫌だ!丸々ひとつ食べたいの!」


「もーう!我が儘、言うんじゃない!」


結局、二人に対して皮むきリンゴを出した。


あとになってから、

こんなにピリピリした自分の怒りを見つめる。


次女にはこんなに怒らないのに、

何故長女には、いつもきつく当たってしまうのか。


しばらく考えて答えが出た。


長女はいつも、自分のことしか考えていないからだ。


リンゴを所望することは良い。

ただ、一つしかないときに丸ごとよこせというのは、

他の家族のことを考えていないということ。


そして、あくまで公平を貫こうとする自分・・・。


そういうことが見通せたので、納得出来た。


今までの私なら、後になって長女に

「あなたはいつも自分のことしか考えていないから、

 こうやってママが怒りたくなってしまうのよ」云々と

長々小言が出てきて止まらなくなるのだが、

今回は、それについて一切何も言わなかった。


小言を言う前にストップ出来た事を自画自賛。


****


翌日になって、今度は学校から帰ってきた長女が

「アイスちょうだ~い」といいながら居間に入ってきた。

冷凍庫にソフトクリームが入っていることを知っていたから。


「いいよ。次女ちゃんにも1つあげてね」

と私が言った後、ふと気が付くと、

長女の後ろに、長女の友人がくっついてきていた。


「あ、どうしよう。アイス、2個しかないんだよね・・・」

私がそうつぶやくと、

長女は少し考えて、

「私の分を友達にあげるよ。私のは、いいよ。」

と言い出したので、びっくりした。


今までだったら、

「次女ちゃ~ん、我慢してね~」と言うところなのに。


小言を言わない方が、

長女は成長するのだと気が付いたのだった。