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この本は日本の「国債」と「財政」について正しい理解を持つための本であり、そしてその上で今行われている政策や新聞などの語弊的な報道による財政破綻などの煽りに対し、巷に広がるデマに惑わされることないように、日本のこれからと経済成長にとって大切な金融政策とは何かということを、正しい認識へと向かわせてくれる、そんな本であると思います。

本書の中で日本国債が何故デフォルトすることがないか、どんなに頑張ってもギリシャのように債務不履行(デフォルト)にならない理由はどうしてかということが経済の基本のしくみと共に解説されています。

日本は中央政府の自国建て通貨国債の「内国債」(本書内でそう呼びます)であって「外資建て国債」や「共通通貨建て国債」ではないことで、破綻のしようがありません。それは内国債は中央銀行(日銀)に買い取ってもらえば済むだけだからです。(正確には直接中央銀行が国債を買うのではななく、その他の金融機関を一旦通してらしいです。直買いは議会を通さないとダメとかあるようです。)
日本の中央政府は、デフレ時、日銀に国債を買い取ってもらうことで(通貨発行)市場にお金を増やすことで金融緩和します。またインフレ率をコントロールし、物価の安定を保つために中央銀行(日銀)が存在するそうです、(本来は。)そして日銀の株の55%を政府が保有することから、日銀は政府の子会社のようなものだそうです。

そうなると、ギリシャ政府が債務不履行に陥ったのは共通通貨建て国債であったためで、自国で通貨発行をすることが出来なかったためデフォルトしてしまいました。債務不履行に陥る国の共通点は外資建て国債や共通通貨建て国債で、プラス通貨暴落というのが決まりのセットだそうです。

また、ハイパーインフレーションについても、日銀が日本国債を買い続けたところで、なかなかハイパーインフレにはならないということでした。ハイパーインフレまでもっていくには、月に50%物価上昇しないといけないのと、1年で13000%まで上昇しないとならないそうです。

日本と並んでアメリカも財政破綻したり国債がデフォルトすることがない国でそれは自国通貨建て国債であるためなのと、更にアメリカは世界の基準通貨国であることが理由だそうです。ドルを刷ることであらゆるモノをドルと引き換えられるからです。

そして、国債について理解する上で、日本の国債はもとをたどると誰のお金だったかということが重要になるそうで、本書内に書かれています、

「この世の全ての金融資産は、誰かの金融負債」であるとどうじに「この世の全ての金融負債は、誰かの金融資産」であるわけだが

とありまして、日本の自国建て国債は、もともとは日本国民が銀行や保険(生命保険など)などに預けている預金で、先に書いたように誰かの資産は誰かの負債で、金融機関にとって国民の預金は金融機関にとっては負債ですし、金融機関はお金を運用するのが目的です。金融機関に貯められた貯蓄は日本円なので国内で運用します。その中で政府も借り入れ日本国債発行となったりします。政府は国債発行と引き換えにみんなの貯蓄(もとは)を使って政府の収支にあてるそうです。(公的サービスなど)

そもそも国債を発行しなくてはいけないのは税収が足りないからであって税収が足りないのは、所得が下がっているからです。これが続く限りデフレ状況ですから、先ずはデフレ脱却が一番大切だということです。デフレによる失業率増加などを減らすために、中央銀行(日銀)が国債をどんどん買い、インフレへと向かわせる健全な長期的金融政策で国民が将来不安なく社会生活を送れるような世の中を目標に頑張って頂きたい、ということですよね!!

他には、日本は経常収支の黒字国(国内の貯蓄の過大を意味する)、世界一の対外純資産国であるなどの話がありました。私には難しかった利率と利回りの話もありました。あと、私が一番好きだったのは、田中角栄さんの話を紹介されてたところで、
「福祉は天から降ってこない~~~日本人自身がそのバイタリティーをもって経済を発展させ、その経済力によって築き上げるほかに資金の出所はないのである」
ここ、好きでした。

みなさまも是非読んでみてくださいね♪
次は『「日本経済ダメ論」のウソ』を読みます。これは三橋貴明さん×上念司さんの共著です。楽しみです!