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大好きな経済学者の田中秀臣先生のご本読了!

「日本でいま働く人々の不安と希望の損失の現状を描き出し、ではどうしたらそれが解消できるのかを考えようと緊急に出版するものです。」

本書はこの言葉ではじまる。2008年に出版されたものですが、ここ5年、状況は全く変わらなかったのではないでしょうか。
デフレ不況下で起こった東日本大震災、将来不安の声はますます大きくなっていたかと思います。しかし、今、政権が交代し、安倍首相は金融政策とても戦ってくださってます&日銀前総裁辞任されましたので、がらりと金融政策の舵は変わるのではないかと期待ですよね!!

よく経済評論家の上念司先生が仰っているのですが、実体経済(フローの市場)と株、為替といった資産(ストック)市場とがあって、例えば何かショックがあったときにすぐに反応するのがストック市場で実体経済の方にまでくるのには時間がかかるそうなんですね。なので金融緩和します、と宣言して(実際にしてても)ストック市場は一気に動き出すんですが、じゃ、今日給料が上がるかと言ったらそうではないんですね。ゆっくりと時間がかかって伝播してくるんですって。それは、良いときも悪いときもどちらの状況のときもそうなんですが、株とか円安などに合わせて、実体経済(サービスとか物とか)の価格は急には変えられないからなんだそうです。価格調整には支払いのタイミングなど色々とあるからなんだそうです。
雇用問題も同じように考えられるのではないでしょうか。本書は増え続ける失業者問題に対して何が原因で問題なのかを検証していきます。

「不況とはイス取りゲームのようなもの」
第一章はここから始まります。そして日本を襲った不況は二段階で、もともとデフレ不況だったところに世界金融恐慌等々重なり、しかしその時に行った金融政策はやはり日本と海外では全然違ったんですよね。日本はゼロ金利解除とか量的緩和もやめてしまいました。
完全失業率の上昇は不況下での誤った金融政策によるものなのです。決して、働く意欲がないとかニート問題等も個人のせいではないことが本書とてもよくわかりやすかったです。
日本政府が一貫してやっきた民営化や規制緩和による構造改革。。。公的な介入余地を減らしていく政策により国や自治体から出るお金を減らすとこばかり考え、それによって雇われる人は減ってしまうと書かれていました。

第1章 「二段階不況」の日本
第2章 経済の現状に対する、5つの誤解を解く
第3章 漂流する若者世代
第4章 正社員の憂鬱
第5章 今こそ金融・財政政策の総動員を
第6章 雇用回復への処方箋

凄く勉強になりますので是非読んでみてください♪

そしてこれから読むのは岩田喜久男先生の「インフレとデフレ」です。これは1990年時に出版されたものに新たにリーマンショック後の経済状況なども加え2012年に出版されたものです。楽しみです!!