パレスチナ人の尊厳を人形と劇に吹き込む人形作家
シェアさせてもらった、それぞれの記事からの抜粋です。
『
パレスチナ人の人形作家、マフディ・カリラさん。パレスチナ自治区ガザ地区中部デイルアルバラフにある避難民キャンプで(2024年4月27日撮影)。(c)AFP
パレスチナ人の人形作家、マフディ・カリラさん。パレスチナ自治区ガザ地区中部デイルアルバラフにある避難民キャンプで(2024年4月27日撮影)。(c)AFP
29 Apr 2024
戦争で荒廃したガザ地区で、人形職人のマフディ・カリラ氏は、コンクリートブロックの作業テーブルの上で、古いブリキ缶を人形に変える作業に追われている。
彼は鼻歌を歌いながら作業をしている。
自分の作ったその場しのぎのマリオネットが、パレスチナ沿岸部での半年以上にわたる戦争で家を失った子どもたちの顔を笑顔にすることを知っているからだ。
「この人形たちは、私たちの身の回りのものを美しくしてくれるのです」
と、彼は自分の手仕事を眺めながら言った。
戦争が始まる前、カリラ氏は色鮮やかな人形をたくさんコレクションしており、しばしば劇場に持っていって上演していた。
2月7日、パレスチナ自治区ガザに住む子どもたちの間で、人形劇が人気を集めている。操るのは、「ガザ初の人形師」を名乗るマフディ・カレラさん(39)。舞台は幼稚園だ。写真は劇を見る子どもら、1月29日撮影(2019年 ロイター/IBRAHEEM ABU MUSTAFA)
2月7日、パレスチナ自治区ガザに住む子どもたちの間で、人形劇が人気を集めている。操るのは、「ガザ初の人形師」を名乗るマフディ・カレラさん(39)。舞台は幼稚園だ。写真は劇を見る子どもら、1月29日撮影(2019年 ロイター/IBRAHEEM ABU MUSTAFA)
2019年2月8日
音楽をバックに、カレラさんの操る人形は道化師、コック、教師、少年少女までさまざま。
年若い観客からは笑いと歓声が起きる。
「人形には役割がある。
子供から大人までを楽しませることだ。
ポジティブな価値観を持つよう勧め、ネガティブな価値を変化させてしまう」
とカレラさんは言う。
製作と操作は独学で学んだ。
自宅バルコニーに設けた作業場でこれまでに、木、発泡体、プラスチック、ワイヤーを使って30体の人形を作り上げたと言い、
「とても愛着がある。自分の子どもみたいなものだ」と話した。
現在は、イスラエルの砲撃によってガザ市の自宅から
狭いガザ地区中央部のデイル・アル・バラに避難した後、
避難民キャンプでパフォーマンスを行っている。
工房の壁には、何体もの人形が吊り下げられている。
その体の上には、木やブリキ缶で作られた表情豊かな人間の顔が乗せられ、手足には、カリラ氏が歩かせたりしゃべらせたりするために使う糸が引っかけられている。
ガザが包囲されている今、新しい材料を手に入れるのは難しい。
そこで彼は、瓦礫や釣り糸、国連のロゴが刻印された古いイワシ缶などを利用し、絵の具で命を吹き込んでいる。
「残念なことに、避難してからは人形も劇場もなくなってしまいました。
私はすべての仕事を北部のガザ・シティに置いてきたのです。
今身の回りには大小さまざまな缶詰しかありません」
イスラエルのガザ空爆と地上戦について、カリラ氏はペンチとペイントされた人形の頭のそばで語った。
彼は、周囲で戦火が鳴り響く中、自分の技術を維持し続けることが重要だと語った。
「最も重要なことは、芸術を創作することによって、自分の仕事に忠実であり続けることです。
私たち一人ひとりが自分の商売、才能、芸術を持っているからこそ、侵略にもかかわらず活動を続けることができるのです」
アートセンターや美術館、歴史的建造物に至るまで、領土の文化遺産は壊滅的な打撃を受けている。
瓦礫と化したガザを見ながら、カリラ氏は、人形は
“美しいものを伝え、子どもたちに私たちの歴史や物語を伝えることができます “
と語った。
【6月18日 AFP】
「人形劇で避難民キャンプにいる子どもたちに喜びを与えたい。
そうすることで私たちは侵略に負けず、この地球上で確固とした存在であり続けることができる」
「私たちは攻撃を受ける中でも活動を続けることができる。
仕事、才能、芸術など、誰もが何かを持っている」』