寄付が集まるのはいいんですが… | 朝倉新哉の研究室

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全ては日本を強くするために…

http://sankei.jp.msn.com/science/news/121010/scn12101000190000-n1.htm

からの引用です。

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受賞後の寄付、9日午後11時までに350万円集まる

ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった京都大の山中伸弥教授(50)が所長を務める
「京都大iPS細胞研究所」に対するインターネットの寄付サイトを通じ
寄付が急増し、9日午後11時までに計376件、約350万円が集まった。

山中さんは研究費用を集めるため、
寄付サイト「ジャスト・ギビング・ジャパン」
(http://justgiving.jp/c/7882)を通じ、
ことし3月に京都市で開かれたマラソンで完走を宣言した上で寄付を呼び掛けた。
山中さんは無事に完走、2月中旬から約1カ月で目標の1千万円を超える寄付が既に集まっていた。
寄付は500円以上、100円単位でできる。
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次は、

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121009/plc12100921470015-n1.htm

からの引用です。

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基礎研究の支援強化 首相がブログで表明

野田佳彦首相は9日に更新した自身のブログで、
山中伸弥京都大教授のノーベル医学生理学賞の受賞決定に触れ
「難病治療や新薬開発への期待も膨らむ。
 基礎研究の充実や新しい技術の実用化に向けた政策支援を強化したい」と表明した。
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次は、

http://sankei.jp.msn.com/science/news/121009/scn12100912000005-n1.htm

からの引用です。

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三井厚労相「さらに支援したい」

京都大の山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞したことを受けて、
三井辨雄厚生労働相は9日、閣議後の記者会見で、
「これまでも臨床研究の支援をしてきているが、
 今後、関係省庁と連携を取り、さらに支援していきたい」と述べた。

三井厚労相は「まずは心から祝意を申し上げたい。おめでとうございました」
と山中教授の功績をねぎらい、
研究開発現場への資金面での支援強化について「協議していきたい」と述べた。
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ちょっとおかしくないですか?

寄付が集まるのはいいんですが、ノーベル賞を受賞してから、急増したわけですよね。

野田首相の基礎研究支援強化表明も、”受賞したから”ではないでしょうか。

取らなかったら、こんな表明はしていないでしょう。

三井厚労相も「これまでも臨床研究の支援をしてきているが…」と言っていますが、

支援が十分であれば、

山中教授がマラソンをして寄付を募る、などということは、しなくてもいいはずです。


野田首相は、

>基礎研究の充実や新しい技術の実用化に向けた政策支援を強化したい

と言い、

三井厚労相は、

>研究開発現場への資金面での支援強化について「協議していきたい」

と言っていますが、

山中教授は、「ジャスト・ギビング・ジャパン」で、

”公的資金でまかなわれる研究費について、平成26年度以降のめどが立っていない”

と訴えているそうです。


一方、『マグネシウム文明論』矢部孝・山路達也 PHP新書に、こんな記述があります。

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文部科学省に2006年度の予算を申請して、もっと大きなレーザー発生装置を
つくることにしました。
幸い、600万円ほどのお金をいただけたので、

中略

20~30ワットのレーザーが出るものとおおいに期待して、実験を開始したのです。
ところが、夏に実験を始めても、いっこうにレーザーが出る気配がありません。
8月を過ぎ、9月になってようやく1ワットのレーザーが出ましたが、
これは想定をはるかに下まわった値です。
大学側から、こんな研究はインチキではないかというクレームも多発し、

中略

2006年は雨が多く太陽光励起レーザーにとってよい条件ではなかったのですが

中略

次年度の予算がつかないことを宣言されてしまいました。
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日本の科学技術関係予算は、2009年度で、4兆9104億円です。 

同年のアメリカの科学技術予算は、約14兆7000億円 です。

2009年の日本の名目GDPは、471兆1386億円です。

同年のアメリカの名目GDPは、1307兆5097億円です。

(2009年の年間為替レートを1ドル93.57円として計算)

GDPに対して、どのくらい科学技術関係予算に投入しているのか、という割合は、

日本が約1.04%。

アメリカが約1.12%。

GDPに対する割合で見ると、さほど少ないとは言えないようです。

しかし、山中教授や矢部教授は、充分な研究費を支給されてはいません。

復興予算が別の用途に使われているように、

関係ないところに使われているのではないか?

という疑念も出てきますね。

一方、こんなデータもあります。

企業R&Dに対する直接公的資金投入額の対GDP比
国家戦略研究
クリックして拡大してご覧ください
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/6045.htmlより転載

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/6045.html

にある説明文には、以下のようにあります。

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R&D(研究開発)は経済の成長を促進する重要な要素として、
各国とも、公的機関で直接的に研究開発を進めるとともに、
企業のR&D(研究開発)に対して、公的資金を投入したり、税制優遇を行ったりしている。

図に見るように、日本の場合は、
企業のR&D(研究開発)に対する直接公的資金投入額の対GDP比(%)が0.027%と
かなり低いレベルに止まっている
(OECD平均0.072%の半分以下であり、OECD33か国中、下から8位)。
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ロシアが突出して高いのは、軍需産業に対する支援が相当に高いためと考えられます。

このデータは、企業に対する政府の支援ですが、

日本は低すぎますね。

科学技術予算ももっと増やすべきですが、(現状の3倍にはすべきでしょう)

企業に対する支援ももっと増やすべきですね。



国家戦略研究
ウィキペディアより転載

 資金集めのためにマラソンをしなければならないとは…
 そうなる前に、国が研究資金を支給してくださいよ。
               ↑
山中教授の気持ちを代弁すると、こんな感じなのかもしれません。

私もそう思ってますが…。

山中教授は、京大の教授、『マグネシウム文明論』の矢部教授は、東工大の教授です。

”町の発明家”ではないのです。

研究内容も、日本や人類全体を救うようなすばらしいものです。

国をあげて支援すべきです。



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