藤井聡太永世棋聖資格獲得! | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 目次

  1.永世棋聖資格獲得!

  2.藤井聡太七冠のタイトル戦の軌跡

  3.王位戦七番勝負

  4.中村桃子女流引退

 

 

  1.永世棋聖資格獲得!

 

 昨日7月1日(月)、藤井聡太棋聖に山崎隆之八段が挑戦する第95期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第3局が愛知県名古屋市の「亀岳林 万松寺」で行われました。

 挑戦者得意の相掛かりの戦いとなりましたが、100手で後手藤井棋聖の勝ちとなり、3連勝のストレート防衛という結果になりました。

 これで棋聖戦は2020年の奪取以来5連覇となり、藤井七冠は「永世棋聖」の有資格者となりました。

 おめでとうございます!

 21歳11か月での永世称号獲得は、歴代最年少記録となります。

 なお、「永世棋聖」就位は原則として現役引退後とされていますが、近年の例だと谷川浩司十七世名人は60歳から十七世を名乗っています。

 

 山崎八段はチョイわる勝負術で知られ、今期タイトル戦でもいろいろ工夫が見られました。

 しかし、藤井棋聖には通用せず、いずれも藤井曲線を描く展開となりました。

 

 

 今期棋聖戦五番勝負についてまとめておきます。

 

   第95期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負(2024年6月~7月)

   棋聖 藤井聡太竜王名人 vs. 挑戦者 山崎隆之八段

   1日制・持時間4時間・ストップウォッチ

   主催 産経新聞社 特別協賛 ヒューリック

 通算 棋聖戦 日にち   先後  戦型  手数 勝敗 備考      

 446 第1局 24/6/6木   後手 相掛かり  90  ○

 447 第2局 24/6/17月 先手 向飛車  111 ○

 449 第3局 24/7/1月   後手 相掛かり 100 ○ 防衛、永世棋聖資格

 (注) 通算は藤井七冠の通算対局数、先後と勝敗も藤井七冠から見て。以下同様

 

 棋聖戦 日にち     場所               

 第1局 24/6/6木   千葉県木更津市「竜宮城スパホテル三日月」

 第2局 24/6/17月 新潟県新潟市「高志の宿 高島屋」

 第3局 24/7/1月   愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」

 

  対局の時間割

 09:00 対局開始

 10:00 午前のおやつ

 12:00 昼食休憩

 13:00 対局再開

 15:00 午後のおやつ

 

 

  2.藤井聡太七冠のタイトル戦の軌跡

 

 叡王失冠と棋聖防衛により、藤井七冠のタイトル獲得数は23期となりました。

 藤井七冠のタイトル戦の軌跡について、簡単にまとめておきます。

 

   藤井七冠のタイトル戦の軌跡

 年度 叡王 名人 棋聖 王位 王座 竜王 王将 棋王 タイトル数 同累計

 2020       奪取 奪取               2     2

 2021 奪取    防衛 防衛    奪取 奪取      5     7

 2022 防衛    防衛 防衛    防衛 防衛 奪取   6    13

 2023 防衛 奪取 防衛 防衛 奪取 防衛 防衛 防衛   8    21

 2024 失冠 防衛 防衛                  2    23

 (注) 叡王から棋王までの順序は、タイトル戦開始の年間スケジュール順によるため、決着の順序とは必ずしも一致しない。ただ、2021年度の叡王戦は、コロナ禍のため3か月遅れ。

 

 表中の太字は、次の主要イベント表に対応しています。

 

   藤井聡太七冠の主要イベント

 イベント  年月日  対局相手  対局結果  備考             

 誕生    02/7/19 

 奨励会入会 12/4               6級

 三段昇段  16/4

 四段昇段  16/10/1

 プロ初対局 16/12/24 加藤一二三九段 勝ち

 初敗北   17/7/2   佐々木勇気五段 負け 29連勝後、30戦目で初敗北

 初タイトル 20/7/16   渡辺明棋聖  3勝1敗 棋聖奪取で最年少タイトル獲得

 竜王奪取  21/11/13 豊島将之竜王 4勝0敗

 名人奪取  23/6/1   渡辺明名人  4勝1敗。最年少名人

 八冠達成  23/10/11 永瀬拓矢王座 4勝1敗 王座奪取

 叡王失冠  24/6/10   伊藤匠七段  2勝3敗 七冠に後退

 初永世称号 24/7/1   山崎隆之八段 3勝0敗 永世棋聖資格獲得。就位は原則引退後

 

 おばあちゃんから初めて将棋を教わったとか名人を超えると書いたとかのエピソードは、私生活なので含めません。

 

 次は永世称号についての復習です。

 

   永世称号の取得条件と取得者

  名称   条件         取得者(取得順)      

 永世竜王 連続5期or通算7期   渡辺明、羽生善治

 永世名人 通算5期       木村義雄、大山康晴、中原誠、

                谷川浩司、森内俊之、羽生善治

 永世王位 連続5期or通算10期 大山康晴、中原誠、羽生善治

 名誉王座 連続5期or通算10期 中原誠、羽生善治

 永世棋王 連続5期       羽生善治、渡辺明

 永世王将 通算10期       大山康晴、羽生善治

 永世棋聖 通算5期       大山康晴、中原誠、米長邦雄、

                羽生善治、佐藤康光、藤井聡太

 永世叡王 通算5期       該当者なし

 

 名称は、王座だけ永世ではなく名誉王座となっています。

 取得が難しいのは、連続5期のみの永世棋王、次いで通算10期のみの永世王将でしょうか。

 名人は通算5期ですが、そもそもA級まで上がらなければ名人挑戦はあり得ない点を考慮に入れる必要があります。

 永世名人の人数が多いのは歴史が長いからです。

 取得しやすい方の筆頭は、途中まで年2期制だった棋聖戦の永世棋聖です。

 

 この節の最後は、歴代タイトルホルダーとの獲得数比較です。

 

  将棋界の歴代タイトルホルダー獲得数比較表

 順位 棋士  獲得数 生年 没年 プロ入り 初獲得 

 1 羽生 善治  99 1970  ―  1985  1989

 2 大山 康晴  80 1923 1992   1940  1950

 3 中原 誠   64 1947 (2009) 1965  1968

 4 渡辺 明   31 1984  ―   2000  2004

 5 谷川 浩司  27 1962  ―   1976  1983

 6 藤井 聡太  23 2002  ―   2016  2020

 7 米長 邦雄  19 1943 2012   1963  1973

 8 佐藤 康光  13 1969  ―   1987  1993

 9 森内 俊之  12 1970  ―   1987  2002

 10 加藤 一二三  8 1940 (2017) 1954  1968

 10 木村 義雄   8 1905  1986   1920  1937

 (注) 没年欄の ( ) 内は引退年。没年の記載がないのは存命中の棋士。

 

 年度内には谷川十七世に追いつき追い越す可能性が高いと思います。

 その次は、来年度、渡辺九段です。

 

 

  3.王位戦七番勝負

 

 年度が変わってからすでに名人戦、叡王戦、棋聖戦の決着が付き、いよいよ王位戦が始まります。

 挑戦者は、藤井七冠に次々とタイトルを奪われ無冠となっていた渡辺明九段。

 今期は挑決リーグ白組を4勝1敗で勝ち抜き、紅組代表の斎藤慎太郎八段に勝利して、満を持しての登場です。

 

 王位戦七番勝負の予定と時間割をご紹介します。

 

 伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負(2024年7月~9月)

   王位 藤井聡太竜王名人 vs. 挑戦者 渡辺明九段

   2日制・持時間8時間・ストップウォッチ

   主催 新聞三社連合 特別協賛 伊藤園お~いお茶

 王位戦  日にち      場 所         

 第1局 24/7/6・7土日  愛知県名古屋市「徳川園」

 第2局 24/7/17・18水木 北海道函館市「湯元 啄木亭」

 第3局 24/7/30・31火水 徳島県徳島市「渭水苑」

 第4局 24/8/19・20月火 佐賀県唐津市「洋々閣」

 第5局 24/8/27・28火水 兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」

 第6局 24/9/10・11火水 静岡県牧之原市「平田寺」

 第7局 24/9/24・25火水 神奈川県秦野市「元湯 陣屋」

 

   対局の時間割

  1日目

 09:00 対局開始

 10:00 午前のおやつ

 12:30 昼食休憩

 13:30 対局再開

 15:00 午後のおやつ

 18:00 封じ手

  2日目

 09:00 対局開始

 10:00 午前のおやつ

 12:30 昼食休憩

 13:30 対局再開

 15:00 午後のおやつ

  ?  終局

 

 渡辺九段は2のタイトルホルダーの表で見たように実力者ではありますが、お二人の対戦成績はこれまでのところ藤井王位から見て20勝4敗とかなり星が偏っています。

 渡辺九段の雪辱がなるかどうか注目されます。

 

 なお、もし藤井王位が今期王位を防衛すれば、連続5期の条件を満たして永世王位資格を獲得することになります。

 その可能性は十分にあると思います。

 

 

  4.中村桃子女流引退

 

 人気女流の中村桃子女流二段の「引退のお知らせ」が7月1日付で日本将棋連盟のホームページに掲載されました。

 引退理由は「一身上の理由」で、進行中の対局すべてが終わった日付での引退となるとのこと。

 

 中村女流は1987年11月生まれの36歳で、女流棋士番号は38。

高橋道雄九段の弟子です。

 中村亮介六段の妹で、夫はアマ強豪の清水上徹氏。

 昔からNHKやABEMAの将棋番組の聞き手として、人気があります。

 ただ最近は、兄の亮介六段とともに不戦敗が続き、事情が不明なことからファンの間で心配する声が増えていました。

 中村女流のお元気な姿と笑顔を再び拝見したいものです。

 なお、女流棋士を引退後も対局係を務めている方は複数いらっしゃいます。