軍事ジャーナル(6月3日号)

 古代ローマ帝国において、キリスト教は一神教の排他的教義の故、禁止されていた。そこで多神教であるかのような説明をして、ローマ皇帝コンスタンチヌスを改宗させることに成功し、皇帝家の宗教となった。
 まさにこの改宗こそ、世界史を変える革命的な事件だったと言えよう。というのも、皇帝家の宗教はやがてローマ帝国の国教となり、他の宗教を禁止し欧州全体をキリスト教が独占するに至ったからである。
 キリスト教が現在のような世界宗教になったのは、この改宗が切っ掛けであり禁止されていたキリスト教にとって起死回生の一打であった。この歴史的事実は当然、世界中の宗教活動家の布教戦略に強い示唆を与えている。要は君主の一族を改宗させることなのだ。

 昨日、女性宮家創設等の検討を政府に求める決議が衆議院で可決された。だが皇族の女性が結婚後も皇籍に留まり皇族としての責務を果たさなければならないとなれば、こうした複雑な立場の女性に男性は強い目的意識なしには、結婚を申し込まないであろう。
 つまり女性宮家の創設は皇族への布教を可能にするものであり、布教活動に熱心な宗教団体がこの絶好の機会を見逃す筈はない。
 キリスト教が国教となるや、ローマ帝国の各地にあった古代ギリシアやローマの神々の像は破壊され神殿は廃墟となった。ギリシア・ローマ文化はかくして滅んだのである。