私はタクシー運転手専業時代に、星野仙一さんを三度偶然乗車していただいたことがある。

 

1度目は、今でも良く覚えているけど、ホテルオークラから赤坂見附までのワンメーターの距離であった。

タクシー待ちをしているときエントランスから出てきたときに星野監督だとすぐ気が付き、テレビでのイメージや野球の監督時代などのイメージで、鉄拳制裁の星野などすごく怖い人だと感じ非常に緊張したのを昨日のことのように覚えている。

 

テレビでは、そんな大柄に見えませんが実際185センチの自分から見ても大きい人だなと感じ、手に汗かきながら運転した。

少しでも運転で不備等があれば何か言われるのではないかと、また、その当時金髪でタクシー運転手やっていたので「おまえ、なんだその髪は」なんて言われやしないか、ビクビクして運転したのを覚えている。

 

すごいオーラ―を発していて、なかなかバックミラーで顔みることも出来なかった。

 

赤坂見附駅前で降車し、その当時ワンメーターが730円で1000円出してお釣りはいらないとピン札の1000円を置いて颯爽と降りて行った。

2度目も、それから数か月後にまた、ホテルオークラから星野監督を偶然にも乗車していただき、たしか1500円前後の料金で、ピン札2枚を置いてお釣りはいならいと降りて行った。

 

その後、仲間のタクシー運転手と話していたところ、星野監督を乗せたという話を聞くことができた。皆一様にビクビクしたやオーラがあったなど緊張して運転したのは同意見で、また「お釣りはいらない」とチップをもらったという話も同意見だった。

 

星野監督は常にタクシー運転手に小銭の端数はチップとしてあげていたのだろう・・・・・・

 

3度目の乗車は、いつか忘れましたが、3度目ということで意を決し「僕のタクシーに乗っていただいたのは3度目です」と話した。

目的地まで話した内容は、あまり覚えていませんが、監督が現役時代ショートフライを宇野選手がエラーして頭にボールをヘディングしたの良く珍プレー好プレーとの特集で見ましたと言ったら、笑ってくれたのを覚えています。

その後、金額は正確に覚えていませんが、お釣りのお銭とピン札1000円を差し出し「これで飲み物でも買って」と渡されたのがいい思い出になっている。

 

チップを星野仙一さんからもらった運転手は沢山いると思うし、タクシー運転手からも愛されていたと想う。

 

タクシー業界を代表として、ご冥福をお祈り申し上げます。

 

下田ひろき