鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2021年11月2日号)

*平均値の男、岸田総理

 前号で「世論調査によれば自民党250議席確保は難しいようだ」と書いたが、ふたを開けてみれば250どころか絶対安定多数の261議席を確保してしまった。しかも維新が41議席を確保した。

 自民党は「NATO諸国の国防予算のGDP比目標(2%以上)も念頭に防衛関係費の増額を目指す」と公約しており、維新は「防衛費のGDP1%枠の撤廃」を公約しているから、これで、防衛費の増額は間違いない。

 

 問題は増額幅である。現在の中国の軍拡は、あと5年で台湾侵攻を可能にする勢いで進んでいる。従って日本は5年以内に防衛費を2倍にしなければ、中国の台湾侵攻を抑止できない。すなわち年率20%近くの防衛費増額が必要なのだ。

 もちろんこれは、財政上、途方もない数字であって、財務省も連立している公明党も素直に納得する訳はない。そこで総理の決断が求められることになる。安倍元総理なら、断固決断したであろう。しかし岸田総理は果たして出来るか?

 

 岸田総理を見ていると、平均的サラリーマンという印象がぬぐえない。何事も足して2で割る平均値の男というのが私の正直な印象だ。防衛費の増額も10年かけてGDP比2%すなわち現在の2倍、年率10%以下にとどまるのではないか?

 こうした妥協的な態度は平和な時代には有用だが、今のような乱世ではむしろ有害だ。戦争と平和は足して2で割れるようなものではない。平和を守ると言う強い意志と能力の指標が防衛費なのであり、限られた期間に必要な額に達さなければ、戦争にゴーサインを出すことになるのである。

 

 軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)

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