少し前の日曜、近所の公民館で「こどもまつり」があった。

近隣の小学生を主にターゲットにした、地域のお祭りだ。


小学生の長女は、友人らと先に出掛けてしまった。


園児の次女は鼻風邪気味だったので、

私はポケットティッシュを大量に持参した。

次女とふたりで、徒歩で現地に到着。


公民館の前には屋台が出来ていて、

綿菓子や焼きそば、フランクフルト、ジュースなどが

にぎやかに売られていた。


そこで食べ物を買い、公民館の中の

会議テーブルで食べることにした。


大きなテーブルが二つしかないので、

当然、他の家族と相席だ。


椅子が少なめのため、私は立ったままでいた。

次女だけ座らせて、

割り箸に巻き付いた綿菓子を食べさせる。


ふと見ると同じテーブルで、見知らぬ親子(父と娘)の

2人が並んで座っていた。


その娘さんは、一心不乱に焼きそばを食べている。

その横でお父さんらしき男性が、

「ごめんな。お父さん、ティッシュ忘れちゃったよ。

 口が拭けないね。ごめんよ、ごめんよ。」と

ずっと小声であやまっている。


私はカバンの中からティッシュを取り出し、

一袋全て「どうぞ。使ってください。」と差し出した。


男性は恐縮しつつもそれを受け取り、

愛する娘の口をぬぐってあげた。

ソースまみれのお顔は、あっと言う間にきれいになった。


目を転じると、今度は別の親子(父と息子)が目に入った。

父親だけが、椅子を斜めにして席に座っていた。

息子はフランクフルトをかじりながら

父親のそばに立っている。

そしてその父親は、その息子の顔に

風船ヨーヨーをぶつけるようにして遊んでいる。

子どもの口は、やはり飲食物で汚れていた。


私は、その父子にはティッシュをあげなかった。


なぜなら、

彼らは困っていなかったからだ。