マルバルコウソウ



今まで色んなこだわりや、縛りの中で生きてきたと思う。
その土地の中での慣習や、
周りの意見に振り回されて生きてきた側面もある。

だがもっと幼いころのことが影響していたように思う。

一番印象的な言葉。それは、
「お前はバカなんだから、せめて笑っとけ」
そう兄からいつも言われていた。

母にとって兄は特別だったし、
私にとって、兄は父親よりも「尊敬する人」だった。

またこんなシーンも繰り返し自分を傷つけた。


仕事で居ない父親の事を、母親と兄の二人が酷く貶す。
そして最後は私に、
「お前はお父ちゃんそっくりや」
と2人から言われる。

私はあの時、怒ったり泣いたり嫌がったりしたのだろうか。

いや違う。
記憶の中では、ただ笑ってごまかしていた惨めな自分が見える。

人前で自分の子どもをけなすことで、相手を褒めようとする父親。
それを窘めないで横で笑っている母親。

困ったような顔になる来訪者。

 

関西独特の”冗談”が下品で嫌いだった。

どうして人の嫌がることを言って、笑えるのかが分からなかった。


「お前は冗談が通じひん奴や。」
と、逆に怒られて、常に家族の中で浮いていた。

 


こんな家庭ってどうでしょう。
もっと酷い家庭もあるよと仰る方もあるのでしょうか?
まさか、そんな家庭もあるの?と驚かれるのでしょうか?

ある意味私は「バカ」だから、
本当にずっと笑顔で明るくしていなければと思って生きてきた。
「明るくて良い人」
といつも周りから言われてきたし、
それが唯一の長所であるかのように周りは評価した。
そして、私もそれが自分の長所だと思っていた。
周りがそう言ってくれるから。
両親や兄が、そう言ってくれるから。
私の長所はそうなんだと思っていた。

そしてもう一つは常に「一生懸命」やることが、
人から認めてもらえることだと勘違いしていた気がする。

何を誰に認めてもらいたかったのだろうと今では思う。