小説です。つづきものです。
「Bという名の男 1~2」をまず、お読み下さい。
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怪物Dは、いつものようにBを食べることをせず、
ただただ、泣きじゃくるので、Bは驚いて尋ねた。
「な・・・何でオレを食べないんだ?」
「ワイはなあ、腹が減っていつも死にそうな怪物や。
それやから、人間が落ちてきたら、必ず食べる。
やけど、おまえはんは、
落ちてくるたんびに、どんどん苦くなってくる。
まずくて食いたくないねん。いやなんや。ううう・・・」
「そうか・・・。お前も辛かったんだなあ・・・」
Bは怪物Dに同情して、Dの肩に手を置いた。
すると、怪物Dは、なんと龍の姿に変身した。
感激した龍は、Bを背中に乗せて、空へ舞い上がった。
地獄のすぐ上の世界に上ることが出来たBは、
自分がかつて助けた人々全員の歓迎を受けた。
「ああ、良かった、B!」「待っていたよ」「心配したよ」
「会いたかったよ」「あのときは嬉しかったよ」
そこで、Bは、やっと気が付いた。
彼らは、ずっとBを案じていてくれたのだ、と。
ここでずっと小さな穴から下の地獄を覗き、
はらはらしながらBを見ていてくれたのだ。
そして、「どうかBが食べられずに済むように」と願いつつ
彼らの流した涙が、Bの体に知らず知らずについて、
Bの体が苦い体となっていたのだということに。
Bは、再会を果たした彼らと共に、熱い涙を流すのだった。
すると突然、頑固ジジイのJが、ふふふと笑いつつ姿を変えて、
イエスキリストになり、手には「ドッキリ」の看板を持っていた。
みんなは、訳がわからず目が点になる。
「お前達、よく頑張ったなあ。ここへ来るには、
”真の感謝の気持ち”が必要だったのだよ。」
Bは、あっと、驚いた。Jは、イエス(=ジーザス)のJか。
じゃあ、最初に助かった女性、Mは?
「マグダラのマリアだ。」
じゃあ、Dは?
「友人の大仏だ。」
イエスの説明に、みんなひっくり返った。「フルキャストかよ!」
「さあ、お前達、試練はまだまだ続くのだよ。
私についてきなさい」
イエスは、「ドッキリ」の看板をツアコンの旗に変化させ、
助かった亡者達を先導しはじめた。
Bは、してやられた、という表情をしながらも、団体の最後についた。
Bは、ふと、首を傾げる。
自分の、「B」という名は何なのかと。
記憶を無くしているので、どうしても名前が思い出せないのだった。
たぶん、最後の最後にわかるだろう。
Bは、菩薩ということを。
===おしまい===
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お楽しみいただけたでしょうか。
「B」とは、私たちみんなです。
私たちみんなが、
菩薩になるために、この世に居るんですよ。
(もしくは、自分が菩薩と忘れているだけ。)
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(訂正)
上記の話の中で、
マグダラのマリアをイエスが
「私の妻」と紹介していた部分を削除しました。
先日、「キリストの秘密」という本を読んで、
マリアは妻ではないようなので・・・。
私の創作話とはいえ、
勝手に夫婦にしてしまったのは良くないことでした。
お詫びして訂正いたします。 2008.5.20