名も知らない半分AIの女の子が悪い人たちに捕まっていた。
表は綺麗な銀行で地下は強制労働の工場になっていて、昼夜問わず他の捕まっているたくさんの人たちと一緒に働かされている。
僕はそれを助けたくて、仲のいい友達に待ち合わせ場所に車で来るようにだけ伝えて、真夜中に単身その工場に乗り込む。
その子を見つけるまではなんの障害もなくて、手を握って走り出した瞬間に警報が鳴るの。
でも、僕はそんなのお構いなしでその子の手を引いて工場の外まで走る。
待ち合わせの場所まで辿り着いて、呼んでいた友達の車にその子を押し込んだ。
後ろには車やバイクや戦車みたいなので悪い奴らが追いかけてきているのがわかっていて、逃げ切れそうもなかった。
だから、僕は友達の車に乗らずに、そのまま後ろを振り返り悪い奴らに向かって走っていった。
案の定、僕は捕まってしまう。
そこから牢屋みたいなところに入れられて、真っ暗の中、僕は一人でうずくまっている。
でも、よく見るとそこには僕一人ではなくて、ヨボヨボの無精髭の濃い白毛混じりのお爺さんがいて、その人に抱きしめられる。
なぜだか、嫌な気はしなくて深く深く心地よい眠りにつける気がしていた。
ただ、そのお爺さんとはその一度しか会う事ができなかった。
そんな時なぜかポケットに入っていた携帯が鳴る、電話に出るとその女の子と友達からだった。
僕のことを心配してくれていた、でもここで助けを呼んだらまた同じことの繰り返しで誰かが捕まってしまう気がしていた。
だから僕はそれを断り、携帯を壊した。
そこから、ずっとその牢屋にいた。
もう何十年たつだろうか。ずっと何かの研究をさせられている。
半永久的に動ける人間を作るために、僕は生かされている。
それが完成する頃には
僕はもうヨボヨボのお爺さんになっていた。
ある時、一人の青年が奴らに捕まり、その牢屋にやってきた。
話を聞くと、誰かを助けたのだと。
必死に走ったのだと。
スッキリして、何かを諦めたように語るその青年が痛々しくて、僕は泣きながらその子を抱きしめていた。
そして僕は決意した。
その青年を今ここで殺してしまおうと。