鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2026年8月19日号)
*中露朝、対日攻勢の背景
大紀元に拙稿「なぜ中露朝は対日攻勢を強めるのか?裏に潜む中国経済の危機」が掲載された。
https://www.epochtimes.jp/share/381791?utm_source=copy-link-btn
有料記事だが、前半部分を特別に公開する。大紀元は大変良質なメディアであり拙稿以外にも真実を伝える記事が満載である。本稿を読んで関心を持たれた方には有料登録をお勧めする。
1 インド太平洋戦略の崩壊
8月12日午前6時ごろ、北朝鮮は弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。北朝鮮は6日にも弾道ミサイルを日本海に向けて発射しているが、6日は言わずと知れた広島原爆の日だ。
つまり核武装を公言している北朝鮮は広島原爆の日に敢えて弾道ミサイルは発射して反日的姿勢を明確にしたわけだが、それでは12日発射の意図は何なのか?と怪しんでいるうちに真意が明らかになった。
12日、ロシアのプーチン大統領は極東サハリン州でロシア太平洋艦隊の演習を視察し、日本が返還を要求している北方領土について「第2次世界大戦の結果により生じた現実として国際文書で決着している」と述べた。
もちろん、これは虚言で、北方領土問題はいかなる国際文書でも決着していない。従って日本はこの問題を解決すべく返還を求めているわけだが、プーチンは返還交渉を否定して見せたわけだ。
さらに翌13日、ロシアが不法占拠している北方領土の中でも最大の択捉(えとろふ)島をプーチンは初めて訪問した。日本政府は駐日ロシア大使を呼び出して厳重に抗議したが、要するに北朝鮮は、このロシアの動きを事前に察知し、ロシアの反日的姿勢に同調すべく12日にミサイルを発射したのである。
しかも同13日、駐日中国大使はロシア大使と共同で「第2次世界大戦の勝利の成果を否定するあらゆる行為に断固反対する」との文書を発表し、中国としてロシアの反日姿勢を支持する旨を明確にした。
一方、米国国務省は日本の立場を支持し「インド太平洋地域の平和と安定を損なおうとするいかなる行動にも強く反対する」旨を表明したが、実のところ、第2次トランプ政権でインド太平洋戦略への言及は激減しており、この表明も単なるリップサービスの域を出ない。
要するにインド太平洋戦略は崩壊したのである。
2 中露朝同盟の成立
中露朝の連携は以前からあったが、対日攻勢で緊密に連携するようになったのは最近のことである。
5月20日、中国の習近平主席は、北京でプーチンと会談し、「中露はファシズムと軍国主義を復活させる挑発行為に反対する」旨を述べた。その後、出された共同声明には「日本で加速する再軍事化が地域の平和と安定を深刻に脅かしている」「新型軍国主義」「残酷非道な侵略の歴史に基づき、第2次世界大戦のすべての結果を認める(ことを日本に求める)」など反日的な文言が散りばめられている。
6月9日に、習近平は北朝鮮で金正恩総書記と会談した。正確な会談内容は不明なのだが6月23日、朝鮮中央通信は「中央委員会拡大総会において金総書記が日本の軍事大国化に言及した」旨を報道した。
こうした経緯を見ると、中国が日本の軍国主義の脅威を煽り、露朝が従っている状況が伺えよう。
3 中国主導の対日攻勢
7月19日には、中国艦隊がロシアのフリゲート艦と合同パトロールと称して、日本の沖ノ鳥島の排他的経済水域で射撃訓練を行った。このとき射撃を行ったのは中国の駆逐艦だけでロシア艦は射撃をしていない。
その5日後の7月24日、中国の王毅外相はロシアのラブロフ外相とキルギスで会談した際に「日本が再び武装することを決して許してはならない」と述べたという。ところがこの発言は中国側の発表にあるだけで、ロシア側の発表にはない。
明らかに対日攻勢を主導しているのは中国なのである。
軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)
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