最古の「塵に埋もれた銀河」 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

・史上最古の「塵に埋もれた銀河」を131億年前の宇宙で発見

 アストロアーツ9月28日付記事、元はアルマです。

 史上最古の「塵に埋もれた銀河」を131億年前の宇宙で発見 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)

 

 概要>アルマ望遠鏡のデータから、可視光線や赤外線で見えない銀河が約130億年前の宇宙で複数見つかった。初期宇宙には同様の銀河がたくさん隠れているのかもしれない。

 

 >近年、ビッグバンから10億年以内というきわめて古い時代の銀河が数多く見つかっている。こうした初期宇宙の銀河は、銀河内の重い星が出す紫外線を検出することで発見されてきた。初期宇宙の銀河が出す紫外線は宇宙膨張によって波長が伸び、地球では可視光線や近赤外線として観測される。そのため、初期宇宙の銀河の探査は主に、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡といった大口径の可視光線・近赤外線望遠鏡で行われている。

 

 最初の文章。

 初期宇宙の様子がどんどん解明されてきているということですね。

 宇宙では、遠方に行くほど過去の古い天体になります。

 

 2番目の文章。

 重い=質量の大きい星ほど、明るく、波長のピークが短波長の紫外線の方にあり、しかし寿命が短いのです。

 

 3・4番目の文章。

 初期宇宙の紫外線は、宇宙膨張による赤方偏移によって波長が伸び、可視光線や近赤外線として観測されます。

 そこで、すばるやアルマが活躍するというわけです。

 

 >しかし、紫外線は銀河内の塵に吸収・散乱されてしまうため、もし塵を大量に含む銀河が初期宇宙に存在すると、可視光線や近赤外線では見えない可能性がある。紫外線で温められた塵は遠赤外線やサブミリ波を放射するため、こうした「塵に埋もれた銀河」を発見するためには、ミリ波やサブミリ波などの電波観測が必要になる。

 

 ミリ波は波長が 1 mm 以上 10 mm未満 の電磁波、サブミリ波は同 0.1 mm 以上 1 mm未満 の電磁波。

 電波と赤外線の境目で、電波のうち最も波長の短い部分とされます。

 アルマはミリ波サブミリ波を観測するための望遠鏡です。

 

 アルマALMAとは、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計、Atacama Large Millimeter/submillimeter Arrayの略。

 パラボラアンテナ66台を組み合わせる干渉計方式の巨大電波望遠鏡で、世界最高の感度と分解能を備えています。

 2002年に建設が始まり、2012年から本格運用開始しました。

 場所は南米チリ北部にあるアタカマ砂漠の標高5000mの高原で、極端な乾燥とほぼ年中晴天のため電波観測に適しています。

 日本を含む東アジア・北米・ヨーロッパの国際共同プロジェクトです。

 略称「アルマ(ALMA)」は、チリ公用語のスペイン語で「たましい」の意味。

 

 >もっともこれまでは、塵に埋もれた銀河は初期宇宙にはあまり多くないだろうと推定されてきた。過去に見つかった塵の多い初期宇宙の銀河は全て、天の川銀河の1000倍も活発に星形成を起こしているような特殊なものばかりだったからだ。そのため、星形成がおだやかな大多数の普通の銀河は塵には隠されておらず、可視光線や近赤外線の望遠鏡で十分発見できるだろうと考えられてきた。

 

 >ところが、国立天文台の札本佳伸さんたちの研究チームは、大規模探査「REBELS(Reionization Era Bright Emission Line Survey)」で得られた銀河のデータを研究しているときに、これまでの常識をくつがえす新たなタイプの銀河を発見した。

 

 REBELSの元の英語の意味は、「再電離期高輝度線スペクトル放射探査」くらいでしょうか。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の上の画像をご覧ください。

 今回発見された2個の銀河「REBELS-12-2」と「REBELS-29-2」です。

 緑がアルマ望遠鏡がとらえた炭素イオンからの電波、オレンジが塵からの電波、青はVISTA望遠鏡・ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた近赤外線を示しています。

 REBELS-12とREBELS-29は近赤外線と電波を両方出していますが、REBELS-12-2とREBELS-29-2では近赤外線が検出されず、塵に深く埋もれていると考えられるとのこと。

 

 >REBELSは、初期宇宙の銀河のうち近赤外線で明るいものをピックアップして、その銀河が塵や炭素イオンに由来する電波を出していないかをアルマ望遠鏡で調べるプロジェクトだ。札本さんたちは、この探査の観測対象である「REBELS-12」(くじら座)と「REBELS-29」(ろくぶんぎ座)という2つの銀河で、銀河本体のそばからも、塵からの電波と炭素イオンが出す電波が非常に強く放射されていることに気づいた。

 

 >札本さんたちはこの放射源をハッブル宇宙望遠鏡で撮影したが、何も写らなかった。つまり、この放射源は紫外線をほとんど出さない「塵に埋もれた銀河」だということになる。 新たに見つかった2個の銀河のうち、REBELS-12のそばにある銀河「REBELS-12-2」は赤方偏移zが7.35であることがわかった。これは131億年前の宇宙に存在することを示すもので、塵に埋もれた銀河としてはこれまでで最も古い。

 

 遠方銀河の放射する電磁波は、宇宙膨張により赤方偏移しています。

 赤方偏移zは、波長λとそのシフトΔλにより

   z = Δλ/λ

 と定義されます。

 zの値と宇宙年齢の対応表は、次をご覧ください。

 赤方偏移、宇宙年齢、距離の表(Plankパラメータ) | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)

 真ん中の「ルックバックタイム」(単位Gy=10億年)の列です。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の下の画像をご覧ください。

 今回の観測結果の模式図です。

 ハッブル宇宙望遠鏡による近赤外線の観測画像(左)では、中心やや下(下の正方形の中央)に銀河が見えます。

 これはこれまで存在がよく知られていた若い銀河です(右下の想像図)。

 一方、今回の観測では、ハッブル宇宙望遠鏡で何も見えない領域(上の正方形)に、塵に深く埋もれた銀河(右上の想像図)が新たに発見されています。

 

 >今回見つかった銀河はどちらも、爆発的な星形成がみられない普通の銀河だ。こうした普通の初期宇宙の銀河でも塵に埋もれているものがあったということは、他にもたくさんの銀河が従来の光学望遠鏡観測で見逃されていた可能性が出てくる。宇宙初期にどのように銀河が形成されたかという理論にも大きな影響を及ぼす結果だ。

 

 宇宙初期の銀河の数の推計にも大きな影響を与えるでしょうが、場合によっては大規模構造形成論にまで波及するのかな?

 

 >「今回見つかった銀河は、宇宙の非常に狭い領域から見つかったものであるため、氷山のほんの一角に過ぎないと考えています。このような隠れた銀河がどれだけ宇宙の初期に存在するのかは、これからの大きな研究課題となるでしょう」(札本さん)。

 

 初期宇宙の銀河に関する素晴らしい研究だと思います。

 

 

 ★ 今日のロジバン 飲み屋で3

   [xunre/blabi] vanju co kabri pamei pe’u

 「[ㇰフンレ/ブラ゚ビ] ヴァンジュ ショ ブリ パメイ ペフ」

  赤/白ワイン一杯下さい。

   birje co barda kabri pe’u    「ㇽジェ ショ ㇽダ ブリ ペフ」

  ビールのジョッキ下さい。

   botpi pe’u             「ㇳピ ペフ」

  ビン下さい。

 xunre : 赤色/クリムゾンだ。-xun-, -xu’e-

 blabi : 白色だ,x1は。-lab-

 vanju : ワイン/葡萄酒だ,x1は x2(果物成分)の。-van-

 barda : 大きい,x1は x2(性質)に関して x3(比較対象)の中で。x3は群でも集合でもよい。-bra-

 botpi : 瓶/ボトル/水筒だ,x1は x2(内容)・x3(素材)・x4(栓/蓋)の。閉じられる容器全般。-bot-, -bo’i-

 

 最初の文は前回同様、日本語の語順に合うように co で順序を逆にしています。

 出典は、ロジバン語会話集 - ウィキトラベル (wikitravel.org) 「お酒」の箇所。