「太極その一」に限らず、左横移動から始まる型が多く見られます。
仮想敵を想定しているとしたら、横から始まる想定は奇妙に思えます。
そこで左横移動から始まる事の意味や効果を考察します。
・左回りの謎
陸上のトラックは左回りに走ります。
左回りになった歴史は未だはっきり分かっていないようですが
「人体の構造的特徴との関係(一般的に心臓は左にあり、人体の重心は左半身にかかりやすい等)」
「文字文化との関係(左から右に文章を綴る)」
等、諸説あります。
これら諸説に関する深掘りは本題から逸れる為割愛します。
結論から述べると、多くの人は左回りの方が走りやすく、右回りに比べてタイムが良いとの事です。
よって型でも、左足重心から左に移動する方が動きやすいと言えます。
・情報を与えない
下段払いを応用した「腕刀落とし」を行います。
腕刀落としのコツは多々ありますが、それらコツを踏まえ、一定以上の技術があるとし、技を掛けます。
相手の反応が速い場合は掛かりません。
次に相手の腕を見ずに技を掛けます。
今度は技が掛かります。
理由は、相手が技の発動を捉えづらくなったからです。
相手への視線は技が掛かった後になります。
・余計な情報に捉われない
反応の検証をします。
グローブを付けた棒で、腹部を突いてもらいます。
グローブを直視した状態からです。
払う事ができません。
次は相手を直視せず、視界の端で捉えるようにします。
払う事ができます。
理由は、直視しない方が棒が動く前の、相手の身体の動きを感じ取れるからです。
初心者向け、あるいは演武的に行う場合は、横を向いてから技を行った方が合理的です。
しかし上級者向けの場合、先に横に技を行いつつ、後から横を向く方が、実戦的な感性が身に付きます。
流派によって考え方は異なりますが、一つの参考にしていただけると幸いです。
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