ユンジェ小説 「Still in love」3
こんばんわ~
やっと3話が出来ましたので、やっとアップいたします。
実はお休みのうちにと焦っていたのですが、町内会のお仕事も押してまして(^_^;)
休みに半分は時間とられて、こんな時間になってしまった(泣)
今日はちょっとえっという展開です。
こういう世界嫌だと思う人もいるかも(^_^;)
でも、ジェジュンの今度の歌は、どうもこういう暗いものが見え隠れする。
普段の彼とは別物ですので、割り切って読んでくださいませ。
ただ、、、彼は絶対、自分が望まなくてもその手の人にモテそうな気がする。
単に思い込みですが(爆)
でも、ユンジェペンですからね、、、ジェジュンの心はユノに。
これは基本です!!
では、いままでにないユンジェの世界へ。
ジェジュンが目を覚ますと、ユノはジェジュンの寝ているベッドの端に突っ伏したまま
寝てしまったようだった。
薄手のカーテンから朝の光が差し込んで、精悍なユノの浅黒い横顔に光を当てている。
ユノは、ジェジュンの色白で少し女性的な美貌とはまた違った、切れ長の眼と男らしく
すっきりとした輪郭を持つ整った顔立ちだった。
ジェジュンは自分と違うそんなユノの男らしい容貌にも、少しのコンプレックスと憧れを
同じくらい持ち続けていた。
「お前みたいになりたい、、、、ってずっと思い続けていたのにな。」
そんなユノにも昨日聞いたような迷いや後悔があると知って、驚きまたすこし安堵している自分もいた。
遠い存在のユノが少しだけ自分に近づいたような、、、
でも、同時に一生懸命自分の道を模索し、前に進もうとするユノのそばに、やはり自分が
近づかないようにしなければという思いが強くなっていた。
どこまでいっても、自分とユノの道が一緒になることはない。
何より、自分のいる危ない世界にユノを引き込みたくはない。
自分がその世界を離れられる保証もないのだ。
ジェジュンは、美しく光に照らされたユノの横顔をじっと見つめながら
意を決したように体をそっと起こした。
ベッドの横にある机の上のノートを一枚破って、そこにあったペンで書き置きを
したためた。
「ユノ、昨日はありがとう。
お前との誤解が解けて、ほっとした。ユノはいつまでもユノらしく。
お前の思うようにな。いつかまた会えたら。 ジェジュン。」
行き先も、連絡先も書かずそれがユノへの精一杯のラブレターのつもりだった。
いつかまた会えたら、、、、それはジェジュン自身が祈るような気持ちで書いた言葉だった。
ユノの部屋を出て、朝の街を歩き始める。
どうやって、これから暮らしていこうか。
ジェジュンの両親は小さい頃に亡くなっていて、高校の頃面倒見てくれていた祖母も
帰らぬ人になっていた。
唯一、ジェジュンの兄がこの街から列車で3時間かかる街の大きな造船工場で働いている。
ジェジュンが中学の頃、ぐれて悪い仲間に引き込まれたときも随分心配してくれた兄だった。
その兄ともほぼ絶縁状態になってしまっていたが、今頼れるのは兄しか居なかった。
所持金はその街にたどり着くほど持っていない。
仕方なくジェジュンは公衆電話からうろ覚えの兄の電話番号にかけてみた。
幸いにも電話は通じ、懐かしい兄の声が聞こえた。
「ジェジュンか?どうしたんだ、朝早く。何かあったのか?」
「兄さん、、、ごめん。そっちちょっと行ってもいい?今、あんまり手元にないんだ、、、」
「もちろん来てくれて、かまわない。でも前の約束覚えてるな?」
実は兄は就職の際、造船所にジェジュンを連れて行こうとした。
悪い仲間たちだと知りながら、離れられないジェジュンの性格を知っていてむりやり
引き離した方がジェジュンの為だと思っていたのだ。
しかし、ジェジュンは中学時代みんなからそっぽを向かれた時に、優しくしてくれた
仲間たちと縁を切ることはできなかった。
芯から悪い奴らではない。
どこか、自分と同じで居場所がなくてさまよっている。
彼らと一緒にいることが、自分には居心地がいいとジェジュンもそのときは思っていたのだ。
兄はそのことには理解を示さず、悪い仲間たちと離れないのなら縁を切ると言い残して
旅立っていった。
「まだ、あの頃の奴らと連んでいるなら、助けるつもりはないよ。
もし、ジェジュンが俺と住んでやり直すと思っているなら、、、9時になったら
送金するから。」
「ほんとに?」
ジェジュンにとっては、兄の優しさに信じられない思いだった。
「念を押すようだけど、、、大丈夫なんだろうな。
もう二度と、間違いを犯さないって約束できるな。」
「うん。お金を下ろしたらすぐそっちへ向かうから。
1時には着くよ。」
兄の勤める造船所は日曜日で、今日は休みの筈だった。
痛みに耐えながら歩き続けて、駅にたどり着くと9時まではまだだいぶ時間が
あった。
駅の構内に入り、まだ空いている待合室のベンチにたどり着く。
昨日から電源を切っていた携帯の電源を入れる。
やはり、何件もメールが入っている。
その中でももっとも読みたくない人からのメールが8件も入っていた。
「ハン・ヨソプ」
組織のナンバー2に位置する切れ者の男だ。
ちょっと見には暴力団という風貌には見えない。
目鼻立ちの整った男らしい容姿だが、瞳はあくまでも冷たく、彼に一度睨まれたら
皆震え上がると噂されている。
腕も立ち、まだ30代の初めだが、実力は申し分ない。
彼からのメールは読まなくても、内容はおよそ想像がついた。
すぐに携帯の電源を切った。

今までの自分とは違う世界に行くのだ。
俺一人居なくなっても、組織には痛手ではないだろう。
ただ一人、、、ヨソプ以外には。
苦い思いが胸を押しつぶしそうになる。
自動販売機で清涼飲料水でも飲もうと席を立ち、硬貨をポケットから出そうとしたときだった。
腕を誰かにぐっと掴まれた。
ヨソプだった。何人か手下の者を引き連れている。
振り向いてきっと睨み付けるジェジュンに、ふっと不敵な笑みを浮かべる。
「お前も相変わらず、気が強いなあ。
昨日、あんな目にあったのに、まだそんな風に逆らうつもりか?」
決して背が低いジェジュンではないが、ヨソプはそのジェジュンを見下ろすほどの
長身である。
体躯もがっしりとしていて、容易に掴まれた腕をふりほどけない。
「離してください。昨日のこと聞いてますよね。俺にはこういう仕事、向いてないし
もう無理なんです。
見逃してください。」
ジェジュンは、懇願するように言葉を続ける。
「こんな往来でする話じゃないな。
警察に通報されても、事だ。」
そう言うと、ヨソプはジェジュンの腕を引っ張って駅の外へと連れ出した。
後ろからぴったりと手下の者も背中を押さえ、ジェジュンは逃げ出す隙もなく車に
押し込まれてしまった。
「何するんだよ!!」
「駅からどこかに逃げようとしてたんだな。とんだ子猫ちゃんだ。
拾ってやった恩も忘れて随分な事をしてくれるなあ。」
「俺は、、、俺はもう嫌なんですよ。あんたの言いなりになって人を貶めていくのは、、、
もう、許してください、、、、」
ジェジュンの瞳から涙がぽとり、ぽとりと落ちていく。
「お前は不思議な奴だなあ。
その綺麗な瞳から流れる涙も、、、ちっとも汚れていないように見えるんだもんな。
お前だって、俺と同じなのにな、、、同じ世界にいるのにな。」
ヨソプはそう言うと、大きな手でジェジュンの頬の涙をぬぐうと
「慰めてやるよ。俺が。」
乱暴にジェジュンの顔を押さえつけ唇を奪っていく。
「やっ、、、」
言葉にならない抵抗を試みるが、ジェジュンはもがき続けるだけで逃れることは
出来なかった。
この男に逆らえないことは、もう随分前から思い知らされていたが。
今度こそは、手の届かないところへ逃げてしまいたい、、、そう決意して飛び出したのに。
また、この腕の中に戻されてしまった。抗いようのない執拗なこの男の胸の中に。
ジェジュンは電話での優しい兄の言葉を思い出していた。
「ジェジュンがやっと俺の元へ帰る決心をしてくれたんだな。
ずっと、待ってたよ。昔みたいに仲良くやろうな。」
ごめん、、、、兄さん、、、約束また破ってしまう、、、、
涙がとめどなく流れていく。
車はソウルへと向かっていた。
組織の本拠地はソウルにあった。
ジェジュンはヨソプの持つマンションの一室に押し込まれた。
ジェジュンはこのマンションに一緒に住まわされていた。
恋人、、、といえば聞こえはいいが、ジェジュンの気持ちの中には囲われていると
いう意識の方が強かった。
組織の下っ端にいたジェジュンが、ヨソプに見初められたのは4年前の事だった。
薬物の受け渡しをやらされていたジェジュンが別組織に連れて行かれそうになったとき、
たまたま助けたのがヨソプだった。
気が強そうで、それでもどこか清純な匂いを漂わせるジェジュンにヨソプは魅せられ
強引に自分の手元に置いた。

ヨソプへ恩を感じていたジェジュンは、抵抗しきれずにナンバー2の愛人と陰口を
叩かれる存在に甘んじていた。
なにより、彼の事を恐れていたというのが正直なところだった。
対抗勢力は容赦なくつぶしてきた彼の手腕は、味方なら心強いが敵となれば脅威である。
この裏の世界に入ってから、体を鍛えてきたジェジュンでも到底かなわない。
掴まれた腕をほどかれて、輸入物の高価な革張りのソファに座らされた。
昨日、ユノの事務所にあった物とは比べものない素材の代物である。
でも、なぜかあのソファは座り心地がよかったと妙な事を思い出す。
「何、笑ってるんだ。余裕だな、お前。」
思わず、口元がゆるんだのを見られてギュッと口をつぐむ。
「俺の前では笑ったことないもんな。泣き顔ばっかりで。」
「どうやったら、、、笑えるんですか。貴方の前で。」
「なんでも、買い与えてやっただろ。洋服だって、靴だって、時計だって。
およそ20代のお前にふさわしくない物を。」
今、しかしジェジュンの身につけているのは安物のシャツとジャンパー、ジーンズ。
「また、、、お前は。お前には安物は似合わないと言っただろう。」
「俺には、、、貴方の買った物のほうが分不相応に思えます。」
「まあ、、、いい。着替えてこい。今日は大事な接待だ。
もう、逃げるなんて考えるな! いいな。」
ジェジュンはため息をついた。
もうしばらく、逃げ出すタイミングを練らなければならないと思った。
闇雲に逃げ出そうとしても、この男は自分を離そうとしない。
なにか、手だてを考えなくては、、、
ジェジュンはヨソプの言うとおり、寝室に入りそこに続くウォークインクローゼットに
足を踏み入れた。
ハンガーにはところ狭しとスーツやコートがずらっと掛かっているし、棚にはブランドものの
ジーンズやシャツ、アクセサリー、帽子。
いつも、店に出るときに着ているラメ素材の上着にネックレスを付け、体にフイットした
皮のパンツを履き、髪の毛も整えた。
ヨソプの前に戻ると、ヨソプは目を輝かせてジェジュンを見つめた。

「やっぱりお前は、華やかな格好が似合うな。
お前の美貌に魅せられない客はいないだろ。」
満足そうにヨソプは微笑んだ。
ジェジュンはこの男の持つクラブでホストとして働いていた。
ジェジュンの美貌と、少し世間ずれした素朴な物言いが人気で彼はそのクラブで
一番の座についていた。
ジェジュンにとっても、ヨソプの愛人という立場にだけ置かれているのはたまらなかったから、
クラブでホストして働くのは苦ではなかった。
ただ、嫌だったのが、裏の仕事だった。
ジェジュンを慕う客たちの中には、薬物の世界に染まっている人々もいた。
ジェジュンが勧めたわけではないが、店の顔役がそういう斡旋をしているということは
知っていた。
どうやら、指名の多いジェジュンを待つ間に、マネージャークラスがそういう密談を
持ちかけているらしい。
もともとは運び屋に手を染めていたジェジュンではあるが、自ら薬物を斡旋したことはない。
ただ組織の上のものから言われるがまま、人から人へと運び続けていた。
中身を確認したこともなかったし、その分罪悪感が薄かった。
今は、目の前で薬物に溺れていく過程を見せられて、本当に怖い思いが募っていた。
「今日は、ある人物を店に連れて行く。
油断ならない人物だが、どうやら裏の世界に興味がありそうだからな。
ははは、こっちに引きずり込むさ。」
また、ヨソプは良からぬ事を企んでいるらしい。
要するに、この男は自分の事をアクセサリーのようにしか考えていない。
口ではお前が気に入った、お前を離すことはできないと言う。
でも、本気で愛しているわけではない。
連れて歩いて、綺麗で自慢できれば、ジェジュンでなくてもいいのだ。
普通は女を連れて歩けばいいだろうに、そこだけがジェジュンには府に落ちないところだった。
「女はつまらない。虚栄心のかたまりだ。
お前は何も欲しがらないからな。
余計、いろんな物を与えたくなる。ちっとも、喜んでくれないが、、、」
ジェジュンにすれば、当たり前だった。
贅沢な生活など望んではいない。
欲しいのは、、、本当に自分を愛してくれる、必要としてくれる誰かだった。
それが叶わないまま、、、、空虚な生活を続けている。
ジェジュンの本音など知るよしもないヨソプは、ジェジュンを人形のように勝手に
扱うだけである。
欲しいときだけ抱き、普段は綺麗に着飾され、クラブというディスプレイ棚に
飾っておくのだ。
人がくれば、綺麗でしょうと満足げに自慢する。
おおかた、今日もそんなつもりなのだろう。
ジェジュンが先に店に行くとマネージャーが声をかけた。
「本気で、辞めたかと思って心配したよ。
あの人、、、相当執念深いから。ジェジュンの事簡単に手放すわけないし。
酷い目にあってないかと思って。」
マネージャーは強面のいかつい男だが、実は少し気が弱いところがあって
ジェジュンには同情的だった。
「まあ、今回はもう諦めるしかないみたい。あの人の手下にやられちゃったけど、
ご覧のとおり、顔に傷はつけてないから。」
「まあ、くれぐれも気をつけて。」
そんな会話をした後、開店後は常連客がいつものとおり続々と来店して忙しい一日と
なった。
その後、予告通りヨソプが自分のお客を伴って現れた。
「先生、まあ楽しんでいってください。ここはホストもホステスもいるという
ちょっと毛色の変わったクラブなんです。」
そう言いながら、ヨソプは自分の連れをクラブの奥の上席に案内した。
席にはヨソプの他に、初老の小太りの男と若い長身の男が座っていた。
「おい、ちょっと。一番いい酒を頼む。」
ジェジュンが行くように、マネージャーから目配せされクラブのホステスとともに
席へと飲み物を運んだ。
「お待たせしました。」
「先生、こいつがこの店のナンバーワンです。ホステスを押しのけて一番なんです。
ちょっと目を引く容姿でしょう。男ですがね。」
一斉にその場の二人がジェジュンを見上げた。
ジェジュンは驚きで声も出なかった。
「ジェジュン!!」
長身の男の方はユノだったのだ。
この場から、、、、消えてしまいたい、、、、どうして、、、ユノが、、、
自分の置かれた運命を呪わずにはおられないジェジュンだった。
続く
やっと3話が出来ましたので、やっとアップいたします。
実はお休みのうちにと焦っていたのですが、町内会のお仕事も押してまして(^_^;)
休みに半分は時間とられて、こんな時間になってしまった(泣)
今日はちょっとえっという展開です。
こういう世界嫌だと思う人もいるかも(^_^;)
でも、ジェジュンの今度の歌は、どうもこういう暗いものが見え隠れする。
普段の彼とは別物ですので、割り切って読んでくださいませ。
ただ、、、彼は絶対、自分が望まなくてもその手の人にモテそうな気がする。
単に思い込みですが(爆)
でも、ユンジェペンですからね、、、ジェジュンの心はユノに。
これは基本です!!
では、いままでにないユンジェの世界へ。
ジェジュンが目を覚ますと、ユノはジェジュンの寝ているベッドの端に突っ伏したまま
寝てしまったようだった。
薄手のカーテンから朝の光が差し込んで、精悍なユノの浅黒い横顔に光を当てている。
ユノは、ジェジュンの色白で少し女性的な美貌とはまた違った、切れ長の眼と男らしく
すっきりとした輪郭を持つ整った顔立ちだった。
ジェジュンは自分と違うそんなユノの男らしい容貌にも、少しのコンプレックスと憧れを
同じくらい持ち続けていた。
「お前みたいになりたい、、、、ってずっと思い続けていたのにな。」
そんなユノにも昨日聞いたような迷いや後悔があると知って、驚きまたすこし安堵している自分もいた。
遠い存在のユノが少しだけ自分に近づいたような、、、
でも、同時に一生懸命自分の道を模索し、前に進もうとするユノのそばに、やはり自分が
近づかないようにしなければという思いが強くなっていた。
どこまでいっても、自分とユノの道が一緒になることはない。
何より、自分のいる危ない世界にユノを引き込みたくはない。
自分がその世界を離れられる保証もないのだ。
ジェジュンは、美しく光に照らされたユノの横顔をじっと見つめながら
意を決したように体をそっと起こした。
ベッドの横にある机の上のノートを一枚破って、そこにあったペンで書き置きを
したためた。
「ユノ、昨日はありがとう。
お前との誤解が解けて、ほっとした。ユノはいつまでもユノらしく。
お前の思うようにな。いつかまた会えたら。 ジェジュン。」
行き先も、連絡先も書かずそれがユノへの精一杯のラブレターのつもりだった。
いつかまた会えたら、、、、それはジェジュン自身が祈るような気持ちで書いた言葉だった。
ユノの部屋を出て、朝の街を歩き始める。
どうやって、これから暮らしていこうか。
ジェジュンの両親は小さい頃に亡くなっていて、高校の頃面倒見てくれていた祖母も
帰らぬ人になっていた。
唯一、ジェジュンの兄がこの街から列車で3時間かかる街の大きな造船工場で働いている。
ジェジュンが中学の頃、ぐれて悪い仲間に引き込まれたときも随分心配してくれた兄だった。
その兄ともほぼ絶縁状態になってしまっていたが、今頼れるのは兄しか居なかった。
所持金はその街にたどり着くほど持っていない。
仕方なくジェジュンは公衆電話からうろ覚えの兄の電話番号にかけてみた。
幸いにも電話は通じ、懐かしい兄の声が聞こえた。
「ジェジュンか?どうしたんだ、朝早く。何かあったのか?」
「兄さん、、、ごめん。そっちちょっと行ってもいい?今、あんまり手元にないんだ、、、」
「もちろん来てくれて、かまわない。でも前の約束覚えてるな?」
実は兄は就職の際、造船所にジェジュンを連れて行こうとした。
悪い仲間たちだと知りながら、離れられないジェジュンの性格を知っていてむりやり
引き離した方がジェジュンの為だと思っていたのだ。
しかし、ジェジュンは中学時代みんなからそっぽを向かれた時に、優しくしてくれた
仲間たちと縁を切ることはできなかった。
芯から悪い奴らではない。
どこか、自分と同じで居場所がなくてさまよっている。
彼らと一緒にいることが、自分には居心地がいいとジェジュンもそのときは思っていたのだ。
兄はそのことには理解を示さず、悪い仲間たちと離れないのなら縁を切ると言い残して
旅立っていった。
「まだ、あの頃の奴らと連んでいるなら、助けるつもりはないよ。
もし、ジェジュンが俺と住んでやり直すと思っているなら、、、9時になったら
送金するから。」
「ほんとに?」
ジェジュンにとっては、兄の優しさに信じられない思いだった。
「念を押すようだけど、、、大丈夫なんだろうな。
もう二度と、間違いを犯さないって約束できるな。」
「うん。お金を下ろしたらすぐそっちへ向かうから。
1時には着くよ。」
兄の勤める造船所は日曜日で、今日は休みの筈だった。
痛みに耐えながら歩き続けて、駅にたどり着くと9時まではまだだいぶ時間が
あった。
駅の構内に入り、まだ空いている待合室のベンチにたどり着く。
昨日から電源を切っていた携帯の電源を入れる。
やはり、何件もメールが入っている。
その中でももっとも読みたくない人からのメールが8件も入っていた。
「ハン・ヨソプ」
組織のナンバー2に位置する切れ者の男だ。
ちょっと見には暴力団という風貌には見えない。
目鼻立ちの整った男らしい容姿だが、瞳はあくまでも冷たく、彼に一度睨まれたら
皆震え上がると噂されている。
腕も立ち、まだ30代の初めだが、実力は申し分ない。
彼からのメールは読まなくても、内容はおよそ想像がついた。
すぐに携帯の電源を切った。

今までの自分とは違う世界に行くのだ。
俺一人居なくなっても、組織には痛手ではないだろう。
ただ一人、、、ヨソプ以外には。
苦い思いが胸を押しつぶしそうになる。
自動販売機で清涼飲料水でも飲もうと席を立ち、硬貨をポケットから出そうとしたときだった。
腕を誰かにぐっと掴まれた。
ヨソプだった。何人か手下の者を引き連れている。
振り向いてきっと睨み付けるジェジュンに、ふっと不敵な笑みを浮かべる。
「お前も相変わらず、気が強いなあ。
昨日、あんな目にあったのに、まだそんな風に逆らうつもりか?」
決して背が低いジェジュンではないが、ヨソプはそのジェジュンを見下ろすほどの
長身である。
体躯もがっしりとしていて、容易に掴まれた腕をふりほどけない。
「離してください。昨日のこと聞いてますよね。俺にはこういう仕事、向いてないし
もう無理なんです。
見逃してください。」
ジェジュンは、懇願するように言葉を続ける。
「こんな往来でする話じゃないな。
警察に通報されても、事だ。」
そう言うと、ヨソプはジェジュンの腕を引っ張って駅の外へと連れ出した。
後ろからぴったりと手下の者も背中を押さえ、ジェジュンは逃げ出す隙もなく車に
押し込まれてしまった。
「何するんだよ!!」
「駅からどこかに逃げようとしてたんだな。とんだ子猫ちゃんだ。
拾ってやった恩も忘れて随分な事をしてくれるなあ。」
「俺は、、、俺はもう嫌なんですよ。あんたの言いなりになって人を貶めていくのは、、、
もう、許してください、、、、」
ジェジュンの瞳から涙がぽとり、ぽとりと落ちていく。
「お前は不思議な奴だなあ。
その綺麗な瞳から流れる涙も、、、ちっとも汚れていないように見えるんだもんな。
お前だって、俺と同じなのにな、、、同じ世界にいるのにな。」
ヨソプはそう言うと、大きな手でジェジュンの頬の涙をぬぐうと
「慰めてやるよ。俺が。」
乱暴にジェジュンの顔を押さえつけ唇を奪っていく。
「やっ、、、」
言葉にならない抵抗を試みるが、ジェジュンはもがき続けるだけで逃れることは
出来なかった。
この男に逆らえないことは、もう随分前から思い知らされていたが。
今度こそは、手の届かないところへ逃げてしまいたい、、、そう決意して飛び出したのに。
また、この腕の中に戻されてしまった。抗いようのない執拗なこの男の胸の中に。
ジェジュンは電話での優しい兄の言葉を思い出していた。
「ジェジュンがやっと俺の元へ帰る決心をしてくれたんだな。
ずっと、待ってたよ。昔みたいに仲良くやろうな。」
ごめん、、、、兄さん、、、約束また破ってしまう、、、、
涙がとめどなく流れていく。
車はソウルへと向かっていた。
組織の本拠地はソウルにあった。
ジェジュンはヨソプの持つマンションの一室に押し込まれた。
ジェジュンはこのマンションに一緒に住まわされていた。
恋人、、、といえば聞こえはいいが、ジェジュンの気持ちの中には囲われていると
いう意識の方が強かった。
組織の下っ端にいたジェジュンが、ヨソプに見初められたのは4年前の事だった。
薬物の受け渡しをやらされていたジェジュンが別組織に連れて行かれそうになったとき、
たまたま助けたのがヨソプだった。
気が強そうで、それでもどこか清純な匂いを漂わせるジェジュンにヨソプは魅せられ
強引に自分の手元に置いた。

ヨソプへ恩を感じていたジェジュンは、抵抗しきれずにナンバー2の愛人と陰口を
叩かれる存在に甘んじていた。
なにより、彼の事を恐れていたというのが正直なところだった。
対抗勢力は容赦なくつぶしてきた彼の手腕は、味方なら心強いが敵となれば脅威である。
この裏の世界に入ってから、体を鍛えてきたジェジュンでも到底かなわない。
掴まれた腕をほどかれて、輸入物の高価な革張りのソファに座らされた。
昨日、ユノの事務所にあった物とは比べものない素材の代物である。
でも、なぜかあのソファは座り心地がよかったと妙な事を思い出す。
「何、笑ってるんだ。余裕だな、お前。」
思わず、口元がゆるんだのを見られてギュッと口をつぐむ。
「俺の前では笑ったことないもんな。泣き顔ばっかりで。」
「どうやったら、、、笑えるんですか。貴方の前で。」
「なんでも、買い与えてやっただろ。洋服だって、靴だって、時計だって。
およそ20代のお前にふさわしくない物を。」
今、しかしジェジュンの身につけているのは安物のシャツとジャンパー、ジーンズ。
「また、、、お前は。お前には安物は似合わないと言っただろう。」
「俺には、、、貴方の買った物のほうが分不相応に思えます。」
「まあ、、、いい。着替えてこい。今日は大事な接待だ。
もう、逃げるなんて考えるな! いいな。」
ジェジュンはため息をついた。
もうしばらく、逃げ出すタイミングを練らなければならないと思った。
闇雲に逃げ出そうとしても、この男は自分を離そうとしない。
なにか、手だてを考えなくては、、、
ジェジュンはヨソプの言うとおり、寝室に入りそこに続くウォークインクローゼットに
足を踏み入れた。
ハンガーにはところ狭しとスーツやコートがずらっと掛かっているし、棚にはブランドものの
ジーンズやシャツ、アクセサリー、帽子。
いつも、店に出るときに着ているラメ素材の上着にネックレスを付け、体にフイットした
皮のパンツを履き、髪の毛も整えた。
ヨソプの前に戻ると、ヨソプは目を輝かせてジェジュンを見つめた。

「やっぱりお前は、華やかな格好が似合うな。
お前の美貌に魅せられない客はいないだろ。」
満足そうにヨソプは微笑んだ。
ジェジュンはこの男の持つクラブでホストとして働いていた。
ジェジュンの美貌と、少し世間ずれした素朴な物言いが人気で彼はそのクラブで
一番の座についていた。
ジェジュンにとっても、ヨソプの愛人という立場にだけ置かれているのはたまらなかったから、
クラブでホストして働くのは苦ではなかった。
ただ、嫌だったのが、裏の仕事だった。
ジェジュンを慕う客たちの中には、薬物の世界に染まっている人々もいた。
ジェジュンが勧めたわけではないが、店の顔役がそういう斡旋をしているということは
知っていた。
どうやら、指名の多いジェジュンを待つ間に、マネージャークラスがそういう密談を
持ちかけているらしい。
もともとは運び屋に手を染めていたジェジュンではあるが、自ら薬物を斡旋したことはない。
ただ組織の上のものから言われるがまま、人から人へと運び続けていた。
中身を確認したこともなかったし、その分罪悪感が薄かった。
今は、目の前で薬物に溺れていく過程を見せられて、本当に怖い思いが募っていた。
「今日は、ある人物を店に連れて行く。
油断ならない人物だが、どうやら裏の世界に興味がありそうだからな。
ははは、こっちに引きずり込むさ。」
また、ヨソプは良からぬ事を企んでいるらしい。
要するに、この男は自分の事をアクセサリーのようにしか考えていない。
口ではお前が気に入った、お前を離すことはできないと言う。
でも、本気で愛しているわけではない。
連れて歩いて、綺麗で自慢できれば、ジェジュンでなくてもいいのだ。
普通は女を連れて歩けばいいだろうに、そこだけがジェジュンには府に落ちないところだった。
「女はつまらない。虚栄心のかたまりだ。
お前は何も欲しがらないからな。
余計、いろんな物を与えたくなる。ちっとも、喜んでくれないが、、、」
ジェジュンにすれば、当たり前だった。
贅沢な生活など望んではいない。
欲しいのは、、、本当に自分を愛してくれる、必要としてくれる誰かだった。
それが叶わないまま、、、、空虚な生活を続けている。
ジェジュンの本音など知るよしもないヨソプは、ジェジュンを人形のように勝手に
扱うだけである。
欲しいときだけ抱き、普段は綺麗に着飾され、クラブというディスプレイ棚に
飾っておくのだ。
人がくれば、綺麗でしょうと満足げに自慢する。
おおかた、今日もそんなつもりなのだろう。
ジェジュンが先に店に行くとマネージャーが声をかけた。
「本気で、辞めたかと思って心配したよ。
あの人、、、相当執念深いから。ジェジュンの事簡単に手放すわけないし。
酷い目にあってないかと思って。」
マネージャーは強面のいかつい男だが、実は少し気が弱いところがあって
ジェジュンには同情的だった。
「まあ、今回はもう諦めるしかないみたい。あの人の手下にやられちゃったけど、
ご覧のとおり、顔に傷はつけてないから。」
「まあ、くれぐれも気をつけて。」
そんな会話をした後、開店後は常連客がいつものとおり続々と来店して忙しい一日と
なった。
その後、予告通りヨソプが自分のお客を伴って現れた。
「先生、まあ楽しんでいってください。ここはホストもホステスもいるという
ちょっと毛色の変わったクラブなんです。」
そう言いながら、ヨソプは自分の連れをクラブの奥の上席に案内した。
席にはヨソプの他に、初老の小太りの男と若い長身の男が座っていた。
「おい、ちょっと。一番いい酒を頼む。」
ジェジュンが行くように、マネージャーから目配せされクラブのホステスとともに
席へと飲み物を運んだ。
「お待たせしました。」
「先生、こいつがこの店のナンバーワンです。ホステスを押しのけて一番なんです。
ちょっと目を引く容姿でしょう。男ですがね。」
一斉にその場の二人がジェジュンを見上げた。
ジェジュンは驚きで声も出なかった。
「ジェジュン!!」
長身の男の方はユノだったのだ。
この場から、、、、消えてしまいたい、、、、どうして、、、ユノが、、、
自分の置かれた運命を呪わずにはおられないジェジュンだった。
続く
ユンジェ小説 「Still in love」2
こんばんわ~
先日は、久々の登場だったのですが、温かい言葉をありがとうございました。
弱小ユンジェ小説ブログですが、、、読んで頂いている方が居てくれるだけで
嬉しくて、また書こうという気になります。
巷では、ユノが「ポセイドン」をやるかもしれない、、、なんて記事もありましたね。
ジェジュンが出ないのは、本当に残念なんですが、ユノが出るのだったら、旦那様の活躍ですもの。
ユンジェペンは応援しなくちゃ!!ですね。
願わくば、JYJのコンサートが一段落した頃、ユノに助けられる美しい芸術家(なんでもいいわ~
陶芸家、画家、ピアニスト etc)でジェジュンがゲスト出演!!
ユンジェ復活!!なんてことになると良いななどと妄想、、、、

うふふ。
それでは、私の方の本格妄想?前回の続きからどうぞ。
曲はもちろん「Stii in love」です~
PCの方は聞きながらどうぞ♪
黙りこくったジェジュンに、ユノはため息をつきながら言葉をかけた。
「ふうっ~、ごめんな。こんな話聞きたくなかったよな。
男の俺がお前の事好きだったなんて。」
ジェジュンは泣きそうになった。
そうじゃない、、、、そうじゃないのに。
俺も好きだったとたった一言がのどまで出かかっているのに、、、
でもそれを言ったら、ユノの重荷になる。
弁護士をしているユノに、裏の世界に住む俺はふさわしくない、、、
まして、ユノは好きだったと言ったのだ。
過去の自分の気持ちにけりをつけたかっただけだ。
昔の自分とかけはなれた今の姿を見て、それでも好きだと言うわけがない。
ジェジュンは自分の気持ちを、心の奥底に閉じこめた。
「びっくりした、、、、、嫌だとかそうは思わないけど、、、俺、、、」
そういうのがやっとだった。
「いいんだ。8年も前のこと、、、今更だよな。
忘れてくれ。それより、お前そんな格好で行く当てあるのか?
組同士のいざこざか?」
ユノはやはりジェジュンが今どんな生活をしているか、どこからか聞いて知っていたらしい。
ジェジュンは今の自分の姿がすごく惨めに思え、早くユノの前から立ち去りたい衝動に
かられた。
「心配してくれなくていいよ。俺、もう行くな。」
ユノの手を振りほどき、ジェジュンは歩き出したがまたもふらついて転んでしまう。
「馬鹿!!こんなときくらい素直になれよ。
俺に世話になるのしゃくかもしれないけど、、、うちの事務所すぐそこだから。」
ユノはジェジュンが断るのもお構いなしに、肩を抱き歩き始める。
思えば、中学時代も仲間内のリーダーのような存在で、普段は温厚だが頑固で
言い出したら聞かないことがあった。
でも、ユノの言うことならきっと間違いないだろうと思わせるものが彼にはあって
仲間は自然ユノについていくことになるのだった。
しょうがなく、支えられたまま歩き始めたが、傷の痛みのため早くは歩けない。
ユノはそんなジェジュンの歩みに合わせるように、ゆっくりと歩いてくれていた。
「ほら、ここなんだ。」
見上げた先には、古ぼけた3階建ての雑居ビルがあった。
2階部分の窓に「スターライト法律事務所」とある。
「ぷっ!スターライト?!」
ジェジュンは思わず吹き出してしまった。
どう見ても、そんな輝かしい名前とはおよそ無縁な建物である。
そして、噂でユノがソウルの大きな法律事務所に所属してバリバリ仕事をこなしている
エリートと聞いていたので、地元のこんな小さな事務所にいたことが意外だった。
「はは、馬鹿にするなよ。所長は夢見る人でさあ、、、由来があるんだぜ、あの名前も。」
「えっ?」
「まあ、とにかく上がろうぜ。」
ユノに支えられ、事務所に入るとこれまた年代物の応接セットに座らされた。
「ちょっと、待ってろ。救急箱持ってくるから。」
そう言うとユノは、扉の向こうに消えていく。
事務所の中は、書類が机の上に山積みになってるし、壁にかけられた時計とホワイトボード以外いわゆる装飾品の類が一つもなく、貧乏事務所なのだとジェジュンが認識するに
十分だった。
ユノはバスタオルと熱く濡らしたタオルと救急箱を抱え、戻ってきた。
「ほら髪とか拭けよ。泥はこのタオルで、、、」
手を伸ばして手伝おうとするユノの手を、ジェジュンはやんわりと遮った。
「自分でできる。」
「ああ、そうだな。傷の手当てはお手の物か、、、」
寂しそうにユノは笑った。
昔はやんちゃですぐ怪我をするユノの手当をするのは、ジェジュンの役目だった。
あの頃はジェジュンが手早く消毒をして絆創膏を貼り、「さあ、これで大丈夫。」と
わざと怪我したところをたたいたりするとユノが怒り、そんなたわいもないことで二人じゃれ合っていたものだった。
ふざけてお互いをくすぐったり、プロレスの真似事をしたり、、、体が触れ合うことに
何も特別な意味などなかった無邪気な頃。
今の自分には遠い世界のことのように、ジェジュンには思えた。
「背中とか、大丈夫か?」
「うん、ちょっと痛むけどな。」
「届かないところぐらい、俺に手当てさせてくれ。」
ユノはそう言うと、躊躇してそっぽを向くジェジュンのシャツを思いっきりめくった。
ジェジュンの白い肌のあちこちに酷く殴られたり、蹴られたりした後が痛々しく残っていた。
「やっぱり、打ち身も酷いようだな。」
ユノは俯くジェジュンの背中に湿布薬を貼っていく。
それだけのことで、ジェジュンは言いようもない恥ずかしさに消え入りそうになる。
ユノに触れられたところから、自分の体が熱を帯びていくのがわかる。
「もういいよ。」
思わず顔も上気してきて、背を向けたままお礼も言わず、そそくさと服を着る。
ソファの上に座って、ユノに向き直ると心なしかユノも照れたような顔で頬を赤らめている。
先ほどの告白を聞いただけに、ユノの気持ちに寄り添いたくなるジェジュンがいた。
一方で、ユノはもう8年も前のことだから、口にしたのかもしれない。
今は、もうユノにふさわしい相手と幸せなのかもしれない。
そんなことを思うと、ジェジュンはおいそれと正直になれなかった。
「うろうろしていたところを見ると、ジェジュン今日泊まるところないんだろ。」
ユノは心配そうに、ジェジュンの瞳をまっすぐ見つめる。
嘘を言っても見抜かされそうだ。
「ああ、ちょっとやきを入れられた、、、今日は流石に帰れない、、、、」
ユノはやっぱりと言った顔で、
「じゃあ、ここでよかったら泊まっていけ。
俺、ここに住んでるんだ。」
「えっ?こんなところに?」
ジェジュンが聞いていたユノの消息とあまりにかけ離れている現状に驚きが隠せない。
「俺、お前の噂聞いてたんだ、、、大学卒業後すぐ弁護士になってソウルで活躍してるって。
家も都心の一等地にマンション借りてるって。」
「はは、ジェジュン俺の事、知っててくれたんだな。興味も無くしてると思ってた。」
「興味もなにも、、、、お前は有名人だったろ。自然に耳にはいってくるさ。」
実際、この小都市でユノは目立つ存在だった。
スポーツも得意、学校ではいつも上位に食い込む学力。
すべてにおいて注目されていた。
「俺は、そういうなんていうかな、、、、周りからの評価とか、賞賛とか、、、、
そんなものばかり追いかけてたんだろうな、、、」
ユノは寂しげにそう言った。

ジェジュンがあまり見たこともないユノがそこにいた。
いつも、みんなの先頭をきって歩く凛々しいユノが今は自信なげにつぶやいている。
思わず肩を抱きしめたくなる、心細そうなうつむき顔。
「奢り、、、っていうかいい気になっていたんだ、この何年か。」
驚くジェジュンに、ぽつりぽつりとユノは話し続けた。
大きな弁護士事務所に入って、それこそエリートの仲間入りして意気揚々だった日々のこと。
でも、大きな訴訟に勝って、ふと我に返り自分が負かしてきた人々が、どんなに理不尽な
争いに胸を痛め苦しんできたか、思い知ることになったと。
このままでは、自分の報酬のために、世の中の弱者をどんどん切り捨て泣かせていくことになると恐ろしくなったと。
対極にいる筈のユノとジェジュン。
でも、自分のいる世界に疑問を持ち、本来の自分のあるべき姿を見つめ始めた、、、
そのことは同じなのかもしれないとジェジュンは感じていた。
自分の持っているジレンマも話してしまおうか、、、、
しかし、今一歩、ジェジュンは素直になれなかった。
でも、今はユノの悩みや苦しみを聞いてあげたい。
「こんな俺で良かったら、、、、もっと話せよ。」
ユノはジェジュンの気持ちが嬉しくて、つい口元をゆるめた。
「じゃあ、泊まっていってくれるんだな。」
「ああ、しょうがないな。」
ジェジュンはユノが寝泊まりをしているという、事務所の奥の部屋に案内された。
10畳ほどのワンルームに台所がついているだけの殺風景な部屋だった。
引っ越ししてきたばかりなのか、荷ほどきしていない段ボールが何個か部屋の隅に
置いてある。
窓際にシングルベッドがあり、部屋の真ん中に小さな折り畳みのテーブル。
どれも、学生が使うようなシンプルなもので、高価なものではないようだ。
それでも、、、自分の暮らしよりはずっとましだとジェジュンは思っていた。
「座る場所もなくてあれだけど、、、ベッド使ってくれていいから。」
「ユノはどこに寝るんだ?」
「俺の事は気にするな、事務所のソファでも寝るさ。」
「部屋の主が、ソファで俺はベッドか、、、なんか悪いな。」
「お前は怪我人。今日ぐらい俺の言うことを聞いてくれ。酷い傷だから熱がでるかもしれないだろ。」
ジェジュンはユノの気遣いが嬉しく、その言葉に甘えることにした。
「俺さ、、、もう限界だわ、、、、正直座ってるのも、、、つらいかも。
横にならせてもらう。」
「ああ。」
ジェジュンが横になると、ユノはかいがいしく掛け布団をかけてやり横にちょこんと座ってジェジュンの顔を覗き込む。
「なんだよ。」
「話、聞いてくれるんだろ。」
「そう言ったけど、なんでこんな近く?」
「いいじゃないか、、、大きな声出さなくてすむし。お前は目を瞑っていていいから。
俺が話したいだけ。ジェジュンにはさ、俺が今までしてきたこと、感じたこと
知って欲しいんだ。
お前が居なかった8年間。話したかったこと全部。
眠かったら、寝てもいい。ただそこに居てくれれば。」

こくりとジェジュンが頷くとユノは静かにまた話し始めた。
ユノの話し声はどこまでも優しく、ジェジュンには心地よい波長で耳に入ってくる。
ユノの声も好きだったと今更のように思い出す。
ユノは、ある訴訟で大手企業へ損害賠償を訴えた少年の話をし出した。
彼は海岸線での事故で両親を失っていた。
自動車保険にも、生命保険にも入っていたため、少年一人で生活していくのに困らないだけのものは手元にあった。
それでも、彼は自動車会社を訴える道を選んだ。
運転ミスと判断されていた事故が、実はブレーキの故障トラブルによる物だったことを
同乗していた少年はわかっていたのだった。
証拠が少年の供述だけだったこともあり、物証の方も見つからず裁判はあっけなく
自動車会社の勝訴に終わった。
その一年後、その自動車会社のその車種は大規模なリコール問題に揺れた。
少年の主張は正しかったのだ。
ユノは一言謝罪したくて、彼の家を訪ねた。
しかし、もう一度会って謝りたかった彼はもうこの世にはいなかった。
両親の残したお金を裁判の費用に費やし、自らの生活は昼夜のアルバイトでまかなっていたという。
それが敗訴に終わり、失意のうちに肺炎をこじらせ帰らぬ人となった。
今でも、自分や裁判官をまっすぐ見つめていた無垢で真摯な瞳が忘れられない。
ユノはいつしか、寝ているジェジュンに寄りかかり大粒の涙を流していた。
ユノの後悔が伝わってきて、ジェジュンは思わずユノの頭に手を触れた。
ゆっくりとその手をユノの頬へと落としていく。
「ユノ、、、人ってなんだろうな、、、、間違ったことをするたび、、、どうしてそんなことを
したんだろうって、、、悩んで後悔して、、、、
時々、後悔するために、、、生まれたんじゃないのに、、、ってさ。」
優しく撫でつけるジェジュンの手の上にユノもその手を重ねる。
「でも、、、後悔できるから、、、まだ俺は人でいられる、、、、、
俺はユノよりも酷い、、、、もっと酷いことをしてきた。
でも、俺もまだ鬼にはなりたくないから、、、、」
ジェジュンも大きな物を抱えていることを、ユノも気づいていた。
「ジェジュン、、、俺、弱い人たちの力になれたら、、、、少しは後悔の山を崩して
前に進めるような気がして。自己満足かもしれないけど、此処に来たんだ。」
ジェジュンはユノがこの貧乏事務所に身を寄せた訳が、やっとわかった気がした。
「ユノ、、、俺はまだ抵抗しかできない。うち破ろうとしてはいるけど、まだまだ後悔の
山に閉じこめられたままなんだ。」
ユノの正直な告白が、ジェジュンの本音を吐露させていた。
「俺が、、、、後悔の山から少しでも抜け出せたら、、、、」
ユノは目を閉じたジェジュンのその先の言葉を待ったが、ジェジュンはいつの間にか
眠ってしまったようだ。
無垢な顔をして眠っているジェジュンは、中学生の頃の可愛かった彼のままのように
思えた。
暴力のはびこる世界に身を置いているとは思えない、純真な瞳を持ったジェジュン。
ジェジュンの言葉の端々に、今の世界から抜け出したい願望が見え隠れてしていた。
そして、自分への好意もまだ抱いてくれているようにユノは感じ取っていた。
押さえきれないジェジュンへの思いが溢れてきて、ユノはそっと寝ているジェジュンの
額と頬に口づけた。
「なあ、、、、お前は俺の事どう思ってるんだ?
俺は、、、お前と一緒に居たいよ。二人で、、、、探したいよ、、、自分が自分で居られる
場所を、、、、」
ユノはジェジュンの胸に顔を埋めてそうつぶやいた。
続く
ユンジェ小説 「Still in love」1 ご無沙汰してました(^_^;)
ほんとご無沙汰しててごめんなさい~(^_^;)
ちょっと私事で忙しくなることがございまして、落ち着くまで
バタバタしてました。
やっと少し落ち着いたのでひょっこり出て参りました。
コメやメッセもありがとうございました。
のんびり亀ですがまた書いていきます。
「あの丘、、、」の続きと思ってたのですが、ジェジュンの新しいサジンと
メランコリーかつドラマチックなジェジュンの声にまたやられまして(爆)
彼のソロ曲聴きながら書いた物語です。
最初はホラーしか浮かばなかったのですが、、、(失礼、、、、)
やっと恋愛物へとそしてユンジェへと思考が戻ってきまして、、、
ちょいと切なめですが、、、おつきあいくださると嬉しいです。
アルバムのサジンと、ジェジュンの「Still in love」かけながら
お楽しみくださいね~(*^_^*)
*********************************************
「Still in love」1
夕刻から降り出した雨は一層激しさを増し、容赦なくジェジュンの頭上に降り注ぐ。
たった一つの嘘のために、傷つけられた体を休めるところも今のジェジュンには、思いつ
かなかった。

電車やバスに乗ろうにも、泥や血にまみれた自分の姿は奇異に見られるだろうと想像できた。
万が一警察に通報されたらと、その心配も先に立つ。
人目を避け、路地を曲がりビルの陰に隠れながら、どれほど痛みを耐え歩き続けただろう。
夜も暮れ、人も見あたらない公園にたどりつき、ふらふらと水飲み場に近寄る。
せめて、顔についた汚れだけでも落とそうと、冷たい水を顔に浴びせる。
傷ついた箇所に強烈な痛みを感じながら、泥と血を洗い流した。
少し水を口に流し込みのどの渇きを潤し、またジェジュンは歩き続けていた。
そうして疲れ果て、いつしかジェジュンは懐かしい門の下に座り込んでいた。
そこはジェジュンが中学時代を過ごした、母校の門の前だった。
あの頃は楽しかった。
何も先のことなど考えず、ただ馬鹿みたいにたわいないことで笑いあい、ふざけあった。
どんなことも共感しあえる友達・・・
そこにいることが当然で、失うことなどないと信じられたかけがえのない存在。

でも、それはほんの些細なことで目の前から消えていった。
ちょっとした誤解が招いた騒動で、仲間の中でジェジュンは孤立していった。
一生親友でいる、そう誓った一番のアイツまで、、、
ジェジュンに背を向けた
誤解を解く方法ならあったはずなのに、、、ジェジュンはいつしか違うクラスの
全然接点のなかった素行の悪い仲間に引き込まれ、元に戻れなくなっていた。
あんなに楽しく、悔しいことも哀しいことも、ただお互いに話すだけで心が晴れた。
それが、全て失われてしまっていた。
ただ、自分だけが、、、、自分の心だけはあの日々のまま、、、そこにあった。
アイツのそばにいればそれでよかったのに、、、、
何を話していたか、何がそんなに楽しかったのか思い出せないのに、ただアイツのそばで
無邪気に笑っていられた自分を思い出す。
そして、、、自分へ向けられたアイツの笑顔も苦しいほどに忘れられない。

どうしてこうまで道はそれてしまったのか、、、、
どす黒い後悔だけが、ジェジュンの心を覆う。
全身ずぶぬれになりながら、自分の存在さえも洗い流してどこかに消えてしまいたい、、、
そんな思いも巡る。
「今度しくじったら、どうなるかわかってるだろう。」
自分が身を置いた世界が、どんなに理不尽で冷たく怖い世界なのか思い知らされるほど、
告げられた一言は胸に突き刺さった。
世間から指を指されることなどわかっていたのに。
ジェジュンは自分の在処を見つけられずに、中学の仲間に請われるままに組織の仕事を
手伝う羽目になっていた。
それが、薬物に関わることだと知ったのはずっと後の事だった。
秘密を知った人間をおいそれと離すほど、甘い世界ではなかった。
高校も中退し、仲間たちと共に組織に根を下ろすこととなってしまった。
もし、アイツらと一緒に高校生活を送っていたら、、、運動部にでも所属してごく
平凡な日常を送っていたことだろう。
危ない目に遭うことも、意に染まぬ仕事をさせられることもなく。
流されるままに続けていたことに、決着をつけなければ、、、
今更遅いかもしれないが、今回わざと言いつけられた仕事を失敗したように見せかけた。
逃げる方法などない。
自分が消えゆく他には、、、、
それでも、心に決めた自らの一線だけは越えたくない。
たとえ、今までの自分の行いが罪だとしても、もうこれ以上自分をごまかすことなど
できないと心が悲鳴を上げた。

重い心を抱えながら、うつむくジェジュンの頭上に降る雨が一瞬止まった。
アスファルトに激しく叩きつけるように降っていた筈の雨が止んだのが気になり
ジェジュンはふと俯いていた顔を上げた。
見上げた先には、信じられない人が傘をジェジュンに向けて立っていた。
しばらくは、お互いを見つめるばかりで言葉が出てこない。
ジェジュンの心は動揺していた。
あまりに変わり果てた自分を、アイツはわかるのだろうか、、、
「ジェジュン?ジェジュンなのか?」
自分だとわかってくれて嬉しいような、でもこんな自分を見られたくなかったような。
複雑な思いを抱えながらも、ジェジュンは口を開いた。
「ユノ、、、、、」
ジェジュンが一番会いたくて堪らなかったユノが、今目の前にいる。
「やっぱりジェジュンか。どうしたんだ?怪我してるみたいじゃないか。
こんなに濡れて。」
中学の時にあんなに冷たくあしらわれたのに、どういうわけか今日のユノは優しかった。
あの時、あんなに傷つけられたと思っていたのに、それでも優しい言葉をかけられるとつい期待してしまう。
あの頃のユノが自分を嫌っていなかったと。
「大したことない。大丈夫さ。」
強がりを言いながら、ジェジュンはユノの前にふらつきながら立って見せようとした。
しかし、目に見える傷だけでなく殴られた打撲も酷く、ジェジュンは倒れそうになった。
ユノがあわてて手を伸ばし、ジェジュンを抱き留めた。
「大丈夫じゃないじゃないか。」
そう言いながら、ユノはジェジュンを支え続けている。
「このくらいの怪我、、、日常茶飯事。
そういうとこにいるの、、、俺。噂ぐらい耳に入ってるんだろう。」
もっと他に言いたいこともあるはずなのに、そんな言葉しかジェジュンは返せなかった。
「ごめんな、、、、今更だけど、、、、。」
意外にもユノは謝罪の言葉をジェジュンに投げかけた。
訝しげにその言葉の意味を問いつめた。
「は?何のことだよ、唐突に、、、」
「いつか会えることがあったら、謝りたいと思ってた。
全部、誤解だったって事を。俺たちがお前を信じずに、彼女の言葉を信じたばかりに、、、」
本当に、、、あの頃だったらまだ素直に聞けたかもしれない。
でも失われた時は遅すぎた。
ユノの事を好きだと告白してきた女の子。
誰の目から見ても、可愛くて仲間内でも評判の子だった。
みんながあの子なら付き合ってもいいと思うような、そんな魅力に溢れた子だった。
なのに、ユノは断りたいと言う。
それを親友であるジェジュンに託した。

ジェジュンの心中は複雑だった。
自分に一番近い存在にいるユノに彼女が出来たら、自分からだんだん離れて行ってしまう。
そんな寂しさを抱えていたが、そんなことをユノや他の友達に知られたくなかった。
「馬鹿だよ、ユノは。俺だったらあんな可愛い子、付き合っちゃうのにな。」
ユノが彼女に断ると言ったことが嬉しくて堪らないくせに、ジェジュンはそう言って
ユノから彼女への手紙を預かった。
断りの手紙だとしか、ジェジュンは知らされてなかった。
手紙を彼女に渡し、彼女が中身を読み始めたそのとき、信じられないことが起こった。
「ジェジュン君、あんた私の事笑いに来たの?
酷いわ!!」
彼女はそう言ったかと思うと、突然ジェジュンに近づき唇を押しつけ、自分のブラウスの
ボタンを引きちぎった。
そのまま、泣きながらユノたちがたむろしている校庭に走り去っていった。
「ジェジュン君が、、、、」
びっくりしたユノたちは何が起こったのかわからなかったが、彼女を落ち着かせようと
言葉をかけたらしい。
泣きながら彼女が話したのは、ジェジュンが自分と付き合えと半ば強引にキスを奪い
胸をも触ってきたというのだ。
全て、腹立ち紛れに彼女がした狂言だった。
ジェジュンには全く理解できなかった。
少なくとも、自分はユノの使いで行っただけなのに、どうしてそんな事を言うのか。
彼女を目の前にして、そんなことはしてないと主張した。
しかし、「俺なら付き合うのに。」と言ったジェジュンの言葉を聞いていたみんなは
普段素直で可愛らしい彼女が嘘をつくはずがないとジェジュンを疑った。
そして、暴力で女の子に迫ろうとした酷い奴とののしった。
ユノも失望を隠せないといった調子で
「俺、、、、お前の事信じてたのに。どうしてだよ、、、、お前そんなにあの子の事
好きだったのか?何とか言えよ。」
と詰め寄った。
「違う、、、そうじゃない。違う、、、嘘なんだ。」
「何が、嘘だ?やっぱりお前、あの子に無理矢理、、、、、」
「違う、、、、」
その先の言葉は出てこなかった。
なぜなら、ジェジュンは自分の気持ちに気づいていた。

ユノを誰にも盗られたくなかった。
あの子とうまくなんていってほしくなかった。
でも、その理由は親友だからだけでないこと、恋愛の対象としてユノを意識し始めたことを言うわけにいかなかった。
それを言えば、女の子に手出しするはずないとわかってもらえたのかもしれない。
でも、、、それ以上にユノが自分にそう思われることを嫌悪したらとその方が怖かった。
そうして、誤解は解けぬまま、、、中学時代は終わりを告げた。
ユノとジェジュンは別々の高校に進み、ユノは大学を出た後、弁護士の資格を
とり弁護士事務所に勤めていた。
早くに地元を離れ、ユノと会うこともなかったが風の噂でジェジュンもそのことは
知っていた。
二人の道はまったく違った方向へ分かれてしまっていたのだ。
「あのことがきっかけでお前は俺たちから離れて、、、、本当にすまない事をした。
中学の頃に気づけたら、、、、」
「ほんと、、、今更だね。謝まられてもしょうがない。
でも、なんでわかったの?俺が嘘言ってなかったって。」
ユノは唇をかみしめ、顔を歪めながら口を開いた。
「彼女、俺に手紙くれたんだ。
高校行っていろいろ考えたって。俺のことも、お前のことも傷つけたくて
そうしたけど、酷いことしたって。
俺たちが仲違いしたまま卒業したのも、内心胸が痛かったって。」
「若気の至りか、、、、
ほんともうどうでもいいや!
でも、解せないのはお前にじゃなくて、なんで俺にあんなことしたのかってこと。
恨むのは俺じゃないだろ。ユノを恨むならわかるけどさ。」
ユノは俯いていたが、意を決したように顔を上げた。
「もう、嘘はよくないな。本当の事言う。彼女はお前が妬ましかったって。」
「はあ?なんで?どういう事だ?」
「ふうっー、鈍いな、お前。お前さ、自分じゃ解ってなかったかもしれないけど
女の子にも、男にも一種独特のなんていうか、、、、もててたんだよ。
可愛かったしな。俺も、、、、親友だからそんな事考えないように思いながらも
お前に惹かれていた。
だから、他の誰よりジェジュンが大事だから、今は女の子と付き合えないって
手紙に書いたんだ。」
「えっ?そんな、、、、」
ユノは恥ずかしくて仕方ないという風に頬を赤らめ、照れていた。
「だからってお前がとばっちりであんな目に遭ったのは理不尽なことだったよ。
本当にごめん。」
ジェジュンは放心状態だった。
好きだと言うことを隠しておかなくてはいけない。
そのために、自分は弁解もろくにせずに、ユノから離れた。
あのまま一緒にいても、いつかユノへの思いが溢れてどうしようもなくなりそうだったから。

今、初めて聞いたユノの本心。
ユノも自分の事を大事に思っていてくれた、、、、親友以上の思いで、、、
二人はあの頃、確かにお互いを思い合っていた。
嬉しくて堪らない、、、まだ、、、ジェジュンの心にはユノへの思いが溢れていた。
体はもう、子供のままじゃなかった。
でも、、、、心はあそこに置いてきたままだ。
まだ愛していた、、、、無垢な心のままに。
でも、今の自分の置かれた立場を思うと、ジェジュンの口は重く閉ざされたままだった。
次回へ続く。
ちょっと私事で忙しくなることがございまして、落ち着くまで
バタバタしてました。
やっと少し落ち着いたのでひょっこり出て参りました。
コメやメッセもありがとうございました。
のんびり亀ですがまた書いていきます。
「あの丘、、、」の続きと思ってたのですが、ジェジュンの新しいサジンと
メランコリーかつドラマチックなジェジュンの声にまたやられまして(爆)
彼のソロ曲聴きながら書いた物語です。
最初はホラーしか浮かばなかったのですが、、、(失礼、、、、)
やっと恋愛物へとそしてユンジェへと思考が戻ってきまして、、、
ちょいと切なめですが、、、おつきあいくださると嬉しいです。
アルバムのサジンと、ジェジュンの「Still in love」かけながら
お楽しみくださいね~(*^_^*)
*********************************************
「Still in love」1
夕刻から降り出した雨は一層激しさを増し、容赦なくジェジュンの頭上に降り注ぐ。
たった一つの嘘のために、傷つけられた体を休めるところも今のジェジュンには、思いつ
かなかった。

電車やバスに乗ろうにも、泥や血にまみれた自分の姿は奇異に見られるだろうと想像できた。
万が一警察に通報されたらと、その心配も先に立つ。
人目を避け、路地を曲がりビルの陰に隠れながら、どれほど痛みを耐え歩き続けただろう。
夜も暮れ、人も見あたらない公園にたどりつき、ふらふらと水飲み場に近寄る。
せめて、顔についた汚れだけでも落とそうと、冷たい水を顔に浴びせる。
傷ついた箇所に強烈な痛みを感じながら、泥と血を洗い流した。
少し水を口に流し込みのどの渇きを潤し、またジェジュンは歩き続けていた。
そうして疲れ果て、いつしかジェジュンは懐かしい門の下に座り込んでいた。
そこはジェジュンが中学時代を過ごした、母校の門の前だった。
あの頃は楽しかった。
何も先のことなど考えず、ただ馬鹿みたいにたわいないことで笑いあい、ふざけあった。
どんなことも共感しあえる友達・・・
そこにいることが当然で、失うことなどないと信じられたかけがえのない存在。

でも、それはほんの些細なことで目の前から消えていった。
ちょっとした誤解が招いた騒動で、仲間の中でジェジュンは孤立していった。
一生親友でいる、そう誓った一番のアイツまで、、、
ジェジュンに背を向けた
誤解を解く方法ならあったはずなのに、、、ジェジュンはいつしか違うクラスの
全然接点のなかった素行の悪い仲間に引き込まれ、元に戻れなくなっていた。
あんなに楽しく、悔しいことも哀しいことも、ただお互いに話すだけで心が晴れた。
それが、全て失われてしまっていた。
ただ、自分だけが、、、、自分の心だけはあの日々のまま、、、そこにあった。
アイツのそばにいればそれでよかったのに、、、、
何を話していたか、何がそんなに楽しかったのか思い出せないのに、ただアイツのそばで
無邪気に笑っていられた自分を思い出す。
そして、、、自分へ向けられたアイツの笑顔も苦しいほどに忘れられない。

どうしてこうまで道はそれてしまったのか、、、、
どす黒い後悔だけが、ジェジュンの心を覆う。
全身ずぶぬれになりながら、自分の存在さえも洗い流してどこかに消えてしまいたい、、、
そんな思いも巡る。
「今度しくじったら、どうなるかわかってるだろう。」
自分が身を置いた世界が、どんなに理不尽で冷たく怖い世界なのか思い知らされるほど、
告げられた一言は胸に突き刺さった。
世間から指を指されることなどわかっていたのに。
ジェジュンは自分の在処を見つけられずに、中学の仲間に請われるままに組織の仕事を
手伝う羽目になっていた。
それが、薬物に関わることだと知ったのはずっと後の事だった。
秘密を知った人間をおいそれと離すほど、甘い世界ではなかった。
高校も中退し、仲間たちと共に組織に根を下ろすこととなってしまった。
もし、アイツらと一緒に高校生活を送っていたら、、、運動部にでも所属してごく
平凡な日常を送っていたことだろう。
危ない目に遭うことも、意に染まぬ仕事をさせられることもなく。
流されるままに続けていたことに、決着をつけなければ、、、
今更遅いかもしれないが、今回わざと言いつけられた仕事を失敗したように見せかけた。
逃げる方法などない。
自分が消えゆく他には、、、、
それでも、心に決めた自らの一線だけは越えたくない。
たとえ、今までの自分の行いが罪だとしても、もうこれ以上自分をごまかすことなど
できないと心が悲鳴を上げた。

重い心を抱えながら、うつむくジェジュンの頭上に降る雨が一瞬止まった。
アスファルトに激しく叩きつけるように降っていた筈の雨が止んだのが気になり
ジェジュンはふと俯いていた顔を上げた。
見上げた先には、信じられない人が傘をジェジュンに向けて立っていた。
しばらくは、お互いを見つめるばかりで言葉が出てこない。
ジェジュンの心は動揺していた。
あまりに変わり果てた自分を、アイツはわかるのだろうか、、、
「ジェジュン?ジェジュンなのか?」
自分だとわかってくれて嬉しいような、でもこんな自分を見られたくなかったような。
複雑な思いを抱えながらも、ジェジュンは口を開いた。
「ユノ、、、、、」
ジェジュンが一番会いたくて堪らなかったユノが、今目の前にいる。
「やっぱりジェジュンか。どうしたんだ?怪我してるみたいじゃないか。
こんなに濡れて。」
中学の時にあんなに冷たくあしらわれたのに、どういうわけか今日のユノは優しかった。
あの時、あんなに傷つけられたと思っていたのに、それでも優しい言葉をかけられるとつい期待してしまう。
あの頃のユノが自分を嫌っていなかったと。
「大したことない。大丈夫さ。」
強がりを言いながら、ジェジュンはユノの前にふらつきながら立って見せようとした。
しかし、目に見える傷だけでなく殴られた打撲も酷く、ジェジュンは倒れそうになった。
ユノがあわてて手を伸ばし、ジェジュンを抱き留めた。
「大丈夫じゃないじゃないか。」
そう言いながら、ユノはジェジュンを支え続けている。
「このくらいの怪我、、、日常茶飯事。
そういうとこにいるの、、、俺。噂ぐらい耳に入ってるんだろう。」
もっと他に言いたいこともあるはずなのに、そんな言葉しかジェジュンは返せなかった。
「ごめんな、、、、今更だけど、、、、。」
意外にもユノは謝罪の言葉をジェジュンに投げかけた。
訝しげにその言葉の意味を問いつめた。
「は?何のことだよ、唐突に、、、」
「いつか会えることがあったら、謝りたいと思ってた。
全部、誤解だったって事を。俺たちがお前を信じずに、彼女の言葉を信じたばかりに、、、」
本当に、、、あの頃だったらまだ素直に聞けたかもしれない。
でも失われた時は遅すぎた。
ユノの事を好きだと告白してきた女の子。
誰の目から見ても、可愛くて仲間内でも評判の子だった。
みんながあの子なら付き合ってもいいと思うような、そんな魅力に溢れた子だった。
なのに、ユノは断りたいと言う。
それを親友であるジェジュンに託した。

ジェジュンの心中は複雑だった。
自分に一番近い存在にいるユノに彼女が出来たら、自分からだんだん離れて行ってしまう。
そんな寂しさを抱えていたが、そんなことをユノや他の友達に知られたくなかった。
「馬鹿だよ、ユノは。俺だったらあんな可愛い子、付き合っちゃうのにな。」
ユノが彼女に断ると言ったことが嬉しくて堪らないくせに、ジェジュンはそう言って
ユノから彼女への手紙を預かった。
断りの手紙だとしか、ジェジュンは知らされてなかった。
手紙を彼女に渡し、彼女が中身を読み始めたそのとき、信じられないことが起こった。
「ジェジュン君、あんた私の事笑いに来たの?
酷いわ!!」
彼女はそう言ったかと思うと、突然ジェジュンに近づき唇を押しつけ、自分のブラウスの
ボタンを引きちぎった。
そのまま、泣きながらユノたちがたむろしている校庭に走り去っていった。
「ジェジュン君が、、、、」
びっくりしたユノたちは何が起こったのかわからなかったが、彼女を落ち着かせようと
言葉をかけたらしい。
泣きながら彼女が話したのは、ジェジュンが自分と付き合えと半ば強引にキスを奪い
胸をも触ってきたというのだ。
全て、腹立ち紛れに彼女がした狂言だった。
ジェジュンには全く理解できなかった。
少なくとも、自分はユノの使いで行っただけなのに、どうしてそんな事を言うのか。
彼女を目の前にして、そんなことはしてないと主張した。
しかし、「俺なら付き合うのに。」と言ったジェジュンの言葉を聞いていたみんなは
普段素直で可愛らしい彼女が嘘をつくはずがないとジェジュンを疑った。
そして、暴力で女の子に迫ろうとした酷い奴とののしった。
ユノも失望を隠せないといった調子で
「俺、、、、お前の事信じてたのに。どうしてだよ、、、、お前そんなにあの子の事
好きだったのか?何とか言えよ。」
と詰め寄った。
「違う、、、そうじゃない。違う、、、嘘なんだ。」
「何が、嘘だ?やっぱりお前、あの子に無理矢理、、、、、」
「違う、、、、」
その先の言葉は出てこなかった。
なぜなら、ジェジュンは自分の気持ちに気づいていた。

ユノを誰にも盗られたくなかった。
あの子とうまくなんていってほしくなかった。
でも、その理由は親友だからだけでないこと、恋愛の対象としてユノを意識し始めたことを言うわけにいかなかった。
それを言えば、女の子に手出しするはずないとわかってもらえたのかもしれない。
でも、、、それ以上にユノが自分にそう思われることを嫌悪したらとその方が怖かった。
そうして、誤解は解けぬまま、、、中学時代は終わりを告げた。
ユノとジェジュンは別々の高校に進み、ユノは大学を出た後、弁護士の資格を
とり弁護士事務所に勤めていた。
早くに地元を離れ、ユノと会うこともなかったが風の噂でジェジュンもそのことは
知っていた。
二人の道はまったく違った方向へ分かれてしまっていたのだ。
「あのことがきっかけでお前は俺たちから離れて、、、、本当にすまない事をした。
中学の頃に気づけたら、、、、」
「ほんと、、、今更だね。謝まられてもしょうがない。
でも、なんでわかったの?俺が嘘言ってなかったって。」
ユノは唇をかみしめ、顔を歪めながら口を開いた。
「彼女、俺に手紙くれたんだ。
高校行っていろいろ考えたって。俺のことも、お前のことも傷つけたくて
そうしたけど、酷いことしたって。
俺たちが仲違いしたまま卒業したのも、内心胸が痛かったって。」
「若気の至りか、、、、
ほんともうどうでもいいや!
でも、解せないのはお前にじゃなくて、なんで俺にあんなことしたのかってこと。
恨むのは俺じゃないだろ。ユノを恨むならわかるけどさ。」
ユノは俯いていたが、意を決したように顔を上げた。
「もう、嘘はよくないな。本当の事言う。彼女はお前が妬ましかったって。」
「はあ?なんで?どういう事だ?」
「ふうっー、鈍いな、お前。お前さ、自分じゃ解ってなかったかもしれないけど
女の子にも、男にも一種独特のなんていうか、、、、もててたんだよ。
可愛かったしな。俺も、、、、親友だからそんな事考えないように思いながらも
お前に惹かれていた。
だから、他の誰よりジェジュンが大事だから、今は女の子と付き合えないって
手紙に書いたんだ。」
「えっ?そんな、、、、」
ユノは恥ずかしくて仕方ないという風に頬を赤らめ、照れていた。
「だからってお前がとばっちりであんな目に遭ったのは理不尽なことだったよ。
本当にごめん。」
ジェジュンは放心状態だった。
好きだと言うことを隠しておかなくてはいけない。
そのために、自分は弁解もろくにせずに、ユノから離れた。
あのまま一緒にいても、いつかユノへの思いが溢れてどうしようもなくなりそうだったから。

今、初めて聞いたユノの本心。
ユノも自分の事を大事に思っていてくれた、、、、親友以上の思いで、、、
二人はあの頃、確かにお互いを思い合っていた。
嬉しくて堪らない、、、まだ、、、ジェジュンの心にはユノへの思いが溢れていた。
体はもう、子供のままじゃなかった。
でも、、、、心はあそこに置いてきたままだ。
まだ愛していた、、、、無垢な心のままに。
でも、今の自分の置かれた立場を思うと、ジェジュンの口は重く閉ざされたままだった。
次回へ続く。