吾唯足知 | 風を感じて

風を感じて

アラカンに突入。セカンドライフ、ぼちぼち行こか。

今年もあと2週間足らず。
本当にいろいろあった1年でした。

正月早々、おみくじで凶を2回も引いたかと思ったら、家族全員胃腸炎にかかり、やっと転職できた会社の雇い止めにあって、そして最愛の貫太とのお別れ。反面、新しい仕事が始まったり、母の米寿や還暦のお祝いもあったりで、なんか早期退職してからは山あり谷ありの2年間です。

そんな1年を締めくくる年末を迎えて、さらに大事件が発生。
人生ではじめて弁護士さんにお世話になるような事態に巻き込まれています。

身内の恥を晒すようで恥ずかしいのですが、義弟(嫁さんの弟)がやらかしてしまいました。

FXやら投資やらに手を出して、中古フェラーリが買えるほどの負債をかかえ、返せなくなって泣きついてきたと、先月、義弟一家の隣に住むおじじ(義父)から連絡がありました。

負債金額もさることながら、これが初犯ではないというのが家族全員ショックでした。
過去に2回もやらかしていて今回が3回目。
1回目は義弟の結婚前に高級国産車が買えるほどの借金。これも投資。半分騙されたようなことらしかったのですが、所詮、泡銭を得ようとした欲の結果です。
2回目はほんの5、6年前、またまた投資と仮想通貨で前回以上の負債と、それに加えて一時的に儲けが出た時に納税申告をしておらず、追徴課税で倍近くを支払わねばならず、返済できなくなって、結局、その2回の負債すべてをおじじが肩代わりしていました。
定年後の老後のためのお金の大半を使わせてしまいました。

ボクと嫁さんがこれら過去の件を聞いたのが2回目の件をおじじが精算してしばらくしてから。
もうすべてが解決したあとでした。

結局、義弟は自分の借金を一銭も払わず、おじじがすべて肩代わりしてしまったのが良くなかったみたいで、このとき少しでも自分で借金の返済をしていれば3回目はなかったのかも。

今回は過去の2回分を合せたよりも大きい借金です。妻も子もいて、3回目というのが信じられないのと、なんでもっと早い段階で止められなかったのか、あきれてものも言えません。
投資は余剰金でやっていくのが鉄則で、生活を賭けるものではないことくらい50も過ぎたらわかるやろ。
嫁さんのショックも大きかったみたい。
でも2回目の時に泣いて反省していた姿を目の当たりにしていたおじじやおばば、そして奥さんである義妹の失望感は測り知れません。
前回の件でおじじや奥さんと交わした約束も守らずに嘘をついて射幸にのめり込んだようです。

義弟は根は真面目で優しくて気の弱い男なのですが、最初に勤めた会社でのパワハラで心を病み、休職して心療内科に通っていた時期がありました。
それでも今のケアマネの仕事に就いて、結婚して子供も持って、おじじの名義の家に別世帯として住まわてもらい、家賃や固定資産税などの心配もなく、なんの不自由もなく生活できていたはずなのに。
その恵まれていたのがかえっていけなかったのかも。

そんなこんなで、ここ1ヶ月ほどは毎週おじじの家に集まって家族会議。
返済能力がまったくない中古フェラーリ級の負債をどうしていくかを話し合いました。

それでまずは弁護士に相談することに。
弁護士が間に立つことで、債権者からの請求は一切止まります。
その上で債務整理の方針を決めていくことにしました。

最初は任意整理として、決められた期間で元金のみを返済することで進めようとしましたが、義弟の収入や貯金が少なく、さらにまだ子供が小中学生であることから、身内の援助なしには返済がままならない状況であることがわかりました。

それでわが家も今後の年金生活を控え、決して楽な暮らしとはいえない中で、いくらかまとまったお金を捻出する覚悟をしました。
さらにおじじはこれまで散々むしり取られたにもかかわらず、保険の解約などかき集めてお金を出すと言い出したとき、母と同じ米寿を迎え、本来ならば穏やかな老後を過ごすはずなのに、こんなふうに何度も子供の借金の心配を強いられることになんとも言えない悲しい気持ちになりました。
親とはいくつになってもありがたいと思うと同時に、義弟に対して、この親不孝ものめがっ!と怒りを覚えてしまいます。

結局、借金の半分近くをおじじとわが家が肩代わりしたとしても、本人が返済できる見通しが立たず、任意整理を断念せざるを得なくなりました。

やむなくもう個人破産するしかないかと弁護士に相談したら、FXや投資などのギャンブル性の高いものに手を出しての借金、さらに過去に同じことを繰り返している現状では、借金をチャラにできる免責が裁判所で認められない可能性があるとのこと。
そうなれば負債は残ります。
さらに破産管財人が付いて、財産調査などに入ることでいろんな制約も生まれ、手続きも複雑になるので、その手前の個人再生の方法を取ることにしました。

個人再生も再生委員の調査が入り、その結果を踏まえた裁判所の判断に委ねられるのですが、借金の理由や過去の経緯は問われず、認められれば大幅な負債の減額が可能になります。
今回のケースだと5分の1以下まで減額されるようです。但し、返済期間は3年。また当然ながら債権者の過半数以上の同意が必要になるのですが、破産されてまったく返ってこないよりはマシなので、ほとんどの場合は債権者の同意は得られるみたいです。
今回の債権者はカード会社など10社以上にのぼります。

財産や収入などに関する情報の提出など、裁判所へ個人再生を申し入れ後に、再生委員が家計の収支や返済計画などを調査して、裁判所が個人再生を決定するまでにおよそ半年近くかかるそうです。
まだまだ先は長い。

でももうこれ以上、義弟を責めるのはやめておこうと思います。おじじ、おばばは、もともと打たれ弱い義弟なので、こんな状況に陥って、追い込まれて自分自身を傷つけるようなことにならないかをすごく心配しています。

嘘をついたり、子供の預金に手を出してまで止められなかったのは元々の心の病も関係しているのかもしれません。
わが家は再度心療内科を受診することを条件に必要な援助はしていこうと決めました。
ただ借金が減額されるとしても、今度は自分のケツは自分で拭かせます。必ず返させます。
まずは心の健康無くして再生の道はありません。

そしてそのためには義妹の支えがなくてはならないですが、もうハンコを捺した離婚届をいつでも出せるようにスタンバイはしているみたいです。
そうなっても仕方ないことですが、でも今はその覚悟を持って、義弟と一緒に再生の道を模索してくれています。

ちょうど先月末に57歳を迎えた義弟ですが、もう今は家族の信用はゼロです。でも誰も見放さないことを彼に伝え、今度こそ本気で再生してほしいです。

吾唯足知

彼にはこの言葉を送りたいです。


Photo by (c)Tomo.Yun 
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