目が覚めたら

もう日付が変わっていた。

私は何故か

「茶の間でうたたね」

ができない。

ちゃんと布団を敷いて、

その中に服のままもぐりこんでしまうのだ。

服のままもぐりこむのは、

良くないんですってね。

カラダが体温調節できなく

なるんだそうだ。

冷たい布団の中で体温上げるとか

そういうことが

出来なくなるって事かなあ。

 

昨日、

職場に忘れた傘をやっと

とってきたというのに、

退勤の汽車の中に忘れてきた。

おバカさんである。

これで何本目だろう?

やっぱり汽車通勤をしている友人も

汽車の中に傘を忘れたことが

あるのだけれど、

 

昔は最寄り駅に届けてくれたけど、

今は終点の駅に

取りに来いっていうのよむかっ

 

と言っていた。

こっちへ来る汽車の

運転席のトナリにちょっと載せて

ついでに持ってきてくれればいいのに

って思う。

まあそんな事言ってたら

あちこちから集めた忘れ傘で

運転席いっぱいになっちゃうよね。

 

ところで。

うちの近くに空き地がある。

空き地自体は持ち主も

決まっていて、きれいに

草刈りされていて、

持ち主の関係者が夏になると

時々

バーベキューをやっている。

その空き地の端っこに

雑草を生えるままにしておいている場所が

ちょっとある。

ニワゼキショウはもちろん、

ヤロウだの、マーガレットだの、

スミレだの、

地味に雑草が咲いていて

たいへん楽しい。

そこに、何故かこんなのが咲いた。

 

 
谷間の百合ならぬ
荒地のアイリスである。
もともと荒地に咲く花なんだろうか?
 
それにしても、美しいなあラブラブラブ
花はみんなそれぞれ美しいけれど、
場違いに美しい。
深窓の令嬢が零落して
それでも健気に生きてますって感じだ。
きっとアヤメ科、
うちのグラジオラスの
遠い親戚だと思うとなんだか
可愛さひとしおである。
ニワゼキショウの美人さんもアヤメ科だ。
 
アヤメ科、
見かけによらずたくましいぞ照れ
 
なーんて思って
今日見たら、花がなかった
 
あれ?一日でしぼむことは
ないだろう。
最近あちこちの花壇で咲いてる
アヤメだって数日見られるんじゃないか。
(たまーに車窓から草むらに群生してるのも
見るけれど)
彼女が咲いていた場所に行ってみたら
こんなになっていた。
 
 
根こそぎ、多分球根ごと、
どなたかお持ちになったらしい。
確かに、
よそ様の土地の端っこに
慎ましーく咲いてる、
おそらく園芸目的では植えられていない
花なんだから、
どんだけ美しく気品あふれていても
雑草だ。
誰が持って行ったって、
誰にも文句は言えないだろう。
この空き地の持ち主だって、
騒いだりしないだろう。
 
でもね。
アタシは悲しいのっむかっむかっむかっ
 
眺めるのが楽しみだったのに。
零落した貴族の娘みたいな
美しくてしとやかな彼女を
かどわかしたヤツは、
彼女のお仲間が咲くたびに
持って行くつもりだろうか。
それとも、
彼女一人で満足するんだろうか。
 
持って行きたい気持ちも分かるよね。
こんなにきれいな花が、
誰のものでもなく咲いているんだから。
願わくば
彼女が連れ去られた場所に慣れ
美しく咲けますように。
大事にしてもらえますようにえーんえーんえーん
(どなたか彼女の名前教えてください。
ジャーマンアイリスですか?)