軍事ジャーナル(3月4日号)
一昨日、北朝鮮が日本海に2発、短距離弾道ミサイルを発射した。中距離弾道ミサイル「ノドン」の発射も準備している。毎年、この時期に行われる米韓合同軍事演習を牽制する狙いと見られるが、去年も同時期に発射しているから、恒例行事との見方が一般的だ。
だが中朝関係、日朝関係を含めて北朝鮮の国際環境は激変しており、北朝鮮がのんびりと恒例行事を繰り返す余裕があるとは思えない。やはり北朝鮮もそれなりの戦略を持って、状況の変化に対応しようとしていると見るべきであろう。
今年に入って北朝鮮が注目すべき発表をした。1月10日に朝鮮中央通信が「北朝鮮が米国に『米韓合同軍事演習の中止を条件に核実験の中断の用意がある』旨を伝えた」と報道したのである。
先にも述べたように米韓合同軍事演習は毎年行っているものであり、北朝鮮が国家存亡の命綱とも位置付ける核開発を中断してまで阻止しなければならない事柄ではない。また、もし、これが本音なら、こうした弱気な姿勢を国際社会に示すことは得策ではないから、米国に秘密裏に伝えて秘密交渉に入る筈で、公表したりはしないであろう。
北朝鮮の真意に苦慮する所以だが、筆者はこれを昨年から続く米国とイランとの核協議を牽制したものと見ている。イランと北朝鮮が秘密裏に核兵器を共同開発していることは一部ではよく知られた事実である。
米国はイランに核兵器開発の一時中止を求めている。イランとしても米国による経済制裁の完全解除は是非欲しい所だが、イラン領内での核開発の中断となれば、その期間の核開発は北朝鮮に依存せざるを得ない。
その北朝鮮が核開発を中断したら、イランの核開発は完全に停止してしまい再開も儘ならなくなる。結局米国の軍門に下るしかなくなるのである。おそらく1月10日の朝鮮中央通信の報道を知ってイランの密使が北朝鮮の情報機関に急派されたであろう。
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イラン:「核実験の中断を北は言っているがイランとしては核の共同開発を是非継続したい」
北:「イランがそう言うなら継続しないでもないが、今後は北朝鮮領内で開発を続ける以上、開発費の8割はイランに負担してもらわないと」
イラン:「エッ!そんなに。高すぎる。せめて6割にならないか?」
北:「米国に経済制裁解除して貰ったら、金がたんまり入ってくるんでしょう。ケチケチしなさんな」
イラン:「これじゃユダヤの商人よりも、えげつない。いっそユダヤと結んだ方がましだ」
北:「無理ですよ。イスラエルの首相は、今度米議会で反イランの演説をするそうですよ」
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とまあ、こんな交渉が行われていると想像する訳だが、一昨日のスカッド発射が交渉成立の祝砲だったか、どうかは定かでない。