鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2024年6月10日号)
*JAL123便は撃墜されたのか?
大紀元に拙稿「JAL123便は撃墜されたのか?元航空自衛隊員が振り返るマスコミの世論戦」が掲載された。以下、概要を紹介する。
5月31日、日比谷野外大音楽堂で開かれた「WHOから命を守る国民運動」の集会で、林千勝氏が「JAL123便撃墜」と述べ、山岡鉄秀氏が、航空自衛隊がJAL123便を撃墜した可能性に言及したのには驚いた。
日本航空123便は1985年8月12日に群馬県に墜落し乗員乗客520人が犠牲となった。私は、このとき航空自衛隊の埼玉県にある入間基地の部隊に所属しており、事故が起きてからは急遽編成された災害派遣隊の本部で、不眠不休の態勢で任務を遂行した。
その時の経験から断言するが、これは墜落事故である。何者かによって撃墜されたなどという可能性は皆無なのだ。
空自の戦闘機が訓練中にJAL123便を誤射したのではないかとの疑惑が一部で囁かれている由だが、あり得ない。空自の戦闘機の訓練空域は、民航機の航路と隔たった海域上空に設定されており、この周辺には設定されていない。
米軍機の場合、海域とは限らないが民航機の航路と隔てられた空域に設定されている点は空自と同様である。そして米軍機であれ空自機であれ、空自のレーダーにより、厳しく監視されており、訓練空域から外れそうになれば直ちに警告を受けるのである。
この日に米軍は訓練を行っており、もしや米軍機の誤射かとの報道が一時駆け巡ったが、直後に否定された。空自のレーダーはすべてを監視しており、その事実がないことは明白だった。
空自か米軍が誤って撃墜し、その事実を国家ぐるみで隠蔽し、大手マスコミも、これに協力したと言う様な風説が囁かれているとの事だが、当時の状況を無視した暴論としか言い様がない。
朝日新聞は当時、社会的に最も影響力のあるマスメディアだった。朝日新聞が自衛隊を叩けば、他の新聞もテレビも一斉に朝日に倣って叩き始めるのが慣例だった。
当時の朝日新聞のスタンスは、「自衛隊は憲法違反、日米安保反対」で、要するに自衛隊は解体されるべきで、米軍は日本から出て行けというわけだから、もし米軍や自衛隊が民航機を誤射して撃墜するような不祥事を惹き起こしていたら、朝日新聞が、これこそ自衛隊を解体し、米軍を追い出す最大のチャンス到来とばかりに書きたてることは必定であった。
当時、自衛隊はマスメディアに隠し事できる状況ではなく、またマスメディアが自衛隊の隠し事に協力するなどという状況ではまったくなかったのである。
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軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)
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