あけましておめでとうございます。
(1月7日は幕の内ということでご容赦を)
去年は本当世間的に色々ありましたが、その中でも自分はリモートでクイズを提供するということで、ほんの少し周りを幸せにできた気がします。(ただ預金通帳的には大きく目減りが……。どなたか仕事かお小遣いをください)
昨年色々な人とお話させて頂く中で「どうしてマサルさんは(クイズイベント主催者として)同じことを継続しないの?」と言われたことがあります。
うーん。
最大の答は「僕自身が飽きっぽい」からかもしれません。
この話はこの話で奥が深いのですが、そろそろ表題の話題に移りたいと思います。
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かつて『マジカル頭脳パワー!!』というテレビ番組がありました(1990~99年・日本テレビ系列)。
僕は当時この番組が大好きで、
ことあるごとに(例えば友達との会話だったり、学園祭だったり)にこの番組の話題を入れてきたのですが、
今、この番組の話題をするときは、どうしても慎重になります。
それは、放送時期によって番組内容が違ってくるからです。
(さすがに、ここで番組の説明をしないとあかんなあと番組の概略の話をしています。
だいたい知ってるよ、という人は、この紫色部分は読み飛ばしてください)
番組概略ここから///
開始時期は、マッチ棒を1本動かして正しい数式にしようみたいな「頭の体操」的なクイズが多めでした。
もう1つ、番組の目玉で「マジカルミステリー劇場」という推理ドラマコーナーがあり、かなり本格的なミステリドラマが出題され、犯人やトリックを当てる企画が行われていました(我孫子武丸センセや、岡嶋二人の徳山諄一センセなど、本格的ミステリ作家が企画に絡んでいた)。
また、この頃の大きな特長に
「番組で用意していた答とは違っていても、より面白い着眼点の答には部分点や、場合によっては正解以上のボーナス点を出す」
というルールがありました。
(Z会の受験対策講座でも、試験答案はかくあるべきという話が展開されたのを当時読んだことあります)
やがて番組の名物企画となる居残り早押しクイズのルールがメインに行われるようになります。
解答者は全員ヘッドホンを装着し、他の解答は聞こえない状態に。
そこでクイズが出題されますが、得点は時間が経ってヒントが増えていくごとに減少。
より早く正解したら、勝ち抜け。
最後までわからないと、ずっとヘッドホンを着けたまま居残ってしまい、得点も0(あるいはマイナス)になるというルール。
当初はなぞなぞなども出されましたが、出していく言葉の共通点などを探す「あるなしクイズ」がヒット。
さらに同じルールで、
CTスキャナや顕微鏡の画像をヒントに物の正体をあてる「マジカルスキャナ」、
「衣装得した(いしょうとくした)」→「聖徳太子」のように文字を並び替えて人名などをあてる「シャッフルクイズ」
といった具合に、さまざまな形式のクイズが「早く正解すると高得点。時間が経ちヒントが増えるにつれて得点は減少」のルールで実施されることとなりました。
そしてさらに勝ち残りクイズ、リズム系クイズが実施。
「頭に「あい」がつく言葉」のようなお題が出され、山手線ゲームのように一人ずつ解答。
制限時間内に出てこなかったら脱落して、最後まで生き残った一人に高得点というルール。
そして、ここで「マジカルバナナ」という連想していったものをリズムよく答えるというクイズが登場。
連想と言えなかったらアウト、リズムに乗れなかったらアウトという、
いわゆるこれまでのクイズとはまた違った能力を試される形となったのでありました。
さらに放送時期が進むと「マジカル伝言バトル」が登場。
解答者が一列にならび、伝言ゲームのように先頭の人から最後の人までより多くの人にお題が伝わることを楽しむクイズが行われました。
ここでの最大の特徴は「参加者全員に同じ点数が入る」という点。
個人間での点数の競い合いから、番組が用意した1,000点という目標を達するかに主眼が置かれつつあります。
さらに放送時期が進むと、本物の芸能人を当てたり、文字の積み木を積み上げたり、綱渡りなどにできるかできないかを当てたり、目隠ししながらカーレースゲームを進めたり、大喜利の答で笑い声の大きさを競ったり、ストップウォッチを10秒ぴったしで止めたりといった、なんかまあ色々あったのですが、もう省略(笑)。
///番組概略ここまで
「「マジカル頭脳パワー!!」が好きだった」という人と話をすると、
好きなものは結構マチマチだったりします。
(さすがに番組終盤のストップウォッチや忍者倒すのが好きという人はあまりいないようですが(^^;))
比較的多いのが、居残り早押しクイズでの、色々なクイズ企画コーナーが好きという人で、
僕自身、当時は問題が出た瞬間に
即答瞬殺できたことも多かったです。
なので、そのコーナーが縮小・消滅した時には寂しかったのですが、
勝ち残り・リズム系のコーナーも好きだったので、まあ満足でした。
伝言ゲームも好きだったので、そちらがメインになった時代も満足でした。
ただ、当初はジェスチャーだけでしたが、
お絵描きや口パクなど道具が増えはじめ、
粘土やラッパなど特殊な道具がないとできないクイズが増えだしたときに、敬遠するようになりました。
ただし、当時同時に頭の中をよぎっていたのが
「このまま同じクイズコーナーを放送しつづけていったら、新たなファンは増えるのだろうか?」
という考えでした。
たとえば「居残り早押しクイズ」について。
瞬殺できる人はできるし、そういう人はもっと高度な問題を望むだろう。
出題側もそういう難しめのクイズは作れるはず。
ただし、そうやって極めたものを出すことで、初めてそのクイズに接する人は
「なにがなんだか全然わからない。つまらない」
という反応になりそうです。
コツやテクニックをつかんだ人がでて、極めれば極めるほど楽しいのもわかりますが、
それは、初めての人にとって高いハードルになりかねません。
その一つの解答として
「個々が点数を競い合うのではなく、目標に向けて全員が協力する」
になりました。
ただし、これはこれで協調性が問われたり、個々の活躍チャンスが奪われる(もともと人気の高い芸能人に対しての称賛が増えるだけで、チーム内一個人としてのスポットが当たりづらい)という難点も生まれてきました。
そんな感じで
「コツをつかんだ上級者が生まれたら、タコツボ化しないようにまったく新たなルールでのコーナーを行う」
というのが
「マジカル頭脳パワー!!」というテレビ番組の特徴だったように感じます。
当時は「どうしてこんなにコーナーを変えるの!」と憤慨した思いもありましたが、
今は「同じルールのコーナーをやり続けることへの不安」に共感したりもします。
今、自分が提供しているクイズがまさにそれで、
「コツをつかんだ上級者」と「初めて参加する人」とが同じ土俵で遊べるものを心がけています。
そのための方法はいくつかあって、
たとえば「初めて参加する人に、コツやテクニックを開示して、勉強してもらうことで、中上級者になりやすくする」というのがあります。
(現在のクイズ研究会はその傾向が多そうです)
ただ、僕個人は勉強がキライなのと(笑)、
懇切丁寧にコツを開示できる人が少ない(上から目線になりがち)ので
違うアプローチを考えています。
そこで、この「マジカル頭脳パワー!!」の呪いがかかっていて、
「新しいものを作るために、これまで積み上げてきたクイズ企画をリセットする」
「創造は、破壊からしか生まれない」
と、
いつから参加しても新鮮なクイズ(時にはルール、時にはコーナー、時にはコラボ相手、そしてもちろんクイズ問題そのものなど)を心がけております。
ただ、壊す前のものが好きという人もいらっしゃるのもわかる。
壊すといっても、実はそこから生まれてくるものは遺伝子を引き継いだものになることもある。
さらに、数多くの企画をおこなっていくと、昔のアレと、今のコレとを組み合わせて新しいものができる、ということもあります。
(すべてを壊し、すべてを繋げ!といったところでしょうか)
あとぶっちゃけると、陽の目の下に新しいものはない、ってことも(笑)。完全に新しいものというのはなくて、それよりは温故知新で「ちょっと懐かしめなものを、今風にアレンジしたものが一番楽しかった」なんてこともあります。
今年は丑年。
干支でいうと、一回りしたスタートである子年からバトンを受け継ぐ年であります。
どこまで継続をして、どこまでスクラップ・アンド・ビルドをしようか、改めて考えている新春なのでありました。
(まとまりのない話ですみません)