格闘技と武術。

この二つには共通する要素が多々ありますが、相違点も多々あります。

その例をいくつか紹介します。

 

ボディへのパンチ

格闘技…接触時間が短い。つまり瞬間的な威力を重視します。

武術…接触時間が長い。つまり持続的な威力を重視します。

 

なぜこのような違いがあるのかを理解するには、場外の価値観の違いを理解する必要があります。

 

格闘技に於ける場外とは、リング上ではロープで区切られています。

そして、ロープの弾性を利用して、相手のパンチの衝撃を吸収しダメージを和らげるロープアドープと呼ばれる技術があります。

空手の試合場では場外線があります。場外線を超えると審判のストップが掛かります。

いずれも、その時点で勝敗が決まるような大きなリスクはありません。

しかし武術に於ける場外の考え方はどうでしょうか?

 

武術に於ける場外とは、縁石に足を取られる、階段から落ちる、壁に叩き付けられる等。

 

故に武術の考え方では、ボディへの打撃は接触時間が長くなり、相手を後退させる性質になる傾向にあります。

 

顔面へのパンチ

格闘技…フォロース

古流空手…フォロースルーが短い

武術…顔面パンチがあまり無い

 

格闘技に於ける顔面パンチとは、主に脳震盪を誘発させる性質の打ち方になります。

よって、顎やこめかみに当たった際に、表面上で止まらずに、しっかり撃ち抜く必要があります。

しかし素手の拳で同じように打ち抜こうとすると、硬い頭部に当たった際に、大きな反作用によって自爆してしまいます。

 

よって古流空手では、自爆や腕を取られるリスクを想定し、フォロースルーを短くし、頭部の骨の表層そのものを割る性質の打撃になります。

 

そもそも武術では顔面パンチは、あまり使用されず、掌打やバラ手、目突き等が多用されます。

 

次に格闘技の価値観で武術の技を捉えてしまう例を紹介します。

 

 

頭突き

格闘技の価値観・・・頸椎の屈曲で当てる

武術の価値観・・・全身運動で当てる、受け技と併用する

 

頸椎の屈曲で当てる頭突きは、予備動作が大きくなり、威力が不十分です。

全身運動による頭突きは、少ない予備動作で大きな威力が生まれます。

 

目突き

格闘技の価値観・・・指先を当てる

武術の価値観・・・バラ手で当たる、探手で当たる、技の過程で当たる

 

指先を当てる目突きは当てる事が難しく、硬い額に当たる事で突き指するリスクがあります。

武術的な目突きは、突くというより触れるような動きとなり、突き指するリスクが少なく、当たりやすく、当たらなくとも、隙が生まれません。

金的蹴り

格闘技の価値観・・・背足を当てる、直線軌道で蹴る

武術の価値観・・・足先も当てる、変則軌道で蹴る、他の蹴りと合わせて使う

 

背足を直線的に当てる金的蹴りは、脛受けで防げます。

武術的な金的蹴りは、脛受けをされても、足先を変則軌道で蹴る事で当てる事ができます。

 

格闘技の価値観とは、頭突きイコールバッティング、目突きイコールパンチの一種、金的蹴りイコールローキックの一種、と既存の格闘技にある反則技や技術からイメージする考え方です。

しかし武術を理解する為には、一度格闘技の価値観から離れる必要があります。

 

武術愛好家にとって、格闘技経験はとてもプラスになります。

しかし、格闘技の価値観が、武術の理解を遠ざける可能性があります。

その旨を踏まえた上で、武術も格闘技も楽しんで欲しいと思います。

 

 

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