脳と機械をつなぐ新たなリハビリ機器 | みなるんのブログ

脳と機械をつなぐ新たなリハビリ機器

 

 

その1です。

シェアさせてもらった記事からの抜粋です。

『牛場潤一さん (慶應大学理工学部准教授)

井上 裕貴 (アナウンサー) 保里 小百合 (アナウンサー)

 

脳と機械をつなぐ新たなリハビリ機器を開発した、慶應大学の牛場潤一准教授です。

頭につけるのは、

神経細胞が発する微弱な信号を捉える、

最新の脳波計です。

 

慶應義塾大学 理工学部 牛場潤一准教授

「じゃあやってみましょうか。

リラックスした状態で。

はい、指を開くイメージです」

 

 

「手を開け」と脳が念じると・・・。

その時に出る脳波の特徴を、AIが解析。

 

 

機械が脳の指令通りに作動し、麻痺した手を動かす最先端のリハビリです。

 

牛場潤一准教授

「脳卒中後に半年たって維持期、あるいは慢性期と呼ばれるような状況にあっても、まだなお脳の中には可塑性変化する性質が残っていて

機能を回復させていくというステージまで持っていける」

 

牛場さんの研究に協力した、後藤博さんです。

脳卒中で左手が動かなくなり、不自由な生活を強いられていました。

40代で倒れる前の後藤さんは、バリバリ仕事をこなす、保険会社の営業マンでした。

通常のリハビリでは左手の機能は回復せず、医師からは「左手は失ったものと思ってください」と告げられました。

 

後藤博さん

「信じられませんでした。

現在の医療をもってして、そういう不可能なこともあるのか。

重い物体が体にくっついて、それが動かないもんですから、いっそのことなくなってしまったほうがいいのではないか。

そんなふうにも思いました」

 

脳卒中で脳細胞が損傷すると、体の動きをつかさどる運動野と呼ばれる部分からの指令が手に伝わらなくなります。

 

 

さらに麻痺が続くと運動野の活動そのものが鈍くなり適切な指令も出せなくなってしまうのです。

なんとか回復したいと、病院を転々とした後藤さん。

大学病院の医師を通じて、牛場さんの研究に参加することになりました。

 

 

牛場潤一准教授

「指を開くイメージです」

 

しかし初めのうちは、うまく機械を動かすことができませんでした。

 

後藤博さん

方法が感覚が分からなかったですね。

それで頭が混乱するということが多かったです」

 

牛場潤一准教授

「(脳が)運動をイメージすることを、忘れてしまっている

本人は正しいと思っているんだけど、決して適切な脳活動が出ないって場合もあるんです」

 

しかし、3日ほどリハビリを続けたところ・・・。

 

牛場潤一准教授

「指を開くイメージです。

筋肉、ぐーっと縮まるイメージで」

「手を開け」というイメージと、機械の動きが少しずつ連動していったといいます。

後藤さんの体に何が起きていたのか。

リハビリを始めた当初、「手を開けと念じても脳は適切な指令を出せません

そのため、機械は正しい脳波を検知できず、動かないままでした。

後藤さんは、手を動かす正しい指令とは何なのか、脳波計と機械を見ながら念じ続けました。

何度も試す中で、機械が反応することがありました。

どう念じたときに機械が動くのか。

試行錯誤を繰り返し、正しい指令の出し方を取り戻していったといいます。

(みなるん注:手を開けと念じること自体に、イメージすることは含まれないということでしょうか?

含まれているとしたら、手を開くことをイメージすること自体を忘れてしまっていたのであれば、手を開くことを念じること自体も忘れてしまっていたのでないでしょうか?

それとも、念じることには、まったくイメージすることも考えることも含まれない場合もあるということでしょうか?

手を開けとイメージしようとしても、イメージ自体が出来なかった、つまり念じること自体も出来なかった、

でもだんだんイメージすることが出来るようになって、念じることも出来るようになっていったと表現するならわかる気もするんですが・・・)

 

後藤博さん

「機械が(手を)開くにはどういうイメージをしたらいいのかっていうことを、機械が教えてくれました。

ここは、なかなか人では分からないところ。

何回も反復して繰り返す。

このことによって、感覚をどんどん定着していくということができたように思います」

リハビリを行うと、脳卒中によって活動が鈍くなった運動野に、大きな変化が起きていました。

 

牛場潤一准教授

「運動野と呼ばれるような、運動に関係するような脳の領域の活動が上がってくるというのが分かりました」

 

これは、リハビリ前後のMRI画像。

活動が鈍かった運動野が、黄色く変わっていることが分かります。

この部分の神経細胞が、活性化したのです。

 

 

リハビリを始めてから1か月後。

 

後藤博さん

「つまんで離す、つまんで離す。

というのを繰り返しするようになりました」

 

現在、後藤さんは生命保険会社のシンクタンクで研究員として働いています。

物をつかんだり、書類を押さえたり、日常生活に必要な動作ができるようになりました。

 

後藤博さん

「ようやく自分の体になったんだなという、喜びがありました。

自分の意思で自分の体を動かすということが、いかに重要なものか。

いかに前向きにさせてくれるものか。

それを身をもって感じることができました」

 

これまで38人にリハビリを行ったところ、7割ほどの人に機能の改善が見られたといいます』