孫息子と2回めの映画デートは私の好みで設定した。
映像好きの彼は、期待感いっぱいのようだったけど、途中で「あとどれぐらい」という始末。
おまけのメイキングビデオは見ずに退出した。

確かに映像はとてもきれいだったけど、これといった見せ場があるわけではなく、BBCののドキュメンタリーをつないだだけという印象だった。ちょっとがっかりした。ひとりで見れば、もう少し映像にのめり込んで違った印象をもったかもしれないけど。

ネイチャー

最近、また見たいと思う映画によく出会う。
そのうちの2本を見てきた。
タイプの違う2本だけど、本質のところでは同じテーマが流れているような気がする。そして、やるせない気分になるところも。。。

「チョコレートドーナツ
原題は「Any day now」。なに故、「チョコレートドーナツ」などと思えないことはないけど、いい映画だった。
時代は、70年代アメリカ、まだゲイに対しての偏見が根強くあったときだ。(今でもあるけど)。その時代にゲイカップルが、母からの十分な養護を受けられないばかりか、母は薬物中毒で刑務所に入ってしまった、ダウン症の男の子を養子にしようとするお話。実話らしい。
「愛」ってなんだろうとか、なんてガラにもないことを考えてしまった。

プリズナーズ
ヒュー・ジャックマンの演技が凄い。一瞬も目が離せないほど、ドキドキするサスペンスだ。仲良し家族の娘二人が失踪。彼女たちを探す家族の必死な想い、そしてそのためには、何をしても許されるか?
私なら・・・・という問いが追いかぶさる。それと同時に常に神に祈りを捧げる敬虔な人々、善良な人々・・・・、信仰ってなんだろう・・とも思った。
ひさびさに見たサスペンスの良作な気がする、

すべての検査、処置が終わってから、はじめて先生と向かい合った。
私の手術部位はすべて写真に撮られ、そして注意事項と診断書と一緒にお土産にくれた。
私の腸は、ヒダがとても多い腸らしく、その分死角もできやすいらしい。できれば、1~2年ごとに検査をするのがよいらしい。
あんなに検査前には、恐怖いっぱいだったのに、私はまた来年も検査しようという気持ちが湧き上がり、自分でも驚いた。
8mmあったポリープは、後3年もすればたぶん立派ながんになっていたらしい。まあ、組織検査を待たねば、どういう種類のものかは、はっきりしないけど、彼の言葉は信頼にたると思える何かが私の中ですでに生まれていた。
休日、もし出血した場合の緊急連絡先の番号をもらい、私の長い検査とポリープ手術の日は終わった。
あとは、2週間出血などしないように祈るばかりだ。

内視鏡は、ぐんぐん私の中を進んでいく。薄いイエローとピンクに彩られた洞窟を探検しているような錯覚に陥る。
かって、子供の頃見た映画「ミクロの決死隊」を思い出す。いまは、あの話がスタイルは違うものの、現実のものになったのだ。
「私の腸、なかなかきれいじゃん。やっぱり、潜血は間違いだったんだ」と思った瞬間。先生が叫ぶ
「大きなポリープがあったよ」
私絶句。それでも勇気を出して訊いてみる。
「それって、がんの子供ですか?」
先生 「たぶんそうだよ。長年の経験からわかるんだ」
私・・・・・・・「切ってください。全部」
もう痛くってもなんでもいいと思った。さっさと終わらせたかった。
もっとも、痛みは、ほとんどない。強いていうならば、女性の生理痛を強くしたような重い痛みを時々感じる程度である。
ポリープ切除が始まった。
私の腸が血を流している。

ポリープは3つ。大きなものは8mmだった。
それは、組織検査に出すらしい。
大きなポリープ切除は他の2つと違い、クリップで3箇所止血がされた。
クリップをクローバ型に留めるんだ・・・と血を流す自分の腸を興味深く見ていた。ほとんど私にとっては、バーチャルの世界だったのだ。

待合室には、中年の男性が二人。ひとりは、これから検査を受ける人だろう2Lの容器を目の前に置いて、飲んではトイレを往復している。遠方からくる人にとって、その方法しかないのだろうと思う。
もうひとりは、どうやら、診察室にいる同伴者を待っている人だっとようだ。

やがて、名前を呼ばれ、検査室の方へと向かった。もうドキドキもしない。
小心者のわりにその場になると度胸がるというか、覚悟を決めて、どうでもいいやと思うタイプなのだ、私は。
看護婦さんに着替えを渡される。紙というか、不織布というのか?でできた上下のものに着替える。パンツは、履かない。パンツの方には、お尻の部分に穴があいている。もう、おばあさんだから羞恥心がなくなったのか、別に恥ずかしいとも思わなかった。
検査室の真ん中には、ベッドが片側には、なにやら、いかめしい装置が並んでいる。工場みたいとふと思った。そして、反対側には、巨大なモニターがった。やがて、医師が登場。
看護婦さんが静脈に、鎮静剤を注射する。このクリニックでは、基本的に麻酔薬は使わないらしい。
「痛くないように、お願いします」たぶん私は、3回ぐらい繰り返して医師に言ったと思う。
お尻に内視鏡が挿入されたのと同時に私は自分の言葉を忘れて、モニターに映し出される自分の腸の映像に夢中になった。