あたしの特等席

(見出しが「データの読み込みに失敗」したそうで、使えない照れ

私が昼ボッチ飯しに行く所は

2つある。

時々行くある公共施設のロビーのベンチが

あたしの特等席だ。

何かイベントに使う時以外は

人がほとんどいない。

なのに、

低く音楽がかかっている。

背もたれの付いたベンチが4つ、

木の生えた大きな丸い鉢を囲んで

置かれている。

その、外に面したベンチに座るのだ。

ガラス張りの施設なので、

すぐ近くに岸壁が見えて

漁船が停泊しているのや

かもめが飛んでいるのが見える。

陽が射すと明るくて暖かい。

お弁当を食べながらぼんやり

岸壁の様子をながめるのだ。

 

それが最近、一足先に

来ている奴らがいる。

この間信号で一緒になった。

私の前に立って信号待ちしているのは

ジャンパーを着た、若い兄ちゃん二人。

二人とも弁当バッグを手にぶら下げて

談笑しながら信号を渡る。

どちらもちょっぴり小太りだ。

信号が変わって、私の行く方向へ

歩いていく。

 

え、こいつら…

 

私の目指す建物に入り、ロビーを

やっぱり仲良く喋りながら歩き、

私の目指すベンチに二人こしかけた。

 

あー、やられた!遅かったぁ!びっくり

 

二人弁当を広げ、外を見ながら

食べ始めた。

あたしが一人で広々使うベンチに

わざわざ二人腰かけて。

楽しそうにおしゃべりしながら

弁当をぱくついている。

そりゃああんたたちだって、

束の間のリラックス時間は

いい時間過ごしたいよね。

でもあたしってそんな心広くない。

お腹減ってるからイライラしてる。

 

どきなさいっむかっむかっむかっ

 

って思いながら、

二人から離れた、テーブルでご飯食べた。

あの弁当、自分でつくるのかな。

奥さんかな。奥さんいるのかな…照れ

 

   ∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥

 

リヒテル

福田進一さんのギターで、

バッハのBWV998が聴きたかった。

うちのグラジオラスたちが、

(たぶん)好きな曲だ照れ照れ照れ

朝早くで夫が寝ているから、

Youtubeで聴こうと思った。

多分福田さんのは無いし、

私は大して耳は良くないから、

誰の998聴いたって同じだろう。

検索して、誰かの998を聴き始めた。

とーころが。

聴き慣れた音と違う。

慣れてないせいで、なーんとなく

駄目なんである。

技術が無いとか、そういうのではなく、

合わないのかな…

いつも聴いてる音だけ、合うように

耳がなっちゃったのかな…。

ギターだけじゃなく、ハープシコードや

リュートも聞いたけど、

なんか違う。

もういいやって、998の流れる中、

作業を始めた。しばらくして。

 

あれ?これ…目

 

思わず聴き入ってしまう音。

可愛い音、可憐な音、

なんだか物語でも語っているような

音の流れ。強弱、速さ。

福田さんのギターとは違うんだけど、

とても心地よいラブラブラブ

しかも、私がそんなに聴くほうじゃない、

ピアノの音だ。

ああ終わっちゃう。

リピートしちゃえ。

それにしても、誰?これ。

 

画面にはモノクロで、

前髪の後退した外国人のおじさまが

大きな目で上を見ている。

 

Richter

 

と書いてある。

リッヒター?リヒターかな。

この人、リヒターっていうのか。

ググる。

ドイツの抽象画家ゲルハルト・リヒター

と言う人が出てくる。

顔が違う。この人じゃない。

リヒター ピアノ

でググる。

リヒターじゃなく、リヒテルだった。

スヴャトスラフ・リヒテルという、

カタカナで書かれても

なんて読んだらいいか分からない

お名前でいらっしゃる。

現在ウクライナ領になっているジトーミル

(彼が生まれた時はロシア帝国)

と言う所で生まれたソ連のピアニストだ。

世界的マエストロの1人。

 

リヒテル…私でも名前聞いたことのある人だ。

このひとが、リヒテル…びっくり

さすが巨匠、決して音楽センスが

あるわけじゃないこの私の耳さえ

魅了するとは。すごいなあ。

もうとっくに亡くなってしまった人

だけれど…

出会いって突然ですね。

あれから、ちょっと気になるのだ照れ

 

このおじさまデス照れラブラブ

 

なーんか、寒い国っぽくね?