MEMSとNEMSとグラフェン
シェアさせてもらった記事からの抜粋です。
『2020年に先端技術研究所を設立し、研究活動をスタートさせました。
2028年ごろに商用化が見込まる6Gに向けた研究開発と、
さらにその先を見据えた基礎研究としてNEMSの実現に向けた課題に取り組んでいます。
私たちはこれらの活動を通じて、
通信計測、食・医薬品の安全・安心の担保、そして
センシング技術の獲得にむけて取り組んでいます。
』
http://www.hibizaidan.jp/asset/pdf/report/report_h27_takahashi.pdf
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情報の出典先や研究の詳細は、元記事様でご確認ください。
『MEMSグラフェン共振器とCMOS回路を集積化した
高感度質量センサの開発
グラフェンは、優れた機械的・電気的特性をもつことから、高周波スイッチや共振型センサなどのNEMS(Nano Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)デバイスへの応用が期待されている。
例えば、グラフェンの自立構造を振動子とするNEMS発振器は、小型で周波数変調可能な高周波デバイスとして応用できる。
また、血液中に含まれる免疫グロブリンGなどの生体分子を抗原抗体反応によって捉え、分子吸着に伴う周波数変化を検出するグラフェン共振型バイオセンサが報告されている。
これらのグラフェン共振器デバイスは、シリコン半導体チップ上にMEMS技術を用いてグラフェンの架橋構造を集積化し、交流電気信号を印加することで生じるグラフェンの共振現象を利用している。
また、現在報告されているグラフェンの架橋構造には、グラフェンを膜の両端で固定したブリッジ構造や
エッジを全て支えた円形のドラム構造などがある。
ドラム構造はブリッジ構造に比べ、共振駆動時のエネルギー変換効率を示すクオリティ
ファクターが1桁以上高くできることが報告されている。
現在までに、ドラム構造のグラフェン共振器を製作する手法として、
本研究では、ナノキャビティをもつ任意基板上にグラフェン転写を行うことで、犠牲層エッチングを用いずに円形のドラム構造を実現できる簡易的な製作手法の確立を目指している。
グラフェンの成膜手法には、機械剥離法や
ニッケルや銅箔上への化学気相成長法(CVD法)などが報告されているが、デバイス応用には高品質かつ大量生産可能で汎用性が高いという利点から、
CVD法によるグラフェンが期待されている。
ニッケルや銅箔上にCVD成長したグラフェンを半導体デバイスと組み合わせて使用するためには、任意基板へ転写する必要がある。
近年では、空気中で転写を行うドライ転写技術が提案されてきた。
ドライ転写技術には、PMMAを用いる手法は欠陥の少ない高品質なグラフェンを得られることから期待されている。
本研究では、PMMAを用いたより簡易的なドライ転写法を用いることで、グラフェンによるキャビティ封止型ドラム構造の製作に成功した。
提案する転写方法は、
低温でシリコン酸化膜上に転写・洗浄工程が可能なため、CMOS集積回路上にポストプロセスによってグラフェン共振器を製作可能である。
本稿では、ドライ転写技術および製作したキャビティ封止型ドラム構造の評価結果についてまとめる。
図1に従来のウェット転写方式のプロセスフローを示す。
まず銅箔にCVD成長したグラフェン上に、キャリア層としてPMMAをスピンコートする。
銅エッチング液により銅箔を除去したのち、PMMA/グラフェンは超純水中で洗浄する。
転写対象となる任意基板を水中からPMMA/グラフェンと同時にすくいあげ、
水の乾燥の際に生じる表面張力を利用して転写を行うことで、グラフェンと基板間の密着性を向上する。
本研究では、グラフェンの支持体が理想的に基板に固定されている構造を実現することを目的に、グラフェン共振器構造の形成ができる簡易的なドライ転写技術を提案する。
図4に、本研究で行ったCVD単層グラフェンのドライ転写プロセスを示す。
まず、グラフェン/銅箔にPMMAを3.5 μm程度の厚さでスピンコートし、密着性向上のために180℃のホットプレートで加熱する。
Polydimethylsiloxane(PDMS)をPMMAの上部から自然圧着することでPMMA/グラフェン/銅箔を支持し、FeCl 2 液により銅をエッチングする。
完全に銅をエッチングした後、PDMSを用いてFeCl 2 液からPDMS/PMMA/グラフェンを取り出し超純水で十分にリンスする。
PDMS/PMMA/グラフェンを空気中で乾燥させ、
グラフェン表面をIPAにより有機洗浄する。
その後、予め反応性イオンエッチング(RIE)により形成したナノキャビティをもつ熱SiO2/Si上に乾燥させたPDMS/PMMA/グラフェンを置き、
基板をPMMAの転移温度以上である180℃のホットプレートで12時間以上加熱する。
この熱処理によりPMMAは可塑性を有するため、グラフェン/基板間の密着性は向上する。
溶液中でグラフェンが基板から剥離しないようPMMAを2度塗りした後、5分間180℃で加熱を行う。
最後に60℃の温リムーバPGでPMMAを除去し、転写は完了となる。
図5にドライ転写法により製作したグラフェンによるキャビティ封止型ドラム構造の電子顕微鏡写真を示す。
グラフェン膜の自立構造が確認でき、キャビティ封止構造の製作に成功していることが示せた。
今回の実験ではキャビティサイズは最大直径8.5 μmを達成した。
今回の結果より、グラフェンは一般的な気体や液体に対して不透過性を示すことから、液体での PMMA 除去はキャビティ封止構造の形成においても有効であることが実証できたといえる。
グラフェン上に分子を修飾する手法として、
π結合によりグラフェン表面へ吸着可能な架橋剤を使用して、
タンパク質抗体の修飾実験を行った。
グラフェン上への吸着を確認するため、
蛍光色素(FITC)を標識した牛血清アルブミン(BSA)抗体を架橋剤と修飾処理を行った。
図8にBSA抗体をグラフェン上に修飾した後の蛍光顕微鏡画像を示す。
グラフェンが転写されている領域では蛍光が観察されており、欠陥箇所では蛍光が確認されなかったことから、グラフェン上への分子の修飾に成功していると考えられる。
この修飾方法を用いて
自立構造を有するグラフェン膜上へBSA抗体の修飾を行い、膜の形状変化を干渉測定により評価した。
抗体修飾前後の反射スペクトルより、抗体修飾後はキャビティ長が200 nm程度増加していることが示された。
これは、自立膜上に分子が吸着すると、分子同士が静電的に反発し、膜にストレスとして伝わることにより変化したモデル通りの結果である。
以上より、グラフェンの自立膜上へ吸着した分子の応答変化を取得することに成功した』
ロステック ロシア初の国産通信衛星用の部材供給を開始
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) May 27, 2024
🛰️ 露国営コングロマリット「ロステック」とその関連企業は、静止通信衛星Express-AMU4の部材のマイクロ波スイッチのアクチュエータの開発を完了し、納入を開始した。… pic.twitter.com/kk9cN3sJ0c
『露国営コングロマリット「ロステック」とその関連企業は、
静止通信衛星Express-AMU4の部材のマイクロ波スイッチのアクチュエータの開発を完了し、納入を開始した。
ロステック報道部は、この装置のおかげで、
ロシア史上初の完全国産通信衛星によるデータ送信と通信が可能となると発表している。
アクチュエータとは
自動制御システムの機能を果たす要素で、
電気モーター、電動装置、油圧装置、リレー、マニピュレータが含まれる。
静止通信衛星Express-AMU4用のアクチュエータが取り付けられるおかげで、
マイクロ波スイッチはデータ通信、固定通信、移動通信、デジタルテレビ放送に必要な無線信号の切り替えができる。
宇宙船Express-AMU4は、ロシア初の完全国産通信衛星。
地球上空およそ3万6000キロの静止軌道への投入は、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げ用ロケット「プロトン」によって2026年に予定されている』