人殺しの娘と蔑まれ、

村長の娘によって顔にキズを負わされた

ミヨは、

人身御供として山の主「大蛇さま」に

嫁がされます。

蛇身を嫌悪し、

村に逃げ帰ることも考えるミヨですが、

今までの冷たい仕打ちを思うと

それもできない。

冬、大蛇さまの冬眠中

ネズミに食料を食われたミヨは

自ら瀕死のシカを殺し、生きる糧とします。

ミヨは大蛇さまと同じく、

自分も生き物の命を奪って

生きている事に気づき

同時に大蛇さまの自分への

愛情や気配りにも気づく。

ミヨは

だんだんと大蛇さまに惹かれていき、

ついに大蛇さまと結ばれます。

 

その後ミヨの父親に濡れ衣を着せた

真犯人が

大蛇さまの嗅覚によってつきとめられ、

事件後正気を失っていたミヨの母も

正気をとりもどします。

ミヨの母は大蛇さまと初めて会い、

大蛇さまの丁寧で礼儀正しい挨拶に

安心し、

ミヨをよろしくと頭を下げる。

弟の渉も大蛇さまに懐き

平和な雰囲気の中、

ミヨは大蛇さまの子を身ごもります。

 

そう言えば、八兵衛さんっていう、喋るタヌキも出てくる。

 

えー…大変端折ったあらすじですが。

生まれた子供が

蛇身の兄と人間の姿の妹の双子。

二人とも、人間の言葉が喋れる。

大蛇さまは

毒蛇の姿で生まれた、

兄を時太郎

鱗と先端が分かれた舌を持つ

人間の姿で生まれた妹を

イナと名付けます。

 

二人は7つになり、ミヨの発案で

寺に字を習いに行くことになりました。

嫌がるイナと対照的に、

時太郎はとってもワクワクするんですね。

毎日寝て食べるだけの生活には飽き飽き、

自分の立派な蛇身を見ると

森の動物たちは逃げるようになった。

毎日がとてもつまらない。

友達が欲しい。

寺へ行ったら

きっと友達ができる、と期待して

字を習う子供達の中へ入る

時太郎ですが、

隣の子に話しかけても

はかばかしい返事も得られず

無視に近い状態。

隣同士仲良くおしゃべりする子や

住職に字を教えてもらう子、

イナでさえ

僧安憬の指導で嫌々字を書いています。

楽しそうな子供達の中で

時太郎一人だけ黙々と尻尾で

筆を動かす。

書いた字はどんなに頑張っても

判読すら難しいシロモノ。

それでも

 

友達ができればきっと楽しくなる

大丈夫明日はきっと…

きっと友達ができるって」

 

毎日そう思って時太郎は寺へ通います。

ある日

物陰で時太郎は、

子供達が住職に

時太郎の隣に座る子供の席を

替えてやるよう頼んでいるのを

聞いてしまいます。

 

あいつやたら声かけてきて怖いんだよ!

 

の言葉に、住職は

時太郎はみんなと仲良くなりたいのだ、

話してみては、

となだめますが、

時太郎の隣に座る子供は

 

そんなの無理だよ!

だってあいつ蛇じゃん!

 

周囲が楽し気に談笑する中、

時太郎は一人字を書き、

帰宅の時間になる。

イナに帰ろうと声を掛けようとした時、

イナの隣の席に座った女の子が

 

「一緒に遊ぼう」

 

とイナを誘います。

それを見た時太郎、一人寺を飛び出す。

 

僕が…

僕が人間だったら 

 

ああ!!

ここから逃げ出してしまいたい!!!

ここじゃないどこか遠くへ!!

 

この辺の、

時太郎の孤独感というか、

たくさんいる中で誰も自分に

声もかけない、

それは恐怖からだけれど

存在を無視されている

一番寂しい孤独みたいなのの

描き方がとっても巧いなあと。

時太郎はきっと、人間の感情を

持ってるんでしょう。

ナイーヴで、とても傷つきやすい。

んでイナよりはよほど早熟なんじゃ

ないでしょうか。

 

友達になれると思っていたら、

向こうは全然そんな気はなかった。

しかも見てくれだけで判断して

話を聞いてもくれない。

可哀想すぎる、時太郎。

可哀想すぎる時太郎の描写がうますぎる、

作者。

 

「神の嫁」「異類婚姻譚」モチーフの漫画

数あれど、

リアルで日本の昔の雰囲気盛り盛りで温かくて

大蛇さまがめちゃくちゃオトコマエな漫画デス照れ

 

 

→pixivコミック「大蛇に嫁いだ娘」

 

 

※雄々しく強く愛情豊かで威厳ある、ちょっぴりおちゃめな大蛇さまホントに素敵ラブラブラブミヨでなくとも惚れてしまいます照れそんな大蛇様も過去(っていうか前世?)には人間の女性との苦い思い出も。また寺の僧安憬に命も狙われている。ミヨとのラブシーンがこれまた秀逸。