小説です。「百輪村物語」の番外編です。

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番外編は(番:通し番号〇)にします。

 

 

小説と漫画をまとめた目次はこちら→ 百輪村物語 目次

 

 

登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

☆主人公は、村長のEと大工のDです。
 
【今回の登場人物たち】
E(村長&小学校教諭)  栄一  エデン
K(美容師・Eの妻)    加恵  カーラ
D(大工)        大吾  デイビッド
 
A(村のボス・故人)   悪久太  アーク

 

では、どうぞ。↓

 

見えないお休み(6)

 

 

「ひゅーひゅー、お熱いねえ、お二人さん」

 

 

 EはKを抱きしめたまま、

上体だけををねじって振り返りました。

 

 アロハシャツを着た観光客らしい男が二人、

ニヤニヤしながら近づいてきます。 

 

Kはびくっと肩を震わせました。

Eの腕の中で、指先がきゅっとEの服をつまみます。

 

EはKを守るように、

抱き寄せる腕に少しだけ力を込めました。

 

「かわいい子つれてきちゃって~え」 

「そんな優男より、こっちに来いよ」 

 

KがEと男たちを交互に見ました。

「やめて。あぶないわ」

 

「K、少しずつ後ろに下がって」と小声で伝えた後、

EはKを自分の後ろ側に回します。

 

Kは海側の方へ後ずさりしながらも、

Eの広くて頼りになる背中を見ていました。

 

Eは、Kとの安全距離を目の端で計った後、

目の前の男たち二人に

「邪魔しないでもらえます?」と静かに言いました。

 

「お前が邪魔なんだよ!!」

観光客の男の一人がEを殴ろうとします。

 

が、次の瞬間、その男は砂浜にドウッと倒れました。 

 

Kは両手で口をおさえたまま言いました。

「ああ、だからあぶないって言ったのに・・・」 

 

Eはにっこりして、もう一人の男に言います。

「そちらの方も、お昼寝をご希望ですか?」

 

立っているアロハシャツの男は顔面蒼白になり、

「す、すみませんでした。消えますんで」と謝って、

ぐったりしている男を抱きかかえて逃げました。

 

また静かな背景となり、Kは思わずクスクス笑いました。

「Eったら。お昼寝って・・・ふふふ」 

 

「大丈夫?怖くなかった?」 

EはKの方を振り返ります。

 

「ううん。

 ・・・Eがいたら、もう、何も怖くない」

Kは、軽く首を左右に振りました。

 

「良かった。

 ・・・つい暴れてしまったよ。だめだよな」 

Eは、過去の手癖が出るたびに、反省モードになります。

 

「だめじゃないわ。

 あなたの全部が好き。大好き」 

KはそっとEの手を包みました。

 

「・・・」 

Eは視界がにじんでくるのを感じながらも

Kをそっと抱き寄せ、民宿の方へ歩いていきました。

 

 

 

 

新婚旅行があと4日で終わるというとき。

 

民宿でKが美味しそうに魚料理を食べているのを、 

対面で食べ終えたEはじっと見ていました。 

 

E「Kは本当に魚が好きなんだね」

 

K「うん。それに、取れたてのお魚でしょう?

 村に帰ったらもう食べられないから、

 今のうちに、いっぱい食べておくの」 

 

E「・・・。

 K、ちょっと出かけてきていいかい?」

 

K「あ、うん。どこへ行くの?」

 

E「野暮用だよ。すぐ戻るから」

 

Eは持ってきた夏用のスーツにネクタイを締め、

民宿を飛び出しました。

 

 

ーーそして1日が経過しました。 

 

「どこへ行っちゃったのかしら。

 ぜんぜん帰ってこない・・・」 

と、Kが心配していると、Eがドアを開けて戻りました。

 

「K、契約成立だ!」 

「え?え?何?なんの話?」 

「ほら、これを見て」

 

Eが手に持っていた契約書を差し出しました。

 

このリゾート地の魚市場と百輪村が、

定期的に魚と農作物をトレードする契約を結んだようでした。 

 

「これでKも村のみんなも、

 いつでも魚を食べられるようになるよ。

 あ、それから、

 中古の大型冷凍冷蔵庫もゆずってもらえたから、

 保存の心配もないぞ」 

 

そう言うと、Eは商談に疲れたのか、

ソファーに腰を下ろした途端、すうっと眠ってしまいました。

 

Kは小さく笑って、

(あらら。お疲れ様)

と、そっと毛布を掛けてあげました。

 

そして毛布の端を整えながら、

(・・・この人を、私が支えていこう)

と静かに思うのでした。

 

 

ーーその頃、百輪村ではーー

 

新婚夫婦へのサプライズプレゼントとして

Eのカフェバーを改築するDたちが、

タイトな納期に追われて血眼になっていました。

 

・・・が、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

(「見えないお休み」終)

 

 

 

 

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ちなみに、その別の話(村での様子)は、こちらです。

 

 

 

また、Eたちが新婚旅行から戻ってきたあとの

話がこちらです。

(冒頭に少し様子が載っています)

 

 

 

 

(12章も13章も過去の作品なので、

 クオリティがちょっとアレですが、

 雰囲気だけでも楽しんでもらえると嬉しいです💖)