五反田タイガー『花街花魁クロニクル』 | カラサワの演劇ブログ

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五反田タイガー『花街花魁クロニクル』於新宿村LIVE。

 

司会者「女性だけの劇団『五反田タイガー』による公演の第二回です。第二回とはいえ、もともとは2006年に創設させて、紀伊国屋ホールやスペース・ゼロといった大型の劇場での公演、ソニー・クリエイティブや X JAPANのhideとの楽曲コラボレーションなどという企画を成功させている『劇団TEAM-ODAC』からの派生劇団らしいので、なんとAKB48からチーム8 群馬県代表の清水麻璃亜をキャスティングするなど、話題作りにもおこたりなく、歌とダンスと演劇をうまくミックスしている感じです。

 ストーリィは江戸の吉原で、籠の鳥になっている花魁たちの間で、売れっ子太夫の身請けをきっかけに、次の太夫の座の争いが始まり、それがきっかけで、全員で足抜けを試みる、というものです」

 

アイドルファン「まりあちゃんを目当てに来たんだけど、他にも可愛い子がずらりと揃っていて、目移りがするほどだった。華やかな舞台で、衣装もきれい、ダンスも楽しくて、いい芝居だった」

 

演劇業界人「……女性向けにはイケメン芝居、男性向けにはアイドル芝居で、そこに特化した劇団ですね。演劇というよりバラエティコントという感じでしたが、これもまた舞台エンターテインメントのひとつの分野であることは間違いないです。あえて演劇的にどうこう、と言いたてるのは野暮というものでしょう」

 

時代考証マニア「それは確かだな。金髪の花魁がいるというだけで後はもう、なにをかいわんや。ただ、“花街”を“はなまち”と読んでいたり(正しくは“かがい”)、花魁言葉がなってなかったり(武家言葉とごっちゃになっているのはひどい)、そこらへんはもうちょっと何とかならなかったものか、と思う。最近は歴女みたいな時代考証にやたら詳しい若い世代も多くなって、そこらがけで芝居に乗り損ねてしまう人もいるからね」

 

演劇ファン「それはわかる。ただなあ、この話も主役(カーテンコールで最後に出てきたから彼女が真ん中でいいだろう)の小桜がほとんど話を回していない、というのが残念なんだなあ。ワキの方に個性的なメンバーが揃っているので無理ないのかもしれないが……」

 

個性派ファン「飯塚理恵、梨子、村野真菜の3人衆だね。あれはそれぞれがそれぞれ別のやりかたで女捨てていて(笑)強烈だった。それとアイドル系3人衆の相笠萌、酒井萌衣、横井李奈の対比が絵になっていた」

 

アイドルファン「あのアイドル系3人衆は可愛い顔していて変な性格だったり、イメージをくつがえすのがすごくよかったな」

 

劇団関係者「女性だけの劇団、座組というのは他にもあって、共通の強みは女性ならではの団結力の強さ。チームワークは抜群だったが、弱点は仲良しグループ的になってしまって、悪役、憎まれ役が作れないというところがある。今回、女将役の千代反田美香を最後にいい役どころにしているのもそれ。それはそれで確かに人情味ある、しどころのある役なんだけど、女郎たちが全員足抜けするのを黙って見逃すというのはリアリティに欠けるし、ドラマに緊張感を高めるためなら、ここは徹底して悪役に徹するべきだと思う。『用心棒』で山田五十鈴がごうつくばりの女郎屋の女将を演じていたが、演技力のみせどころでもあるんだから」

 

脚本学校の先生「女将の方の心理をもういくつかエピソードを足せば説得性は増したかもしれませんが、15人のキャストがいると、そうはいきませんしね。今でも2時間15分という上演時間だったし」

 

バラエティ好き「むしろ、徹底したバラエティミュージカルにしちゃった方がすっきりしたかも。華のある女優はいっぱいいたんだから」

 

コメディ好き「大門の門番役の高松雪の背の低さにみんなが驚いて、同じセリフ(「持ってる棒の方が長いし」)を言う繰り返しギャグが好きでした。もっとあれ、門番に反応(もちろん同じ反応)させたりして強調した方がいい」

 

司会者「……なんとなく今回はみなさん評価が甘い気が。……やはり可愛い系が揃っている劇団はトクだなあ」