やあ、みなさん、私の研究室へようこそ。
本来なら、オリンピックの最中に上げるべき記事なんですが、
記事を書くのに必要な本がなくなっていたので、
アマゾンで改めて買わざるをえなくなり、ちょっと時期はずれになってしまいました。
オリンピックの柔道は、金メダル獲得数で、これまでで最多となり、
喜んでいる方も多いと思います。
メダルの数だけを見れば、十分な成果だと思いますし、
他の競技なら、万々歳といえる成果でしょう。
しかし、最後の団体で金を取れなかったのが痛かったですね。
ネットで見かけたコメントでは、
しょうがないとか、日本は頑張ったとか、フランスが強かったとか、
競技人口がフランスのほうが多いとか、銀メダルでもすごいとか、
そういうものがありました。
他の競技なら、その通りです。
しかし、柔道は違うのです。
柔道は、金取って当たり前、という空気の中でやっているのです。
選手も、金を取らなきゃだめだ、という気持ちでやっています。
現に、そう発言している選手がいます。
なぜか?
日本が柔道母国、発祥国、柔道の本家だからです。
発祥国だから金メダル取らなきゃならないってもんでもないでしょ、
と思う方もいるでしょうが、
韓国は今回、テコンドーで金メダルを1つも取れず、大騒ぎになっています。
韓国、テコンドー金なしの衝撃…国際化の裏返し?
母国とか本家とか、東洋人だから、そういうことにこだわるんだ、とお思いですか?
アメリカ人もこだわってますよ。
野球のWBC(ワールドベースボールクラシック)で、アメリカはなかなか優勝できませんでした。
第1回、第2回は日本、第3回はドミニカ共和国で、アメリカは、第4回でようやく優勝できました。
第3回大会の前だったと思いますが、
トミー・ラソーダ氏(野茂英雄さんがロサンゼルスドジャースにいたとき監督をしていた人です)が、
インタビューを受けて、アメリカが優勝できていないことについて聞かれ、
「アメリカが優勝すべきなんだ!」と力説していました。
アメリカ人だって、野球発祥国であることに、こだわりはあるわけです。
1984年に出版されたUSカラテアドベンチャーという本に、こんなくだりがあります。
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数年前、日本のある流派の米国支部が、
全日本チャンピオン(そのスタイルの)から五位までをニューヨークに招待し、
一般のポイントシステムの大会の最後に、日米対抗戦を行った。
本場日本のチャンピオン一行が来るというので、約五千人収容できるジムは満員になった。
ポイントシステムの決勝も終わり、いよいよ日米対抗戦になり、
選手が入場し、各自体を軽く動かしはじめる。
アメリカの選手や大会関係者は日本の選手一行に対し、
尊敬を通り越した畏敬の念でいっぱいの様子であった。
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『USカラテアドベンチャー』 大山茂 講談社 から引用。
数年前とは、1984年から見て、数年前ということです。
尊敬を通り越した畏敬の念 母国であればこそ、そういう尊敬を受けられるのです。
ただし、弱かったら、そういう尊敬も受けられません。
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武道空手の本場と思って沖縄や日本にやってきた外国人のほとんどが
「私は武道空手の動きを学ぶために、わざわざやって来たのに、
なぜ武道空手の本場であるはずの、沖縄や日本で、
武道空手の動きを教えてくれる先生がいないのか?
なぜスポーツ空手競技を、やっているのか?
スポーツ空手だったら、すでに知っているし、我々の方が強い」
との意見が実は多いのである。
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月刊空手道2015年5月号から引用。
武道空手では劣っていると思っているから、日本に学びに来ているのでしょうが、
スポーツ競技のほうで、勝っている(常に外国が勝っているわけではありませんが)と、
我々の方が強い、なんて生意気なことを言い出すのです。
ちょっと勝ったぐらいで、すぐつけあがるような奴は、
徹底的に叩きのめしておかなければなりません。
ちょっと勝ったぐらいで、つけあがるなどというのは、武道の精神からは、かけ離れています。
そんな連中に勝たせてはいけないのです。
柔道の話に戻りますが、団体で金メダルを取れなかったのが痛い、と言いましたが、
それは、記事タイトルにあるように、日本の精神が踏みにじられたからです。
優勝したフランスチームは、畳の上で、大喜びして、踊っていました。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/120736から転載
こういうことは、やってはいけないのです。
やるなら、試合後の礼が終わり、日本チームと握手して、畳から降りて、
それからやるべきです。
この写真だと、ただ、抱き合って喜んでいるだけに見えるでしょうが、
抱き合うだけでなく、踊ってもいたのです。
前回の東京五輪の無差別級で優勝したオランダのヘーシンクは、
畳の上に上がろうとしたコーチか誰かを畳から降りるように、制止しています。
この動画の8分10秒ごろです。
抑え込みで、一本が決まった瞬間、ヘーシンクは、「止まれ」というゼスチャーをしています。
そして、「出て行け」というゼスチャーをして、畳に上がろうとした人物を下がらせています。
この畳に上がろうとした人物は、試合後の礼も終わっていないのに、上がろうとしているのです。
これを許していたら、大変なことです。
これがヘーシンクでなかったら、
まだ試合後の礼も終わっていないのに、コーチと抱き合って喜ぶ、
というのが当たり前になっていたかもしれません。
ヘーシンクが、日本の精神、武道の精神を理解していたから、そのようにはならずに済みました。
しかし、今回のフランスチームは、そういう精神を理解しておらず、
畳の上で、はしゃいでいました。
悪い前例を作ってしまいました。
フランスの優勝を許してしまったために、こういう悪い前例を作らせてしまったのです。
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私はよく、後継者のことを問われるが、空手の強さもさることながら、
日本の空手を永久に輝かしい力で飾ることができるだけの
指導力や英知をもった人の出てくるのを、いまかいまかと待っている。
もし、そういう人物が外国に出たら、日本人が外国人に空手を習うようになり、
正拳とか蹴りといった言葉まで、英語やフランス語になり、人は道場でお辞儀もしなくなるだろう。
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『青春をどこまでも熱く生きよ』 大山倍達 みき書房 から引用。
これが現実に起こってしまったのが、今回のフランスチームの”はしゃぎ”です。
あんな礼節を欠いた行為は許してはならないのです。
しかし、外国人が勝ってしまうと、ああいうことが起こってしまうのです。
礼節、精神という面だけでなく、技術的な面でも不満があります。
リネールの柔道を崩せなかったことです。
団体戦でリネールと対戦したのは、ウルフアロンで、彼は1階級下なので、
勝てなかったのは、まあ、仕方ないでしょう。
しかし、個人戦で対戦した原沢は、リオ五輪でも対戦しています。
5年もあったのに、リネールの柔道を崩せなかった、これは大いに不満ですね。
団体戦の話に戻りますが、リネール戦は、ある意味”捨てる”としても、
他の選手は、”技”で負けていましたね。
これも大問題だと思うのです。
三船先生の動きを参考にしたら、どうかね、と思うのです。
今の選手が、これを見ても、古すぎて参考にならない、と思うんでしょうかね。
しかし、今の選手は、外国勢の力に対して、力で対抗してるように見えるのです。
三船十段は、力には頼っていないと思います。
相手が力でくるなら、その力を利用するのが、柔道本来のあり方ですからね。
今の柔道界は、それを忘れてませんか?
私は、柔道は、4年やって、昇段審査も受けさせてもらえなかった人間ですが、
(空手は2年で初段取りました)
いろんな格闘技を見て、やって、研究はかなりしてるので、”見る目”はあると思っています。
最初のほうで、リンクを貼った
『韓国、テコンドー金なしの衝撃…国際化の裏返し?』
という記事の中には、
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韓国では、さまざまな敗因分析がなされ、
柔道が国際化しても、メダルを量産する強国であり続けている
日本の選手育成に学ぶべきだとの声も上がっている。
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というくだりがあります。
国際化しても、メダルを量産する強国であり続けなければ、
日本の精神、武道の精神は踏みにじられてしまうのです。
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