消力(シャオリー)とは格闘漫画刃牙にえがかれた郭海皇の技法です。
攻撃を受けたときに人間が反射的に力んでしまうのと逆に、あえて力を抜くことで打撃の威力を吸収し、攻撃に転ずれば壁をも砕く強力な打撃になるという理屈です。
この消力の理屈を大人げなく真面目に考察します。
まず受けの消力ですが、脱力状態で身体に打撃を受けると普通に効きます。
漫画内では、
「赤ん坊が2階から落ちても無傷だった」
という例を引き合いに出していましたが、まず前提として赤ん坊と大人の骨格や人体比率がまるで異なります。
赤ん坊が2階から落ちても無傷だった例が本当だとしたら、
「落ちた先がある程度柔らかかった」
「身体全体で衝撃を吸収した」
ことなどが考えられますが、格闘では強固な拳足が飛んできますし(点と面の違い)、大人は手足が長く、形状的に身体全体で衝撃を吸収しずらいのです。
さらに羽にも例えていましたが、人間がどんなに脱力しても、質量も細胞も変化しません。
ただ、羽のようにイメージすることで、よい動きが出来ることはあります。
受け流すには、その場で踏ん張らないことが必要です。
その技術は、力んでいてはいけませんが、身体全ての力を脱力さえすれば、攻撃を無力化できる訳ではありません。
☆より詳しい解説はこちらの動画をご視聴ください
次に「攻めの消力」ですが、脱力が要になる打撃はあります。
動画で私は「筋力」もあまり使わず「スピード」もさほど出さずに、強い突きを出しています。
これは相対軸の突きをわかりやすく説明する為に実演したのですが、一言で述べると、
「体重を伝えている」
のです。
脱力によって筋肉の弛緩収縮のふり幅が増すという理屈ではありません。
そしてこの技術の大きな利点は、
「相手が察知しづらい」
ことにあります。
攻撃の際に力みが生じると、相手に警戒されます。
しかし何気なくスッとだす技は、殺気が無くよけづらく、身体も備えづらく、当たると効いてしまうのです。
例えるなら、鍛えた人のお腹を叩いても少々の力ではびくともしませんが、完全な不意打ちであれば子供のパンチでも効きます。
よって、脱力による打撃は、対人間との相対的な技術なので、無機質にはそこまでの効果はありません。
壁(無機質)を壊すのは、拳の強さと、スピードと、重量が必要です。
まとめると、脱力が要となる消力のような打撃は、
「人には効く」
「無機質には効果が薄い」
となります。
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