神道祝詞について | 魁!神社旅日記

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一、禊祓詞(みそぎはらいことば)

 

平田篤胤が民間の神道家に使われていた種々の禊祓詞を比較校正して、文化12年の「天津祝詞考」

にて定めたもの。白川家神道の『水濺祓』(みそぎのはらひ)(「伯家部類」)、吉田家神道の『身曽貴太祓』(「八部祓講釈」)、などが底本とされている。平田篤胤はこの種々伝えられてきた禊祓詞こそ大祓詞の中の「天津祝詞の太祝詞」であると考えた。江戸時代、明治時代以来の教派神道で多く用いられており、黒住教、大本教などでも天津祝詞と称しいるという。

 

一、祓詞(はらいことば)

 

神社本庁制定。平田篤胤「毎朝神拝詞記」十五の「祓処神等を拝む詞」にもとづくもの。

 

一、大祓詞(おおはらいことば)(おおはらえことば)

 

古代朝廷において毎年6月と12月の晦日に行われた大祓にて、中臣氏にて唱えられた詞が原型。

「延喜式」巻八に当時のものが収録されている。中世以降、民間にも広まり、日本神道最上の祝詞

として、これを唱えると一切の罪穢れが祓われ、祈りがかなえられるとされ、神前にて千度祓、万度祓が流行した。

純粋な大和言葉のリズムは太陽のリズムともいわれ、心身のよごれを祓い清め、そのリズムカルな

響きが「神の子」としての自覚を呼び覚ますという、まさに「神言(かみごと)」ともされている。

またそこに示された世界観は皇室の神傳であることを伝えており、戦後の一時期に流行ったような

反皇室的な世界観を唱える神道は本物の神道ではないとの神々からの警告であり、事実、浅野和三郎氏(1874~1937)や相曽誠治氏(1910~2000)のような審神者(さにわ)の神道家からも皇室、天皇の御稜威につくかどうかで神霊の正邪が判断できると言われている。

大正3年に内務省により「天津罪」、「国津罪」の内容が削られるという大きな改変があり、現在の神社本庁もこれを踏襲している。

 

一、三種太祓

 

初段の「トホカミヱミタメ」は亀卜の符牒、または呪として用いられていたものという。

吉田家神道では「三種大祓大事」とされ「秘秘中神秘」とされ密授さ、初段は天津祓、中段を国津祓、

後段を蒼生祓と解した。

伯家(白川家)神道でも重視され、江戸時代には民間に広まった。垂加神道では「三種大祓之傳」として

「ト」=玉、「ホ」=矛、「カミ」=鏡、で三種の神器を表し、「エミタメ」は「善く見賜ふ」の意味と解した。

國学が盛んになると二段目は周易に由来するため削除され、三種祓詞または三種の祓いとなった。

幕末の神道家・井上正鐵の興したトホカミ神道、トホカミ講では宮中の御鈴上げとこの三種祓詞を

もって罪穢れを祓う禊祓行を行った。明治時代の神道家・芳村正秉の神習教では「造化の詞(むすびのことば」としている。また、大祓詞の中にある「天津祝詞の太祝詞」はこの三種祓いであると相曾誠治氏はどは述べている。

 

一、天の数歌

 

宮中鎮魂祭の阿知女神楽の末尾にも用いられ(「年中行事秘抄」)、「旧事本紀」によれば天照大神が

ニギハヤヒ命の降臨に際し、十種神宝とともに授けた呪詞であるという。

平田篤胤「古史伝」ではアメノウズメノ命が岩戸の前で神懸かりした際に踊りながら唱えたものとし、

本田親徳は禁厭、帰神法の際に心中にて唱えるべしとしている。

天地創造の玄旨が秘められている神呪として「天の数歌」と命名したのは出口王仁三郎であるといわれ、鎮魂の際に唱えるものとしたという。相曾正治氏は「天津数歌」とされ、魂の発生する段階を伝え、宇宙の生成発展がすべて含まれているとした。

 

一、ひふみ神文(ひふみ祓詞)

 

四十七柱の言霊が重なることなく配列され、特殊の玄旨をもつものと解釈され、神道関係者の間で

「神霊を慰め奉り万の災いを幸いにしてかえさずということなし」とされ珍重されてきた神呪。

「旧事本紀大成経」に初出とし、同第四十一巻「神文」はその縁起由来と解釈を述べている。

「先天神言文」として、「天照太神」が詔して「地照太神」(大国主神)にこの四十七言を授け、神字を

作らしめたという。近代帰神法を確立した本田親徳は二種の天の数歌とあわせこれを重視した。

芳村正秉は「天津祝詞の太祝詞」とみなした。岡本天明「日月神示」では「一二三祝詞」として重視した。

 

一、一切成就祓

 

倭姫命の神宣として神宮に伝来したもので、祓いの根本義を簡潔に示したもの。

かつて八座置神事に際して用いられたという。「禰宜貞根神主両宮神拝式」所収。

 

一、六根清浄太祓(六根清浄祓)

 

天照大御神が倭姫命に降神され告げたとされる詞。伊勢神道の神道五部書のうちの一つ

「造伊勢二所太神宮宝基本記」の中にその原型と思われる文章が見られる。

これを唱えると六根(眼、耳、鼻、舌、身、意)から生ずる不浄を祓い清めることができるとし、吉田家神道で重視され、近世の神道においても盛んに唱えられた。「神家常用祓」、「八部祓講釈」、「十部祝詞神道大祓」所収。