鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2022年12月27日号)

*統合司令部とは何か?

 16日に閣議決定された安保3文書に、統合司令部の常設が明記されている。すでに防衛省には統合幕僚監部が常設されており、なぜ新たに統合司令部が必要なのか?理解に苦しむところであろう。

 

 米国では大統領に直属して統合参謀本部があり、統合的運用はこれだけで実現しているのである。日本の場合、統合幕僚長は防衛相の補佐に忙殺されて部隊の指揮まで手が回らないので、各部隊の一元的な指揮を執る統合司令官が必要だと説明されている。

 しかし、米国の場合、統合参謀本部議長が一人で担っている職務がなぜ日本では二人必要となるのか?不可解としか言いようがあるまい。この謎を解くヒントなるのは日経新聞などの解説図だ。

 

 そこには統合司令官から横に矢印が伸び米インド太平洋軍司令官につながっており「作戦を調整」と書いてある。つまり統合司令官は米軍との作戦を調整して陸海空3自衛隊を一元的に指揮するわけだ。

 日米同盟において、米軍は攻撃の役割を担い、自衛隊は防御の役割を担っており、反撃能力が規定された安保3文書でも、この基本的な役割に変更はないと明記されている。ならば作戦の主導権を握るのは米軍であるから、統合司令官は米軍主体の作戦を遂行することになろう。

 

 1970年に、三島由紀夫は、自衛隊に向けた檄文で次のように述べて自決した。「諸官に与えられる任務は、悲しいかな、最終的には日本からは来ないのだ」「アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本の国土を守ることを喜ばないのは自明である。あと二年のうちに自主性を回復せねば、左派のいう如く、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終わるであろう」

 

 軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)

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