パーソナルケア製品の合成防腐剤であるトリクロサン | みなるんのブログ

パーソナルケア製品の合成防腐剤であるトリクロサン

 

 

 

シェアさせてもらった記事からの抜粋です。

『抗菌・殺菌効果のある製品と聞いてまず思い浮かぶのは薬用石鹸ですが、現在の日本では、石鹸にトリクロサンを使用することが禁止されています。

それは、2016年にFDA(米国食品医薬品局)が卜リクロサン等を含有する抗菌石鹸の販売を順次停止する措置を発表したのを受けて、日本でも厚生労働省より同様の通達がなされたためです。

しかし、この対象は薬用石鹸のみ。

 

歯磨きや、汗拭きシート、化粧水、シヤンプーなどは対象外であったため、

それらの製品には依然として使用されているケースが残っているのです。

 

現在、トリクロサンそのものによるアレルギーは報告されていませんが、

他の成分によるアレルギーを促進させること2016年に厚生労働省が報告。

海外の調査でも、尿中のトリクロサン濃度が高い人ほどアレルギーに反応しやすく(アメリカ)、鼻炎の発症率が高い(ノルウェー)といったデータが示されており、花粉症などへの影響も疑われています。

また、卜リクロサンを含むパーソナルケア製品を使用することで

環境ホルモン効果の危険性が高まると結論づけたカナダ保健省の報告では、

妊娠中の女性ほど尿内のトリクロサン濃度が高かったという衝撃的なデータが示されました。

日本の河川における水環境中のに卜リクロサンが検出されているという厚生労働省の報告からは、

自然界に与える影響も懸念されます』

 

 


 

 

 

 

シェアさせてもらった記事からの抜粋です。

参考資料等の詳細は、元記事様でご確認ください。

『人々が医師の処方箋なしで購入できる,健康のための医薬部外品,化粧品や芳香剤などの製品は,パーソナルケア製品と総称されている。

因みに,日本では人間用の製品が対象だが,

アメリカでは同様な目的で使用される家畜用の製品も対象にされている。

手洗い石鹸,スキンクリーム,歯磨き,防臭剤入り石鹸など,毎日使用されている広範囲のパーソナルケア製品に,

合成防腐剤や抗菌剤として広く使用されているのが,

トリクロサン(Triclosan5-クロロ-2-(2,4-ヂクロロフェノキシ)フェノール)である。

トリクロサンは脂肪酸合成系の酵素を阻害して細菌や植物の細胞膜を破壊するとされ,40年以上前に抗菌剤として導入されている。

最近では,抗菌・防菌製品の要請の高まりとともに,

プラスチック製まな板,スポーツ用品,靴,家具などの多数の製品で,トリクロサンがますます使用されてきている。

2005年における世界の年間生産量が約1,500トン,

そのうちの450トン超がヨーロッパとアメリカでパーソナルケア製品に使用されているとされている。

 

トリクロサンは,

人体の外側で使用される製品に使われており,

代謝変換されることなく,洗い落とされて,

排水管を経て排水として下水処理プラントで処理されている。

この処理によって,トリクロサンの58%から99%が除去されている。

しかし,下水処理プラントはこうした微量物質には十分に対応していないため,除去されなかったトリクロサンが河川や湖沼などの表流水に排出されている。

こうして表流水に放出されたトリクロサンの生態系影響については,最近,急速に関心が高まり,多くの研究がなされている。

そのなかで,緑藻類を用いて,トリクロサンが水中の生物に悪影響を及ぼしている可能性を指摘した研究の1つとして下記がある。

 

 

●エルベ川流域河川のトリクロサン濃度

ドイツ東部にあって,チェコと国境を接しているのがザクセン州である。

エルベ川がチェコから流れてきて,ザクセン州の中心を通過して北海に流れて込んでいる。

ザクセン州には,エルベ川を中心に572の水系が存在している。

von der Ohe(2012)は,572の水系に総計802のサンプリングサイトを設け,各サイトで2006年から2008年の間に1から155のサンプルを採取し,総計6,756サンプルを採取して,トリクロサン濃度を分析した。

その結果,サンプル総数の62.7%からトリクロサンが検出され,

検出濃度の中央値と最大値は,それぞれ131,100ナノグラム/リットルであった。

(注)ナノグラム(ng)は10-9グラム:1グラムの10億分の1

 

 

●トリクロサンの水生生物に対する影響

既に他の人達が行なったトリクロサンの水生生物に対する影響の結果は,次の通りである(von der Ohe, 2012)

以下に示した結果は,

投与直後から数日以内に発現する急性毒性を,

試験生物の半数に死亡,成長,遊泳,繁殖などに影響が出る濃度を示す「半数影響濃度(EC50)」によって示してある。

(注)マイクログラムは10-6グラムで,1,000ナノグラム。

 

・ミジンコの死亡率で,390 マイクログラム/リットル

・ユスリカの生存率で,3,000 マイクログラム/リットル

・魚(ファットヘッドミノー)の死亡率で,260マイクログラム/リットル

・イボウキクサの生育阻害で,62.5マイクログラム/リットル

・単細胞緑藻類のイカダモの生育阻害で,1.4マイクログラム/リットル

・珪藻綱の生育阻害で,66マイクログラム/リットル

 

・標準的試験生物の単細胞緑藻類の生育阻害で,4.7マイクログラム/リットル

 

このように,水生生物のなかでは,

単細胞緑藻類がトリクロサンの影響を最も敏感に受けている。

そこで,von der Ohe(2012)は,

標準試験の(単細胞緑藻類)を用いて,95%の個体に急性毒性のでない無影響濃度を調べた。

その値は4.7 ナノグラム/リットルと推定された。

なお,この値は影響のない濃度であり,急性毒性の半数影響濃度に比べれば1,000倍も低かった。

分析したエルベ川の75%のサイトがこの値を超えていた。

各サイトにおける最大環境濃度の95パーセンタイル(100個の値のうちの小さい順に数えて95番目の値)は,無影響濃度を12倍も超えており,藻類群集に対する潜在的な危険性が示唆された。

 

 

von der Ohe(2012)は,

エルベ川流域の水系から検出された,最近優先指定された河川流域特有の汚染物質500のうち,

トリクロサンの水生生物に対する影響のリスクは,

影響の強さと濃度からみて,最も問題な物質の上位6番目にランクされた。

この結果からみれば,トリクロサンも優先物質として指定されて良いとvon der Oheらは主張している。

しかし,「水枠組指令」では,少なくとも4か国からのモニタリングデータによって,問題がヨーロッパ全体に及んでいるかその可能性があることが証明されないと,優先物質に指定されない。

河川のトリクロサン濃度について詳細なモニタリングを行なった研究は,紹介したこのドイツでの例とアメリカでの例があるだけである。

ヨーロッパでは調査すれば,4か国以上の国々で問題なはずだが,

その裏付けデータがないために,問題が放置されているvon der Oheらは主張している。

 

 

衛生上の需要から抗菌物質の使用が増えたが,それが思わぬ生態系影響を及ぼしうることがこれらの研究からもうかがえる。

トリクロサンは難分解で自然界での残留が問題になった有機塩素系農薬に類似した化学構造を持っている。

その使用量が今後増えるとともに,生態系影響がさらに問題になろう』